ERPとBPRの違い・関係性と実施ステップを解説

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ERP(Enterprise Resource Planning)とBPR(Business Process Re-engineering)は、企業の業務改革において密接に関係する概念です。
BPRは業務プロセスの抜本的な見直しを意味し、ERPはその仕組みを支える基盤として機能します。

ここでは、ERPとBPRの違いや関係性を整理し、ERP導入におけるBPRの進め方について解説します。

1.ERP(統合基幹業務システム)とBPR(業務改革)の違い

ERPは、企業の経営資源である「ヒト・モノ・カネ・情報」を一元管理する「システム」であり、BPRは、業務の仕組みを根本から見直す「考え方(概念)」です。

業務改革にあたり、BPRはどう変えるかを描く設計思想であり、ERPはそれを実現する仕組みといえるでしょう。両者の関係を正しく理解することにより、単なるシステム導入に終始せず、適切な業務改革を実現できます。

項目 ERP BPR
定義 企業の経営資源を一元的に管理・活用するための統合基幹業務システム 既存の業務プロセスを見直し、根本的に再設計する「業務改革」
位置づけ 経営資源を統合管理するための「システム基盤」 業務プロセスをゼロベースで再設計する「業務改革手法」
目的 全社的なデータの一元化と統合管理 抜本的な業務効率化や全社的な最適化
対象範囲 会計・人事・生産・販売・購買などの基幹業務システム全般 全社的な業務プロセスそのもの
アプローチ システム統合やデータの一元管理による業務の効率化や標準化を目指す 既存の業務プロセスを見直し、新たな業務フローを構築する
実施主体 経営層・業務改革推進室・情報システム部門・各業務部門のリーダー 経営層・業務改革推進室・現場部門のリーダー

ERPとBPRの違いを理解せずに導入を進めると、非効率な業務をそのままシステム化してしまう恐れがあります。

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2.ERPとBPRの関係性

ERPとBPRは、業務改革にあたり密接な関係性にあります。
BPRは改革の「設計図」であり、ERPはその「実現手段」と言えます。

ERPを導入する際には、まずBPRによって業務プロセスを再設計し、理想的な業務の姿を明確にしておくことが不可欠です。

たとえば製造業では、部門ごとに独自の在庫管理や生産計画を行っているケースが多く見られます。
このような状態でERPを導入しても、複雑な業務フローをそのままシステム化するだけになり、結果として効率化が進まないまま高額な投資に終わる恐れがあります。

一方で、BPRを通じて購買から生産、販売までの業務プロセスを全社で標準化し、そのうえでERPを適用すれば、在庫削減やリードタイム短縮などの具体的な成果がでやすくなります。

このように、ERPとBPRを一体として検討することにより、効果的に業務改革を推進できます。

3.ERPの導入におけるBPRの進め方

ERP導入を成功させるには、事前にBPRを通じて業務プロセスを整理・再設計します。
ここでは、BPRをどのような手順で進め、ERP導入へと結びつけていくのかを、段階ごとに整理して解説します。

進め方は以下の5ステップです。

  1. BPRの目的・目標を設定する
  2. 現状分析をして課題を抽出する
  3. 新業務プロセスを設計する
  4. ERPを導入する
  5. 運用状況をモニタリングして評価する

次項から詳しく解説していきます。

1.BPRの目的・目標を設定する

BPRを進めるには、まず改革の目的と目標を明確にすることが大切です。

プロジェクトの目的があいまいなままでは、関係者の認識が揃わず、現場の抵抗やリソースの分散を招いてしまいます。そのため、BPRを推進するメンバー全員が共有できる具体的な目標を設定し、同じ方向を向いて取り組むことが重要です。

目的 目標
1 会計業務の効率化
  • 決算処理日数を5日から2日に短縮する
  • ERPで財務データを自動集計できるようにする
2 人事・勤怠管理の標準化
  • 紙やExcelで行っていた申請フローをERPに統合する
  • ペーパーレス化率90%を実現する

このように、定量的な目標を設定することで、全社で共有できるゴールが明確になり、ERP導入を前提としたBPRの推進力が高まります。

2.現状分析をして課題を抽出する

目的・目標を設定したら、次に行うのは現状業務の徹底的な分析です。 どのプロセスにどの程度の工数やコストがかかっているかを把握しなければ、改善の余地や優先度を正しく判断することはできません。

この現状把握は「As-Is分析」と呼ばれ、具体的には以下の内容を分析します。

分析項目 目的 具体的な課題例
業務フローの可視化 現在の業務手順を図式化し、処理の流れやボトルネックを把握する 【財務・経理】
資産の取得から除却までの固定資産管理プロセスが部門ごとに異なり、承認作業が煩雑化している
関係部門へのヒアリング 現場担当者の課題感や手戻りの要因を把握する 【調達・購買】
調達部材によって購買申請・発注・検収の一連のプロセスが異なり、承認手続きに時間がかかっているることが判明した
業務データの収集 処理件数・工数・コストなどを定量的に把握し、改善余地を明確化する 【販売・マーケティング】
顧客データ入力に1件あたり平均15分を要し、受注や出荷登録時の二重入力作業が全体の20%を占めている
システム・帳票の確認 使用中のシステムや帳票を洗い出し、重複や非効率を特定する 【マスタデータ管理】
同じ顧客データを販売・在庫・経理の各システムで二重入力しており、データ整合性が取れていない

このような課題抽出によって、次のステップである「あるべき姿(To-Be)」の設計に向けた具体的な指針が得られます。

3.新業務プロセスを設計する

現状分析で抽出した課題をもとに、理想の業務プロセス(To-Be)を設計します。
この段階では、単なる部分的な改善ではなく、将来の成長や環境変化にも対応できる柔軟な仕組みを描くことが重要です。

項目 As-Is(現状の課題) To-Be(理想の業務プロセス)
【人事・労務】
申請承認フロー
  • 従業員区分(正社員・契約社員・派遣社員など)で異なる紙ベースの申請書を運用
  • 承認作業が属人化し、処理が滞留しやすい
  • 申請フォーマットの統一と電子化を行い、ERP上で申請・承認を一元管理
  • 承認ステータスをリアルタイムに可視化し、業務の属人化を防ぐ
【販売・マーケティング】
顧客情報管理
  • 営業部門とカスタマーサポート部門が別々に顧客情報を管理し、登録情報にばらつきがある
  • 問い合わせ履歴や購買履歴の共有ができていない
  • 登録プロセスを標準化し、顧客情報をERP上で統合管理する流れへ
  • 購買履歴・問い合わせ履歴を一元化し、顧客対応のスピードと品質を改善する

上記のようにAs-Is(現状)に対して、業務フロー図や業務プロセス一覧を用いながらTo-Be(理想像)を定義し、どのように業務を標準化・効率化するかを検討します。

ERP導入を見据えた業務の再設計によって複雑なカスタマイズを低減し、導入効果と運用コストの両立を実現します。

4.ERPを導入する

新業務プロセスの設計が完了したら、次のステップはERPの導入です。
BPRで描いた理想の業務プロセスを、システム要件に落とし込みながらERPに反映していきます。

この際、ERPの標準機能を最大限活用できるよう業務を調整することにより、不要なカスタマイズを避け、導入スケジュールは短縮されます。また、導入コストだけではなく、将来発生する法改正対応やバージョンアップなどのコストも低減されます。

項目 To-Be
(理想の業務プロセス)
ERPでの実装内容 効果
【生産管理】
在庫管理 在庫の入出庫プロセス、棚卸しのルールを標準化する ERPの標準データ項目で品目を管理し、在庫状況レポートをダッシュボード機能で構築
  • カスタマイズ削減により開発・運用コストを低減
  • 在庫状況の可視化を実現
【人事・労務】
人事評価・勤怠管理 部署ごとに異なる評価項目・勤怠コードを共通化し、データを一元管理する ERPの標準項目に合わせてマスタを統合し、勤怠・評価データをリアルタイム集約
  • データ収集の効率化
  • 全社横断的な分析レポートの活用が可能になった

このように標準機能を中心に導入を進めることで、短期的な効率化と長期的な安定運用を両立できる基盤を構築できます。

5.運用状況をモニタリングして評価する

ERP導入はゴールではなく、BPRを継続的に機能させるためのスタート地点です。 導入後は、新しい業務プロセスが想定どおりに機能しているかを定期的にモニタリングし、改善点を洗い出すことが重要です。

【具体例】

  • 承認フローの処理時間が短縮されたか
  • ペーパーレス化やリードタイムの目標が達成されているか

上記のような内容のKPIを設定し、効果を可視化します。もし業務効率の改善が見られない場合や新たなボトルネックが発生した場合は、原因を分析し、プロセスの見直しやシステム設定の調整を行います。

ERP導入後も運用と評価を繰り返すことで、ERPとBPRの効果を持続的に高め、全社的な業務改革の定着を実現します。

4.ERP導入を成功させるにはBPRが不可欠

ERPとBPRは切り離して考えることができない密接な関係にあります。
BPRで描いた改革後の業務プロセスを実現するための具体的な実施手段がERPであり、ERPはその基盤として機能します。

ただし、BPRを十分に行わないままERPを導入すると、非効率な業務をそのままシステム化してしまい、投資効果が限定的になるリスクがあります。

BPRを前提にしたERPの導入を進めることにより、業務改革と企業の競争力向上が近づきます。

こうした取り組みを支援するソリューションとして、国産ERP「GRANDIT」は柔軟な機能と豊富な導入実績を活かし、BPRを前提とした業務改革を推進します。

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