ERP (ERPパッケージ)・基幹システムのGRANDIT

Column 製造業にあうERPとは?RFPに表れる最新の課題と傾向

公開日:

更新日:

著者

原田 紗希

著者

株式会社システムインテグレータ  / ERP営業部 マーケティングチーム チーフ / 原田 紗希

監修者

古賀淳太

監修者

株式会社システムインテグレータ / ERP営業部 セールスチーム / 古賀淳太

日本の製造業は長年ものづくりで経済を支えてきましたが、近年は地政学リスク、脱炭素、労働力不足など、環境変化の規模も速度もかつてないほど大きくなっています。その影響は業務プロセスからIT基盤まで広く及び、ERPの重要性が再び高まっています。

本記事では、当社が製造業のERP導入支援で得た知見をもとに、RFP(提案依頼書)に表れる課題や傾向から、ERP選定の視点を整理します。

製造業を取り巻く外部環境とは?企業が直面する構造変化

ERPのご提案や導入支援の現場では、お客様から「外部環境の変化が激しく、何を優先すべきかわからない」という声を伺うことが増えています。その背景には、製造業を取り巻く環境がこれまでにないスピードで変化していることがあります。

本章では、特に影響の大きい外部環境の変化と、それらが企業に求める対応について整理します。

  • 地政学リスクに伴うサプライチェーン再構築
  • 人材不足と技能継承の停滞
  • 顧客ニーズの多様化

地政学リスクとサプライチェーン再構築

米中摩擦やウクライナ情勢などにより原材料やエネルギー供給が不安定化し、サプライチェーンの再構築が求められています。

製造業では「マルチソーシング」「チャイナ・プラスワン」「国内回帰」などが進み、調達先が分散するほど、拠点横断でのリアルタイム情報把握と柔軟な供給体制の構築が必要になります。

人材不足と技能継承の停滞

日本の製造業では、人材確保や技能継承が深刻な課題となっています。

熟練技術者の高齢化や若手育成の遅れにより属人化が発生しやすく、業務継続性のリスクが高まっています。これに対応するため、省人化・自動化とともに、業務知識の標準化、スキルの可視化、教育体制の強化が求められています。

顧客ニーズの多様化

多品種少量、短納期、個別対応といった顧客ニーズが急速に多様化しています。

こうした変化に対応するためには、多様な生産方式に柔軟に対応できる仕組みと、生産・在庫・出荷プロセスがリアルタイムに連動する生産体制が欠かせません。

これらの外部環境の変化に対応し、将来の変化にも備えるためには、まずデータ統合による見える化、そして業務の簡素化・標準化が必要です。その基盤となるのがERPです。単なるシステム導入ではなく、変化に強い組織基盤をつくるうえで、ERPの役割はますます重要になっています。

製造業の内部課題とは?変化対応を阻む構造的な問題

前章では、製造業を取り巻く外部環境の変化と、それに対応するために求められる取り組みを整理しました。

本章では、そうした外部環境の変化にすぐには対応できない企業が抱える「内部的な課題」や「構造的な課題」に焦点を当てます。これらは、当社がRFP(提案依頼書)を通じて実際によく目にする代表的な課題でもあります。

部門ごとのシステム分断

最も多い課題が、業務やシステムが部門ごとに分断されているケースです。こうした状況では、システムへの二重入力が発生したり、必要な情報が部門間で共有されなかったりします。

その結果、

  • 生産部門が最新の受注を知らず、過剰生産に
  • 購買部門が在庫を把握できず、資材手配が後手に
  • 会計部門が原価を正しく把握できず、損益がずれる

など、日常的なミスやロスが発生しがちになります。

属人化とノウハウのブラックボックス化

製造業では、業務が特定の担当者に依存する“属人化”も深刻な課題です。特に製造現場では、企業特有の業務やノウハウが必要になることが多く、ベテランの経験や暗黙知に頼る体制になりがちです。

その結果、

  • 業務の再現性が低い
  • 担当者が変わると業務が滞る

といったリスクを抱えています。

さらに、紙資料や手作業での集計に依存したオペレーションも依然として残っており、「その人がいないと動かない」状態が業務継続性を損なう要因となっています。

情報のリアルタイム可視化が不十分

こうした分断や属人化が続くと、業務データの整合性が取れず、必要な情報をタイムリーに可視化できなくなります。

販売・生産・在庫といった各領域が別々の仕組みで管理されている状態では、

  • 生産遅延の原因がどこにあるのか、何が起きているのか
  • どの部門の数値が正しいのか

といった基本的な状況把握すら難しくなります。

変化の激しい市場環境の中で、リアルタイムに全体を把握できないことは、判断の遅れや大きな機会損失につながります。

こうした内部課題があるために、企業は外部環境の変化へ迅速に対応することが難しくなっています。

一見すると組織体制や企業文化の問題のように見えますが、実際には、ERPをはじめとする全社的な情報基盤を整備することで、これらの課題を解消する道が開かれるのです。

変化に強い組織を支えるERPの役割

外部環境の変化と、企業内部に残る構造的な課題。 この両方に同時に対応するためには、全社を支える“基盤”としての仕組みを整備する必要があります。その中心的な役割を担うのが、ERPです。

本章では、ERPが果たす役割と、その重要性を整理します。

ERPは経営と現場をつなぐ共通言語

ERPの最大の特長は、部門を超えて情報を一元管理できることです。販売、調達、生産、在庫、会計といった主要な業務領域が一つのシステム上でつながることで、経営層も現場も“同じ情報”をリアルタイムに把握できます。

これにより、「何が起きているか分からない」「情報が部門間で届かない」といった課題を解消し、経営判断のスピードと精度を大きく向上させることができます。

ERPは、現場と経営のあいだに共通言語を提供する存在だといえるでしょう。

現場では生産と在庫の連動が鍵に

製造現場においても、管理という点でERPは大きな効果を発揮します。

ERPを導入することで、受注~生産~調達~原価といった製造に関連するこれらの業務がリアルタイムに連動することで、採算状況だけでなく、過剰在庫や欠品を防ぎ、原価計算の精度も向上します。結果として、品質・納期・コストといった製造業の競争力に直結する要素を安定的に管理できるようになります。

業務の標準化

企業が変化に対応していくためには、誰が担当しても同じ手順で業務を進められるようにする、つまり業務の標準化が欠かせません。

ERPには、さまざまな企業の業務ノウハウが蓄積されており、その標準プロセスは多くの企業における“ベストプラクティス”として体系化されています。

企業が自社の業務をこの標準プロセスに合わせていくことで、効率的な運用が可能になり、担当者によるばらつきや属人化の防止にもつながります。

外の変化が速く、内にはまだ課題が残る――。

そんな状況でこそ、全社の情報をひとつにまとめ、共通のルールで業務を動かせる仕組みが、企業の競争力を決定づけるのです。

製造業のERP選定基準とは?RFPに示される3つの重要視点

ERPの選定では、どの観点で評価するかが成果を大きく左右します。製造業は特に領域が広いため、機能の多さだけで判断すると失敗につながることもあります。

本章では、製造業のRFPに表れている実際の重視ポイントと、当社が考える“選ぶ際に持つべき視点” を踏まえ、押さえるべき3つの評価軸を整理して解説します。

①業種・生産方式に合う標準機能を備えているか

製造業といっても、その形態は実に多様です。

製品を組み立てて完成させる「アッセンブリ型(組立型)製造」、化学・食品・素材など連続工程で生産を行う「プロセス型製造」、顧客ごとに仕様が異なる「受注生産」、同一製品を安定的に生産する「量産(繰返生産)」など、生産方式によって業務プロセスや管理の考え方は大きく異なります。

この違いを踏まえ、製造業のRFPでは

  • 対象業種・生産方式に最適化されたテンプレートや業務シナリオが用意されているか

という要件が記載されます。

業種に合わないERPを選んでしまうと、標準化が十分に進まなかったり、アドオンが増えて運用負荷が高まることにつながるため、まずは自社の生産方式に対応した標準機能を備えているかどうかを確認することが重要です。

②標準機能を最大限活かせる導入アプローチを取れるか

近年のRFPでは「標準機能でどこまで対応できるか」や「導入の進め方」を問う項目が増えています。この背景には、Fit to Standardと呼ばれる導入アプローチの普及があります。

Fit to Standardとは

業務にシステムを合わせるのではなく、システムの標準機能に業務を合わせる

という思想です。

Fit to Standardは、導入コストや期間を抑えられるだけでなく、アップデート対応のしやすさや業務改革との相性の良さなど、多くのメリットがあります。

ただし、この進め方を実現するには、標準機能の理解やFit to Standard型の導入手法を持つベンダーの存在が欠かせません。

さらに、自社側にも「どこまで業務を寄せるか」を判断できる体制や意思決定の準備 が必要となります。

選定においては、標準を活かした導入がどの程度現実的に可能か、ベンダーの体制・ノウハウとあわせて、自社の準備状況も確認することが重要です。

③ 企業成長に合わせた柔軟な拡張・連携ができるか

先ほどは標準機能を活用する導入の重要性について述べましたが、実際にはERPだけですべての業務をカバーすることは難しく、現場にはERPで扱いにくい領域も存在します。 このため、RFPでも外部システムとの連携性や将来の拡張性を問う項目が増えています。

特に近年は、API連携のしやすさ、ノーコード/ローコードとの相性、MES・PLM・IoT・AIといった工場系システムとのデータ連携が多く求められています。 ERPが“つながる前提”で設計されているかどうかは、将来の業務拡張性や工場DXの実現を左右する重要な要素です。

このように製造業のERP選定では、

① 業種・生産方式への適合性

② 標準機能を活かす導入アプローチ

③ 拡張性と連携性

の3つが欠かせません。

これらの視点は、RFPにおける要求項目にも明確に現れており、将来を見据えた基幹システム選定において重要な判断基準となっています。

GRANDIT × 当社が提供できる価値とは

製造業の業務標準化や変化対応において、国産ERP「GRANDIT」と当社の知見は互いに補完し合いながら、企業の基盤づくりを支えています。

本章では、課題整理と選定の観点を踏まえ、GRANDITおよび当社の主な支援と特長を紹介します。

GRANDITが製造業にフィットする理由

● 日本企業のためにつくられたERP

GRANDITは、日本の商習慣や会計処理に合わせて設計された国産ERPです。消費税改正や電子帳簿保存法などの法制度の変化にも随時対応しており、日本企業が求める運用や管理の考え方に自然にフィットします。

● 当社が開発した生産管理モジュールで、製造業の現場に対応

当社が開発した生産管理モジュールは、組立型・個別受注生産の両方に対応できるよう、製造フローを丁寧に考慮して設計されています。受注~生産~調達~原価までをリアルタイムに統合管理し、現場に即した運用が可能です。

● コーディングレス開発ツールで柔軟性と標準化を両立

製造業にはどうしても固有要件が生じますが、過度なカスタマイズは標準化を損ないます。当社では コーディングレス開発ツール for GRANDIT を活用し、標準機能を大きく変えずに柔軟な対応を実現しています。

これにより、以下を可能にしています。

  • 開発工数・費用の削減
  • 保守性・将来アップデートへの対応力の確保
  • Fit to Standard思想との両立

システムインテグレータが製造業に提供できる価値

● ERPそのものを深く理解し、製品開発にも携わってきた知見

当社はGRANDITの製品開発に参画してきた経験があり、ERPの思想や構造、拡張性を熟知しています。導入だけでなく、つくる側の視点から最適な支援ができる点が強みです。

● 20年以上にわたるERP導入支援実績

20年以上にわたりERP導入を支援し、多くの製造業プロジェクトを担当してきました。全ERP案件の約5割が製造業で、現場理解に基づいた実践的なノウハウを持っています。

まとめ

製造業では、外部環境の変化が加速する一方で、部門間の分断や属人化、情報の可視化不足といった内部課題が依然として存在しています。

こうした状況に対応し、変化に強い体制を築くためには、業務と情報を統合し、標準化と柔軟性を両立できるERPの役割がますます重要になっています。

本記事では、ERPを導入・選定する際の重要な視点として、次のポイントをご紹介しました。

  • 業種への適合性
  • 標準プロセス(Fit to Standard)に沿った運用が可能か
  • 必要に応じた拡張性・連携性を確保できるか

これらは、将来を見据えた安定的な業務基盤を整えるうえで欠かせない判断要素です。

当社は、国産ERP「GRANDIT」とともに、製造業の業務特性に即した柔軟な仕組みづくりや、現場理解に基づく導入支援を行ってきました。

実務に寄り添ったERP基盤が必要と感じている企業の皆さまに、きっとお役立ていただけると考えています。

現在、業務課題の整理やERP選定でお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。また、当社が作成した**製造業向け「GRANDIT活用資料」**も、検討の一助としてぜひご覧ください。

今後の取り組みを検討される皆さまにとって、本記事の内容が少しでも参考になれば幸いです。

著者

原田 紗希

株式会社システムインテグレータ 

ERP営業部 マーケティングチーム チーフ

はらだ さき

主な経歴

システムインテグレータ入社後、関西地区を中心にERP「GRANDIT」の提案営業・導入支援を担当。2022年にはインサイドセールス部門の立ち上げに参画し、ERPに加えOBPM NeoやAI製品などの新規リード獲得・商談化に従事。2024年よりマーケティング部門に異動し、顧客との接点創出やコミュニケーション強化を目的とした各種施策に取り組んでいる。

株式会社システムインテグレータ

監修者

古賀淳太

株式会社システムインテグレータ

ERP営業部 セールスチーム

古賀淳太

こがじゅんた

主な経歴

システムインテグレータ入社後、関西地区を中心に国産ERP「GRANDIT」の提案営業および導入支援を担当。その後、担当エリアを中国・四国、九州へと拡大し、西日本全体でERP提案を推進し、受注実績を積み重ねている。現在は、パートナー企業との協業によるパートナー営業や、新入社員の育成にも関与している。

株式会社インテグレータ

まずはお気軽にお問い合わせください

GRANDITがわかる!お役立ち資料4点セット

資料ダウンロード

小さな疑問や気になることなど
遠慮なくご相談ください

お問い合わせ