導入事例
ウイングアーク1st様
ツール・ミドルウェア製品の開発・販売

ウイングアーク1st様

ウイングアーク1stが
クラウドサービスを融合させた
基幹システムで情報活用を徹底

企業情報

企業名 ウイングアーク1st株式会社様
事業内容 私たちは、お客様が情報資産を活用するためのソフトウェアおよびソリューションを提供し、ビジネスの成功を支援いたします。蓄積された技術力を融合し、お客様の価値を高める情報活用の実現をご提案いたします。
資本金 1億円
従業員数 連結485人/単体392人(2015年3月1日現在)
ウイングアーク1st株式会社 管理本部 BPR推進室 佐藤 岳彦 氏

ウイングアーク1st株式会社
管理本部 BPR推進室
佐藤 岳彦 氏

ウイングアーク1stは帳票やBIなどのソリューションで知られ、近年はクラウド事業や海外展開にも注力している。同社の掲げる事業目的は、「企業の情報活用を支援する」こと。ビッグデータ時代、多くの企業が膨大なデータと格闘している中で、その使命は一層重みを増している。

同社は、「紺屋の白袴」には絶対にならないという強い意志のもと、積極的に新しい技術や自社製品を利用した先進的な取り組みにチャレンジし、自らが事例になることを実践している。今回、基幹システムの刷新に取り組んだ背景にも、事業目的である「企業の情報活用を支援する」を徹底的に追求するという方針があった。ウイングアーク1stの佐藤岳彦氏は次のように説明する。

「お客様の情報活用を支援するためには、まず弊社自身が高いレベルでそれを実現していなければなりません。ただ、以前の基幹システムでは情報活用をする上で、個々の情報の連携などに課題があったことも確かです。そこで、経営層からの問題提起を受けて、課題の核にあった基幹システムの刷新プロジェクトがスタートしました」

さらに新システムでは、自社製品を使いこなすことも求められた。まず、自分たちが使いこなすことで、顧客に対する提案力を高めることができるからだ。

基幹システム刷新の検討が始まったのは2013年春。ITと業務の両面で「あるべき姿」を議論し、経営情報の可視化による「営業戦略的なデータ活用」、データのタイムリーな活用による「営業活動の効率化」、ワークフローや業務プロセスの最適化による「業務処理統制」を目指すことになった。

こうした議論と同時に基幹システムのベースとなるERPの選定も行われた。検討の結果、同年夏に「GRANDIT」の導入を決定。導入パートナーとしてGRANDITで多くの経験を持つベニックソリューションを選定した。

プロジェクトは順調に進んだ。2014年3月に会計システム、15年3月に販売システムの運用がスタート。既に情報活用などの面でも成果も現れ始めている。徹底的な情報活用を可能にしたウイングアーク1stの新基幹システム。プロジェクト成功の要因はどこにあったのだろうか。

顧客軸での可視化を進め、営業担当者に情報という“武器”を提供

ウイングアーク1stの新たな基幹システムがカバーするエリアは広い。基幹システムは、根幹となる販売と会計の機能、情報活用を有効に機能させるための統合顧客マスターと商品マスター、その他周辺業務をサポートするシステムなどで構成される。その基幹システムは、SFAなどのクラウドサービスや同社製品を用いた「情活システム」と連携している。

ウイングアーク1stのシステム構成図
ウイングアーク1stのシステム構成図
ウイングアーク1st株式会社 管理本部 BPR推進室 室長 新井 明 氏

ウイングアーク1st株式会社
管理本部 BPR推進室 室長
新井 明 氏

GRANDITが担うのは販売管理と債務管理、会計の業務処理に統制が必要となる機能だ。同社は「会計につながる情報を管理する販売・会計業務はできるだけGRANDITに合わせる」という方針のもと、この部分でのカスタマイズを最小化した。このほか、自社製品を用いて基幹システム共通の帳票出力基盤を新たに構築した。

ウイングアーク1stがGRANDITを選んだ理由を同社の新井明氏はこう説明する。

「ERPの選定基準は大きく費用と機能、内部統制です。弊社の扱う製品・サービスの品目数は非常に多く、販売形態も複雑です。したがって、どのパッケージを選ぶにせよ、周辺システムとの連携機能のアドオンやカスタマイズは不可避と考えていました。ただ、パッケージによって対応のしやすさは異なります。GRANDITなら、アドオンやカスタマイズ対応を含めて全体として要件を満たせると判断しました」

本プロジェクトのIT面でのポイントは大きく三つあるという。「第1に、情活システムを使い倒すこと、それによりERP投資のROI最大化を目指します。第2に、PDF帳票によるアーカイブなどの電子帳票を活用すること。既にDr.Sum EAでの電子帳簿保存法対応を実現していますが、さらにe-文書法による電子帳票保存も視野に入れています。第3に、クラウドサービスとの連携。オンプレミス環境の基幹システムとクラウドをシームレスにつなぐことができる、弊社のBIダッシュボード製品『MotionBoard』のMotionBoard Bridge Serviceという仕組みを活用しました」(新井氏)。

データ活用の基盤となるマスターデータの整備に苦心

システム刷新後、情報活用のレベルは格段に上がった。営業部門を例にとると、名刺情報やSFAなどで管理される顧客情報は、販売履歴や保守契約といった基幹データと統合され、顧客軸の可視性が大幅に高まった。

「営業活動でのホワイトスペース分析も簡単になりました。お客様の企業グループの中で、弊社製品が導入されている企業、そうでない企業が一目で分かります。営業担当者にとっては、新規開拓のターゲットが探しやすくなります」と新井氏は言う。

ウイングアーク1stのシステム構成図

プロジェクトそのものは順調だったが、その途上にはいくつかのハードルがあった。代表的なものがマスターデータの構築である。

「以前はシステムごとに顧客マスターがあったので、名寄せなどが十分できておらず未整理なところがありました。正式名称と略称が混在する場合など、同一の企業であってもシステムが別の会社と認識してしまうという状態です。また、商品マスターの集計の粒度にも課題がありました」(佐藤氏)

情報活用を推進したいと考える企業にとって、マスターデータの整備は欠かせない。もともとのデータの品質に問題があれば、データ分析結果に対する信頼性は低下する。この課題を克服するには、名寄せなどの地味な取り組みによってデータ品質を高めていくほかない。

「名寄せについては、外部企業に委託して数万件に上る既存の顧客マスターを整備。また、自動名寄せの仕組みもつくりました」と佐藤氏。一方の商品マスターについては、前述したように品目数が多いのでかなり苦労もあったが、マスター側にカテゴライズの仕組みを導入して整備したという。

プロジェクトで最も苦労したのはデータの移行だった。「新システムではデータフォーマットを拡張しており、旧システムにはないデータ項目を追加しています。このため、旧システムではもともと持っていなかったデータを計算して割り出すなどして、データ移行を行いました」と新井氏。データ移行のテストやリハーサルを入念に行ったことで、大きなトラブルはなく難所を乗り越えることができたという。

こうした経験は、いま顧客への提案活動でも生かされている。例えば、「情報活用したいけれど、元になるデータが不ぞろいだから難しい」という見込み客があれば、新井氏が訪問して自らの経験に基づいた解決に向けた進め方を説明することもあるという。

強固な基幹システムを基盤に情報活用を進め、ビジネス成長を追い続ける

最後に、本プロジェクトの成功要因を考えてみたい。

一般的にいえることだが、手戻りを最小化してプロジェクトをスムーズに進める上で、初期段階が非常に重要。つまり、「何をシステムに実装するか、しないか」「従来の業務プロセスを変えるかどうか」などを決める要件定義のフェーズである。

同社の場合、「会計につながる情報を管理する販売・会計業務はできるだけGRANDITに合わせる」という方針を明確にした上で、バックオフィス業務に携わるユーザー部門と話し合いながら、具体的な要件を詰めていった。

「私たちとプロジェクトメンバーは、検討事項が発生すればすぐに話し合い意見集約を行いました。新しい業務プロセスに合わせるということに対しては、スムーズに理解を得ることができたと思っています」(新井氏)

従来の業務プロセスに残っていた曖昧な部分は、今回のプロジェクトを通じて明確なプロセスに変更された。内部統制などの観点でも評価されているようだ。

「今でもユーザー部門からの機能追加や変更の要求はよく寄せられます。ただ、その要求すべてに応えるとキリがありません。その都度、求められている機能を使う頻度や作業負荷の大きさから投資対効果を見極めながら慎重に吟味しています」と新井氏は語る。

ウイングアーク1stが刷新した基幹システムは、周辺システムとの連携を通じて今後さらに強化される予定だ。現在でも、統合顧客マスターには外部の企業情報(業種や売上規模、従業員数など)などが取り込まれているが、さらに有益な外部データを取り込み情報活用のレベルを向上させていく。

また、現状ではSFAをはじめセミナー管理やコールセンター、勤怠管理などの領域をカバーするクラウドサービスが基幹システムとつながっている。こうした他社クラウドサービスとの連携は、さらに拡大する可能性がある。

GRANDITをベースに構築された新基幹システムは、同社のビジネス基盤そのものだ。新井氏と佐藤氏はその基盤を強化しながら、さらなるビジネスの成長を追い続けている。

ウイングアーク1st

「今後も新基幹システムの強化を続けます」

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この記事はITproActive(http://itpro.nikkeibp.co.jp/active/)掲載の記事を転載、加筆したものです。

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