
2026年4月より、子どもや子育て世帯を全世代・全経済主体で支える新たな仕組みとして、「子ども・子育て支援金制度」が創設されることになりました。これに伴い、健康保険料や介護保険料とともに、「子ども・子育て支援金」が、2026年4月保険料より徴収されることとなります。支援金にかかる個々人の具体的な拠出額については、加入する医療保険制度、所得や世帯の状況等によって異なります。
参考として、令和10年度(2028年度)において、個々人の拠出額は全ての医療保険制度加入者一人当たり平均で月額450円程度の想定です。これを医療保険制度別にみると、健康保険組合や協会けんぽなどの被用者保険で月額500円程度、国民健康保険で月額400円程度、後期高齢者医療制度で月額350円程度の想定です。
参照先:こども家庭庁
こども家庭庁の公式資料(令和6年(2024年)法律第47号・制度概要)を基に、企業の社内説明・意思決定に活用できるよう、施策の詳細と図解を以下のとおり整理しました。
1. 制度の背景・目的
2023年12月22日に閣議決定された「こども未来戦略(加速化プラン)」の実現に向けて、日本ではライフステージを通じた子育て支援の充実や、すべての子ども・子育て世帯への支援の拡大、そして共働き・共育ての推進に取り組んでいます。これらの政策をより分かりやすく、また費用負担の透明性を高めるために、「子ども・子育て支援特別会計」と「子ども・子育て支援金制度」が新たに創設されました。
2. 主な施策内容
2-1. ライフステージを通じた経済的支援の強化
まず、児童手当が大幅に拡充されます。これにより、高校生年代まで手当が支給されるようになり、所得制限も撤廃されます。特に第3子以降については、月額3万円が支給されるなど、子育て世帯の経済的な負担を大きく軽減します。支給回数も年6回(偶数月)に増え、より安定した支援が受けられるようになります。
また、妊婦の方には、妊婦認定後に5万円、さらに妊娠している子の人数に応じて追加で5万円が支給されます。これらの給付は、市町村やこども家庭センターによる伴走型相談支援とセットで実施され、妊娠期から出産・育児まで切れ目のないサポートを受けられます。
図1:児童手当拡充のイメージ
| 3歳未満 | 3歳~高校生年代 | |
|---|---|---|
| 第1子・第2子 | 月額1万5千円 | 月額1万円 |
| 第3子以降 | 月額3万円 | |
2-2. 全ての子ども・子育て世帯への支援拡充
「こども誰でも通園制度」では、満3歳未満の未就園児が月一定時間まで柔軟に通園できるようになり、保護者の多様なニーズに応えます。この制度は市町村が指定する事業所で実施され、利用者の利便性が向上します。
さらに、産後ケア体制の整備が進められ、国・都道府県・市町村が連携して広域調整やメンタルヘルス対応を強化します。教育・保育施設については、職員の処遇など経営情報を個別施設ごとに公表することで、保護者が安心して施設を選べる環境を整えます。
また、児童扶養手当の第3子以降の加算額が引き上げられるほか、ヤングケアラー(家族の介護などを担う子ども)への支援も強化されます。
2-3. 共働き・共育ての推進
共働きや共育てを後押しするため、両親が育児休業を取得した場合には「出生後休業支援給付」として、上限28日間、休業前賃金の13%が支給されます。また、2歳未満の子どもを育てながら時短勤務をする場合には、「育児時短就業給付」として賃金の10%が支給されます。さらに、自営業やフリーランスなど国民年金第1号被保険者については、子どもが1歳になるまでの育児期間中の保険料が免除され、将来の年金額も満額保障されます。
図2:出生後休業支援給付・育児時短就業給付の関係
| 制度 | 給付内容 |
|---|---|
| 出生後休業支援給付 | 両親の育休取得時 上限28日・賃金13% |
| 育児時短就業給付 | 時短勤務中の賃金10%(2歳未満) |
| 国民年金第1号:育児期間免除 | 子が1歳まで保険料免除・満額保障 |
3. 子ども・子育て支援金制度の概要
令和8年度(2026年度)から新たに「子ども・子育て支援金制度」が創設され、令和10年度(2028年度)まで段階的に導入されます。この制度では、医療保険料に上乗せする形で、全世代・全経済主体から支援金を拠出します。集められた支援金は、児童手当や妊婦支援給付、通園制度、産後ケア、育児休業給付などの財源として活用されます。低所得者や18歳以下の均等割については軽減措置が設けられており、令和6~10年度(2024~2028年度)は特例公債によって財源を補います。
4. 財源構成と規模
この制度の財源がどのように構成され、各年度でどの程度の規模になるのかをまとめています。
| 年度 | 支援金総額(目安) | 主な財源 |
|---|---|---|
| 令和8年度(2026年度) | 約6,000億円 | 支援納付金+公費 |
| 令和9年度(2027年度) | 約8,000億円 | 支援納付金+公費 |
| 令和10年度(2028年度) | 約1兆円 | 支援納付金+公費 |
5. 施行スケジュール
制度の各施策がいつから実施されるのか、主な改正事項とともに時系列で整理しています。
| 施行期日 | 主な改正事項 |
|---|---|
| 令和6年(2024年)10月 | 児童手当拡充、認可外保育施設無償化経過措置 |
| 令和6年(2024年)11月 | 児童扶養手当第3子以降加算額引上げ |
| 令和7年(2025年)4月 | 妊婦支援給付・通園制度・産後ケア・経営情報見える化・出生後休業支援給付・育児時短就業給付・特別会計創設 |
| 令和8年(2026年)4月 | こども誰でも通園制度の給付化・支援金制度創設 |
| 令和8年(2026年)10月 | 国民年金第1号の育児期間保険料免除措置 |
6. 企業・個人の留意点
企業の皆さまには、事業主負担分の試算や給与システムの対応、就業規則の記載確認、従業員への周知などが求められます。個人の方は、医療保険料への上乗せ負担や、国民健康保険等の低所得者軽減、18歳以下均等割軽減などの軽減措置についてご確認ください。
7. 参考資料(公式)
- こども家庭庁:子ども・子育て支援金制度について(制度概要、Q&A、法令等)
- 厚生労働省:子ども・子育て支援(児童手当、地域子育て支援等)
著者
主な経歴
東京外国語大学英米語学科卒業。
7人家族に嫁いだが、社会との接点を求めて、税理士を目指す。
TACの全日本答練「財務諸表論」「法人税法」を全国1位の成績で、税理士試験に合格。直後に出産。育児と両立させるため、1991年、1日3時間だけの会計事務所を開業。
事業計画書の作成支援や資金調達サポートなど、地に足のついたクライアント支援を心がけ、スタッフ69名(京都事務所、ミャンマー事務所含む)、上場企業の子会社やグローバル企業の日本子会社などをクライアントにもつまでに成長させた。
主な著書
『フリーランスがインボイスで損をしない本』(2023年1月発売、日本実業出版社)
『第2版 事例解説もう迷わない!税理士のためのクラウドファンディングの実務』(2024年11月発売、第一法規)
『漫画でわかる管理会計』(オーム社)など