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Column ノーコードでERP導入は可能?ツール一覧とデメリット

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ノーコードツールを使ったERP開発は、ERPのカスタマイズに比べて安価かつ迅速に開発可能で、現場のFit&Gapを埋める手段として活用できます。ノーコード開発で基幹業務を支えるERPの導入が可能か、それぞれのツールの特徴やデメリットを整理し、現実的な運用方法を解説します。

ノーコードツールは、プログラミング知識のない現場担当者が自らシステムを開発できるツールとして、業務改善への活用が広まってきました。

ERPのカスタマイズはコストがかかる上、将来的なアップデートにも影響するデメリットがある中で、Fit to Standardでは耐えられない業務分野でのノーコードツールの活用が広がっています。

ここでは、業務適合性を高めながら安価かつスピーディに開発できるノーコードツールで、基幹業務を支えるERPの導入が可能か、それぞれのツールの特徴やデメリットを整理し、現実的な運用方法を解説します。

ノーコードツールでERPは自作可能か?

特定業務の補完や現場の入力フォーム作成といった用途であれば、ノーコードツールは有効な選択肢です。

しかし、中堅企業の基幹システム全体をノーコードのみでゼロから構築するのは、現実的ではありません。企業の基幹を担うシステムには高度な堅牢性と整合性が求められるため、ノーコードで提供される機能では不十分だからです。

既製のERPはデータ基盤や業務の標準化の役割を果たす高度なシステムですが、標準機能だけに合わせようとすれば、現場の細かな業務要件をカバーしきれないケースも少なくありません。

また、業務適合度を高めるためのアドオン開発はコストと時間がかかり、将来的なアップデートを阻害する要因にもなります。

そこで有効なのが、ERPをデータ基盤として活用しながら、不足している現場の入力画面や承認ワークフローをノーコードで作成・連携するアプローチです。

すべてを自作するのではなく、ERPの標準機能では実現できない「隙間」を埋める手段として、ノーコードが注目されています。

ノーコードツールが注目される背景

DX推進に伴う需要増とIT人材不足を背景に、多くの企業でシステムの「内製化」が課題となっています。

その解決策として注目されているのが、専門知識がなくてもシステムを構築できる「ノーコードツール」です。 最大の利点は、現場の担当者が自ら開発に携われることです。業務ノウハウを直接反映できるため、要件のズレを防ぐだけでなく、ビジネスの変化にも即座に対応できる体制が整います。

ノーコード開発の特徴

開発スピード・コスト削減・現場へのフィット感の3点が、ノーコードツールが選ばれる主な理由です。

特徴内容企業にもたらす価値
現場へのフィット感業務担当者自身が画面設計・修正できるシステムと業務の乖離を防ぎ、定着率が高まる
コスト削減ベンダー依存を抑え、内製化が可能開発費保守費を圧縮できる
迅速な開発スピード制度変更や組織改編にも迅速に対応数日から数週間で改善を反映できる

業務担当者が自ら設計・改善できるため、システムと現場の間にズレが生じにくく、変化にも柔軟に対応できます。

変化の激しいビジネス環境において、継続的に改善を回せる基盤として機能する点が、ノーコードツールの大きな魅力です。

関連記事:市民開発とは?ローコード・ノーコードツールによるシステム開発内製化のススメ

代表的なノーコードツール5選

製品ごとに得意領域が異なるため、自社の課題や既存のIT環境に合ったツール選定が大切です。

現場の使いやすさを重視するか、全社的なセキュリティ・ガバナンスを重視するかによって、自社に合ったツールは変わります。

代表的な5つのツールと、ERPとしての活用イメージを以下の表で整理しました。

ツール名特徴・得意領域活用イメージ
1.kintone日本企業の商習慣に対応Excel移行に向いているプラグイン機能が豊富案件管理承認ワークフロー現場の入力補助
2.Power AppsMicrosoft製品との連携厳格な権限管理が可能Dynamics 365連携経費精算資産管理社内共通アプリ
3.AppSheetモバイル入力に特化スプレッドシート活用オフライン対応が可能物流管理点検、現場での入力在庫チェック、報告アプリ
4.Bubble高度なWebアプリ開発に対応複雑なロジックも実現可能受発注管理外部向けのポータルサイト
5.Click国産ツール直感的な操作で簡易アプリが作成可能現場主導の小規模業務アプリ

1.kintone(キントーン)

サイボウズ株式会社が提供するkintoneは、現場主導の継続的な業務改善を後押しするクラウド型ノーコード・ローコードツールです。

日本の商習慣に合ったプラグインが充実しており、帳票出力や郵便番号検索といった日本企業独自のニーズにも対応しています。

ERPとの連携では、案件管理やSFA、承認ワークフローなどの用途に強みがあります。

データベースの構築が容易なため、現場部門が主導して独自の業務アプリを作成し、ERPへの入力前データを整理する用途に活用できます。Excelからの移行のしやすさも特に評価されており、非IT部門でも取り組みやすいでしょう。

一方で、複雑な在庫計算や大量データのバッチ処理には向いていない点には注意が必要です。

2.Microsoft Power Apps(マイクロソフト パワーアップス)

マイクロソフト社が提供するPower Appsは、Office 365など同社のエコシステムとシームレスに連携できるノーコードプラットフォームです。

既存のMicrosoftアカウントによる厳格な権限管理が可能で、Dynamics 365などのERP製品との連携にも強みがあります。

ERPとの連携では、全社共通の入力フォームや経費精算、資産管理などの用途に適しています。

すでにMicrosoft 365を導入している企業にとっては、強固なガバナンスと内製化を両立させる第一の候補として検討しやすいツールになるでしょう。

なお、リクエスト数の上限やファイルの保管場所に制限があるため、運用時には設計上の工夫が必要です。

3.AppSheet(アップシート)

Google社が提供するAppSheetは、スプレッドシートなどの既存データを活用してモバイルアプリを迅速に構築できるノーコードプラットフォームです。

Googleスプレッドシートをそのままデータベースとして活用でき、スマートフォンやタブレット向けの現場アプリを手軽に構築できます。

製造現場の在庫チェックや物流管理、店舗の売上報告など、ERPと連携した現場データの収集用途に向いています。オフライン動作にも対応しており、ネットワーク環境が整いにくい現場での利用ができるのが特徴です。

ただし、UIの自由度は高くなく、複数人が同時に操作するような業務には向いていません。

ERPとのデータ連携を前提に、現場でのデータ収集をペーパーレス化する用途で効果を発揮するツールといえます。

4.Bubble(バブル)

米国のBubbleグループが提供するBubbleは、WebサイトやWebアプリの開発に強みを持つ世界的なノーコードプラットフォームです。

マーケットプレイスやソーシャルサイトの構築も可能なほど自由度が高く、AIにも対応した高度な開発力を備えています。

たとえば、ERPと連携した高度な受発注ポータルを、フルスクラッチよりも安価に構築できます。

ノーコードでありながらプログラミングに近い柔軟性を持ち、本格的なWebシステムの内製化を検討している企業にとって有力な選択肢といえるでしょう。

ただし、学習コストが高く「現場担当者が誰でもすぐ作れる」わけではない点や、高度な処理ではパフォーマンス設計が難しくなる点には留意が必要です。

5.Click(クリック)

アステリアキャンバス株式会社が提供するClickは、直感的な操作で誰でも簡単にアプリを開発できる国産のノーコードプラットフォームです。

ドラッグ&ドロップを中心としたスピーディな開発が可能で、外部データとの連携にも対応しています。

誰でも使えるよう機能がシンプルに設計されており、プログラミング知識がなくても現場向けの簡易アプリを素早く開発・運用できるのが特徴です。

現場の担当者が自ら素早くアプリを立ち上げる用途に適している反面、Bubbleのような複雑な計算処理や全社規模の高度な権限管理には、対応しきれない面もあるでしょう。

用途を絞った現場レベルの業務アプリとして活用するのが、現実的な使い方です。

ノーコードでのERP導入が難しい3つの理由とデメリット

便利な反面、企業の基幹業務すべてを担うには越えられない壁があります。

ERP専用製品が持つ技術面での要件は、ノーコードの標準機能だけではカバーしきれないからです。

以下の3つのデメリットについて解説します。

  1. 1.整合性を保った複雑なデータ処理
  2. 2.大量データの処理速度
  3. 3.権限管理と監査対応

1.整合性を保った複雑なデータ処理

ERPの機能の中でも特に難易度が高いのは、会計機能との連動です。

売上・入金・在庫・原価などが絡み合う複式簿記のロジックを正確に処理するには、厳格なルールと計算の一貫性が求められます。

また、複数のユーザーが同時に在庫を減らすような処理では、データの不整合(デッドロックや二重計上)を防ぐ排他制御の仕組みが欠かせません。

このような企業の信頼に関わるコアな数値計算やトランザクション処理を、ノーコードで実装するのは現実的ではありません。

2.大量データの処理速度

全社規模のリソース管理になると、データ量が増えるにつれてパフォーマンスの問題が浮上しやすくなります。

ノーコードツールは、データ件数が数十万件・数百万件を超えると、動作が重たくなり、業務利用に耐えかねるケースが少なくありません。

月末の全社的な締め処理や、数年分のマスタデータを参照するような場面では、画面がフリーズして実業務に支障をきたす恐れがあります。

大量データを高速かつ安定して処理・蓄積する基幹データベースとしての役割には、ERPパッケージが向いています。

3.権限管理と監査対応

標準機能だけでは、厳密な内部統制要件を満たしきれないケースも少なくありません。

細かな閲覧・編集制限の設定や、操作履歴の完全なトラッキング機能が、ERP専用製品に比べて弱い傾向があります。

上場企業などが監査法人から求められる「誰がいつ何を変更したか」という厳格な監査ログの提出や、役職に応じた項目単位の権限付与は、ノーコードツールでは難しいでしょう。

ガバナンスやコンプライアンスの観点から、データと機能の権限管理が行き届いた基盤が必要な場面では、ERPの採用が現実的です。

現実的な「落としどころ」はハイブリッド構成

ノーコードでERP全体を代替しようとすると技術的な限界に直面し、逆にすべてをERPの標準機能に合わせようとすると、現場の反発や手作業(Excel利用など)が残ります。

会計などの核心部を「既製品のERP」に任せ、周辺業務を「ノーコード」で自作するハイブリッド構成が、現実的なDX施策の選択肢の1つです。

具体的には、以下のような役割分担が考えられます。

  • 基幹業務は「Fit to Standard」でERPの標準機能を利用する
  • ERPでカバーしきれない現場独自の申請やレポート業務はノーコードで構築する
  • ERPとノーコードツールをiPaaSなどでシームレスに連携させる

この役割分担により、高額なアドオン開発やベンダーロックインを避けながら、コストパフォーマンスよく、リスクを抑えたERP構築が実現できます。

GRANDITは、ローコードツールやAPI連携が可能なコンポーザブル設計を採用したERPです。多様な連携に対応した機能の詳細は、以下の資料をご参照ください。

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