機械卸売業における業務課題と基幹システムの役割

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1.はじめに

機械卸売業は、多種多様な機械製品を取り扱い、製造業や建設業など、幅広い顧客に対応する必要があります。近年では、製品のライフサイクルが短縮化し、顧客のニーズも多様化していることから、従来の業務方法では対応が難しくなってきています。本コラムでは、機械卸売業が抱える主な業務課題と、それらの課題を解決するための基幹システムの機能について、具体的な事例を交えて解説します。

2.機械卸売業とは

機械卸売業とは、工作機械や治工具、専用機、建材、電設資材など、多品種の機械器具を取り扱う卸売業です。取り扱う品目によって、「産業機械器具卸売業」「電気機械器具卸売業」「金属加工機械卸売業」「建設機械・鉱山機械卸売業」など、さまざまな分類があります。

【機械卸売業の分類】

分類 主な取扱品目
産業機械器具卸売業 農業用機械、建設機械・鉱山機械、金属加工機械、事務用機械、その他の産業機械
自動車卸売業 自動車(二輪自動車を含む)、自動車部分品・附属品(中古品を除く)、自動車中古部品
電気機械器具 家庭用電気機械、電気機械(家庭用電気機械を除く)

※総務省HP「日本標準産業分類」より作成

3.機械卸売業のビジネスモデル

機械卸売業のビジネスモデルは、機械製造業者(メーカー)から小売業者、エンドユーザーをつなぎ、利ざや(マージン)で利益を生み出すことです。
近年は、インターネットの普及により、商品の流通チャネルが変化し、卸を介さないメーカー直販等のビジネスモデルも増加している中、独自の情報提供などの付加価値提供といった取組が進められています。

4.機械卸売業が抱える業務課題

機械卸売業が抱える主な業務課題は以下の通りです。

  • 多様な製品の在庫管理の困難さ
    • 機械製品は、サイズ、重量、種類が非常に多岐にわたるため、保管場所の確保や在庫管理が複雑です。
    • 長納期製品やカスタム製品も多く、需要予測が難しく、過剰在庫や品切れが発生しやすいです。
  • 複雑な受発注業務
    • 顧客からの注文内容が複雑化し、納期や仕様の変更が頻繁に発生します。
    • 複数のサプライヤーとの連携が必要となり、納期管理が複雑化します。
  • 物流管理の複雑化
    • 大型機械の輸送や設置には、専門的な知識や経験が必要となります。
    • 輸送中の破損や遅延のリスクが高く、顧客からのクレームに繋がる可能性があります。
  • アフターサービス対応の複雑化
    • 機械製品は、設置後のメンテナンスや修理が必要となることが多く、アフターサービス対応が欠かせません。
    • 顧客からの問い合わせ内容が多様化し、迅速かつ正確な対応が求められます。
  • 情報共有の不足
    • 営業部門、物流部門、アフターサービス部門など、各部門間の情報共有が不足し、業務の連携がスムーズに行えないことがあります。

5.システムで解決すべき課題と具体的な機能

基幹システムを導入することで、上記のような業務課題を効果的に解決することができます。具体的な機能は以下の通りです。

1) 統合的な在庫管理

  • リアルタイムな在庫状況の可視化: 複数の倉庫の在庫を統合的に管理し、リアルタイムな在庫状況を把握できます。
  • ロット管理: 機械製品のロット番号や製造年月日を管理し、品質管理を徹底できます。
  • 倉庫管理: 倉庫内のレイアウトや保管場所をシステムで管理し、ピッキング作業の効率化を図れます。

2) 効率的な受発注管理

  • オーダーエントリーの自動化: 顧客からの注文情報を自動的にシステムに取り込み、入力ミスを防止できます。
  • 納期管理の厳守: 顧客ごとの納期を設定し、生産計画と連携することで納期遅延を防止できます。
  • カスタマイズ対応: 顧客ごとの特殊な要求にも柔軟に対応できるよう、カスタマイズ機能を備えています。

3) 統合的な物流管理

  • 配送ルートの最適化: 複数の配送先への配送ルートを最適化し、配送コストを削減できます。
  • 配送状況のリアルタイム追跡: 配送状況をリアルタイムで追跡し、顧客への配送状況の通知を自動化できます。
  • 設置作業管理: 設置作業に必要な人員や工具、部品などを事前に準備し、作業効率を向上できます。

4) 顧客情報の一元管理

  • 顧客情報の集約: 顧客の属性情報、購入履歴、問い合わせ履歴などを一元管理し、顧客一人ひとりに合わせたきめ細かい対応が可能になります。
  • アフターサービス履歴の管理: 機械製品の修理履歴やメンテナンス履歴を管理し、迅速な対応を可能にします。

5) 部門間の情報共有

  • リアルタイムな情報共有: すべての部門が同一のデータにアクセスできるため、情報共有が円滑に行われ、意思決定のスピードが向上します。
  • ワークフロー機能: 業務プロセスを可視化し、業務の進捗状況を共有することで、業務の効率化を図ることができます。

6.機械専門商社でのERP導入事例

極東貿易株式会社様は、1947年の設立以来、産業設備、機械部品、産業素材といった多種多様な商材を一手に取り扱う機械専門の総合商社です。
同社では約20年間使用してきた汎用機によるシステムが稼働。分散されたシステムにより、
データが統合化されない、契約管理業務などで手作業が発生、 個別システムによる管理が必要で頻繁な二重入力により、業務効率が悪く内部統制上の問題も発生していました。

基幹システムを導入することで、これらの問題を解消し、業務効率が大幅に向上。
また、ERPのリアルタイム処理による、月次・四半期・半期・決算処理のスピード向上と内部統制強化と業務最適の推進を同時に実現することができました。

極東貿易株式会社様 導入事例ページへ
https://www.grandit.jp/showcase/detail/kbk.html

7.まとめ

事例でもご紹介している通り、機械卸売業は、多種多様な製品を取り扱い、顧客のニーズも多様化しているため、社内では複雑な業務フローを抱えています。基幹システムを導入することで、これらの業務課題を解決し、業務効率化、コスト削減、顧客満足度の向上を実現することができます。

【機械卸売業におけるERP導入メリット】

  • 業務効率化: 手作業による事務処理の削減、入力ミス防止、作業時間の短縮
  • コスト削減: 在庫管理費の削減、物流費の削減、人件費の削減
  • 顧客満足度の向上: 注文処理の迅速化、納期厳守、アフターサービス対応の向上
  • 経営判断の支援: 経営状況の可視化、経営戦略の立案支援

基幹システムの導入は、企業の成長戦略において重要な要素です。自社の現状と将来のビジョンに合わせて、最適なシステムを選定することが重要です。

※記事の内容は、制作時点に一般公開されている情報に基づいています。また、記載されている会社名・製品名・システム名などは、各社の商標、または登録商標です。