ERP (ERPパッケージ)・基幹システムのGRANDIT

Column

ERPのAPI連携とは?自動化の仕組み・導入メリットと活用事例

公開日:

更新日:

ERP(Enterprise Resource Planning)のAPI連携とは、基幹システムと外部のSaaSやクラウドサービスを、APIを通じてリアルタイムにつなぐ仕組みです。

ERPと外部システムのデータ連携を、いまもCSVファイルの夜間バッチ処理で運用している企業は少なくありません。ただ、この方法ではデータの反映が翌日になり、当日の受注状況をタイムリーに把握できません。

加えて、連携先が増えるほど保守の負担も膨らみます。連携先ごとに項目の並びや桁数が異なり、そのつど取り込み設定を直す作業が発生するためです。

ここでは、API連携とCSV連携の違いや導入メリット、活用事例、注意点を解説します。

ERPのAPI連携とは

ERPのAPI連携とは、基幹システムと外部のSaaSやクラウドサービスをAPIでつなぎ、データを自動で連動させる仕組みです。APIは、ソフトウェア同士が情報をやり取りするためのインターフェースを指します。

API連携が促進される背景にあるのが、クラウドサービスの普及です。必要な機能をサービス単位で選べるようになり、業務システムを部門単位で導入しやすくなりました。

一方、各サービスが独自にデータを保持するため、同じ情報が別々に蓄積されるサイロ化に陥りやすくなります。

そこで関心を集めているのが、システム間でデータをつなぎ業務プロセスと連動させるエコシステム型の考え方です。

【具体例】ECサイトの決済

  • 場面:購入画面でカード情報を入力して支払う
  • データ:金額とカード情報を送り、決済システムが可否を返す
  • 効果:画面を移動せず支払いが完了し、店舗も入金前に出荷できる

この発想は、ERP自体にも広がっています。すべての機能を一体で備えるのではなく、必要な機能だけを選んでAPI連携で組み合わせる「コンポーザブルERP」と呼ばれる形も登場しました。

APIのデータ連携で自動化する仕組み

APIを介したやり取りは、片方のシステムが「リクエスト(要求)」を送り、もう片方が「レスポンス(応答)」を返す一往復で成り立ちます。決められた形式で処理が走るため、受け渡しに人手がかかりません。

たとえば販売システムが「顧客Aの与信情報を返してほしい」とERPへリクエストを送ると、ERPは該当データをレスポンスとして返します。担当者が画面を開いて探し、転記する作業は発生しません。

API連携の仕組み

ERPと外部システムをつなぐ主な連携方法

ERPと外部システムを連携する方法には、API連携のほかにファイル連携とデータベース連携があります。どれを選ぶかは、データの鮮度をどこまで求めるか、一度に扱う量がどれくらいかで変わります。

連携方法データの受け渡し方反映のタイミング向いている場面
API連携システム同士がAPIで直接やり取りするリアルタイム受注・在庫など鮮度が重要なデータ
ファイル連携CSVなどのファイルに書き出して受け渡すまとめて処理
(夜間バッチなど)
大量データを定期的に一括で渡す
データベース連携相手のデータベースを直接参照・更新する設定した処理のタイミング同じ環境内での密なデータ連携

なお、Web上のAPI連携では「REST(レスト)」と呼ばれる方式が主流です。Webサイトの閲覧と同じ通信の仕組みを使うため、システムを問わず連携しやすく、対応するサービスも多く見つかります。

API連携と従来のファイル連携の違い

ERPと外部システムのデータ連携では、CSVファイルを受け渡すファイル連携が現在も広く使われています。導入のしやすさから定着した方法ですが、連携するシステムが増えるほど反映の遅れや手作業の負担が課題となります。

課題への対応の仕方で、API連携との違いが表れるのが次の3点です。

  • リアルタイム性
  • 正確性
  • 保守性

ひとつずつ解説していきます。

リアルタイムにデータを反映できる

大きな違いのひとつは、データが即時に反映される点です。

CSVやバッチ連携では処理のタイミングまでデータがため置かれ、反映が翌日にずれ込むこともあります。一方、API連携では、変化が起きたそのつど処理が行われるため、長い待ち時間が生まれません。

たとえば、受注データが記録されると、すぐに在庫や売上のデータがERPへ反映され、当日の全社的な受注・売上状況をダッシュボードで確認できます。

API連携は、スピーディーで正確な経営判断を支えるために、データの鮮度を保つ仕組みと言えるでしょう。

取り込みエラーや二重入力を減らせる

データの正確性を保ちやすい点も、CSVファイル連携との違いです。

CSV連携では、フォーマットの不一致による取り込みエラーや、同じ内容を入力し直す二重入力が起こることがあります。API連携なら決められた形式で直接やり取りするため、転記ミスを減らせます。

ファイル連携では手作業が発生するため、月次で担当者が取り込みエラーの原因を探し、修正に追われる場面もありますが、API連携ならそうした場面そのものがなくなるでしょう。

取り込みエラーや二重入力の発生源となる手作業をなくせる点が、ファイル連携との大きな違いです。

運用・保守の手間を抑えられる

日々の運用にかかる負担は、ファイル連携よりAPI連携のほうが軽く済みます。

ファイル連携では、ファイルの作成や受け渡し、取り込みエラー時の再実行、フォーマット変更への追随といった手作業が残ります。API連携は定型のやり取りを自動化できるため、こうした作業自体が発生しません。そのため、連携先が増えた場合の保守管理工数も削減できます。

システム連携の維持管理に割いていた工数を削減できれば、情報システム部門は業務改善やシステム企画といった付加価値の高い領域にリソースを振り向けられます。

ERPをAPI連携する4つのメリット

ERPと外部システムをAPIでつなぎ、データを自動で連動させることで、現場と経営の双方に変化が生まれます。主なメリットは、業務効率化・経営の可視化・柔軟性・拡張性の4つです。

メリット得られる効果
1.業務効率化
  • 手入力やファイルの受け渡しを自動化できる
  • 担当者が付加価値の高い業務に集中できる
2.経営の可視化
  • 部門ごとに分かれていたデータがつながる
  • 受注状況や在庫、利益率を待たずに確認できる
3.柔軟性
  • 業務ごとに使い勝手のよいサービスを選べる
  • 複数のSaaSをAPI連携で束ねられる
4.拡張性
  • 優先度の高いシステムから小さく始められる
  • 効果を確かめながら連携先を広げられる

ERPとAPIを連携することで、日々の入力作業を減らしながら、システムごとに分断していたデータを集約しやすくなります。データを一元管理できれば、経営数値も早く把握でき、迅速な意思決定も可能となるでしょう。

ただし、どこまでシステムやデータ連携を広げられるかは、ERPが対応できるサービスの範囲次第です。ERPを選ぶ時点で、自社の業務に欠かせないサービスとつなげられるかどうかを確認しておきましょう。

ERPのAPI連携の活用シーン

ERPとAPIで連携する代表的なシステムは、次のとおりです。

システム種別連携でできること
会計システム仕訳データを自動で受け渡し、月次決算を早める
SFA・CRM(営業支援・顧客管理)商談から受注、請求までの情報を切れ目なくつなぐ
WMS(倉庫管理システム)出荷指示と在庫の増減を即時に反映する
ECプラットフォーム注文データを取り込み、在庫の引き当てと売上計上へつなぐ
BI(データ分析)基幹データを分析基盤へ渡し、経営指標を可視化する
勤怠・経費などのバックオフィス系確定した労働時間や経費を会計データへ反映する

ここからは、業種ごとに特徴が出る使い方と、業種を問わず共通する使い方を取り上げます。

製造・流通業での活用(EC・WMS)

モノを扱う業種でERPとのAPI連携の中心になるのは、ECプラットフォームやWMS(Warehouse Management System:倉庫管理システム)です。

API連携によって販売・在庫・出荷のデータが即時にERPへ集まると、受注から在庫引き当て、会計処理までの一貫した管理が可能です。

ECサイトで注文が入った時点で在庫が引き当てられ、倉庫への出荷指示から売上計上まで人の操作を挟みません。

販売チャネルが増えても在庫と売上を一元的に把握できるため、販売機会の損失を抑えやすくなります。

エクスプライス株式会社:販売管理システム・WMSとのERP連携

エクスプライス株式会社様

エクスプライス株式会社は、販売管理システムやWMSをERPに接続し、決算スピードの向上と内部統制の強化を実現しました。

各モールに出店してEコマース事業を展開するなか、以前は人に依存したシステムを使っていました。属人的な業務やシステムのブラックボックス化を抱え、会計業務もExcelやCSVの半自動処理に頼る状況です。

移行後はシステム間連携の基盤が整い、EDI(電子データ交換)連携も可能になりました。会計業務の負荷や工数、人の操作による数値入力ミスも大幅に減っています。アドオン開発なしで業務標準化を実現し、内部統制の強化も進みました。

ECシステムと緊密連携する、先進ERPソリュ―ジョン

ITサービス業での活用(SFA・CRM)

案件単位で売上を管理する業種では、SFA(Sales Force Automation:営業支援システム)やCRM(Customer Relationship Management:顧客管理システム)をERPとAPIでつなぐ効果が大きくなります。

効果が大きい理由は、商談から受注、請求までの情報がつながり、案件ごとの売上や進捗を切れ目なく追えるようになるためです。

SFAで受注が確定した案件はERPへ自動で引き継がれ、請求や売上計上で入力し直す手間がなくなります。

営業部門と管理部門が同じデータを見られるため、部門をまたいだ連携もスムーズに進みます。

全社共通での活用(経費精算・勤怠管理)

業種を問わず効果が出やすいのは、経費精算や勤怠管理といったバックオフィス系システムをERPにAPIで連携する構成です。

経費精算や勤怠管理は全社員が日常的に使うため、扱うデータの件数が多くなります。経費や人件費は会計データに直結するうえ、手入力やCSV取り込みの手間もミスも積み重なりやすい領域です。

経費精算システムで承認された経費や、勤怠管理システムで確定した労働時間・工数がERPへ自動で反映されると、転記や再入力を挟まずに仕訳計上や原価計算へ引き渡せます。

部門や業種を問わず効果を実感しやすいため、まずはバックオフィス連携から着手する進め方も有効です。

API連携を進めるときの注意点

API連携の導入は、次の3ステップで進めるのが基本です。ただし、後述する注意点も理解したうえで進めていきましょう。

API連携を進める3ステップ
  • 現状システムの洗い出し
    どのシステムを、どのデータで、どの頻度でつなぐのかを整理します
  • APIの選定
    各システムのAPIの種類や機能を比べ、データ量やリアルタイム性、セキュリティ要件に合うものを選びます
  • API連携の実装
    直接つなぐか連携サービスを使うかを決め、テストを重ねてから運用を始めます

API連携を設計してから運用を始めるまでに課題となりやすいのは、連携方式・連携頻度・セキュリティの3点です。

観点設計時の考え方対応例
連携方式
  • 直接接続は作り込みやすくコストを抑えられる
  • API連携サービスは導入が速い反面、利用料が継続する
  • 連携先が会計システムだけなら直接接続を選ぶ
  • 複数のSaaSをつなぐなら連携サービスを選ぶ
連携頻度
  • リアルタイムに近づくほど鮮度は上がるが負荷も増す
  • 優先度の高いデータから順に設計する
  • 受注や在庫は即時に連携する
  • マスタ更新は数時間ごとにまとめて処理する
セキュリティ
  • 権限は担当者やシステムごとに必要な範囲へ絞る
  • APIの仕様変更を追える体制を整える
  • 参照だけの担当者には更新権限を渡さない
  • API提供元の告知ページを定期的に確認する

3点はいずれも、運用開始後の変更が広範囲の修正につながります。なかでも権限設計は、連携先が増えるほど見直しの負担が大きくなる領域です。連携するデータの重要度や更新頻度を踏まえ、設計段階で方針を固めておきましょう。

ERPのAPI連携で経営のスピードを上げるために

ERPのAPI連携とは、基幹システムと外部のSaaSやクラウドサービスをリアルタイムにつなぎ、データを自動で連動させる仕組みです。

ファイル連携と比べ、API連携はデータを即時に反映でき、人の手を介さないため入力ミスも起こりにくくなります。

一方で、API連携でも認証エラーや提供元の仕様変更への対応は残るため、導入時には連携方式と連携頻度、権限設計を含むセキュリティ方針を固めておく必要があります。連携対象と運用体制をあわせて設計することで、経営判断のスピードを支える基盤になるでしょう。

自社が使うクラウドサービスとスムーズにAPI連携できるかどうかは、次期システムの選定でも確認したい項目です。

基幹業務の統合と周辺システムとの連携拡大を検討する場合、国産の統合型ERPであるGRANDITも選択肢のひとつになります。選定を具体的に進める際は、下記の資料もあわせてご覧ください。

まずはお気軽にお問い合わせください

GRANDITがわかる!お役立ち資料4点セット

資料ダウンロード

小さな疑問や気になることなど
遠慮なくご相談ください

お問い合わせ