ERP (ERPパッケージ)・基幹システムのGRANDIT

Column 原材料高騰時代の“原価管理の壁”とERP活用ポイント

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著者

日鉄日立システムソリューションズ株式会社

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日鉄日立システムソリューションズ株式会社

原材料価格やエネルギーコストの高騰、為替変動、需要の不透明さなど、プロセス製造業を取り巻く環境は大きく変化しています。こうした状況のなかで、製品・取引単位の収益性をタイムリーに把握し、適切な価格戦略や生産計画につなげるためには、「原価管理」の高度化が不可欠です。

しかし実務の現場では、原価計算が複雑化し、月次決算が遅れたり、せっかく集計した原価データが経営判断に十分活用されていなかったりするケースも少なくありません。

本記事ではまず、プロセス製造業における原価管理の特徴と課題、そしてERPシステムを活用した一般的な解決アプローチを整理します。

そのうえで、国産ERP「GRANDIT」と日鉄日立システムソリューションズ株式会社(以下、NHS)が提供する「GRANDITプロセス製造業向けテンプレート」の特長についてご紹介します。

1.プロセス製造業における原価管理の特徴

1-1. 多様な規格・品種を前提とした原価管理

紙・不織布・化学品・フィルム・ゴム・非鉄金属などのプロセス製造業では、同一製品であっても「厚み」「幅」「長さ」「比重」「グレード」など、複数の規格が組み合わさることが一般的です。

規格のバリエーションが多くなるほど、

・在庫評価

・発注単位

・出荷単位

・売上単価

など、原価計算の前提となる情報も複雑化していきます。「どの規格でどの単位のコストを見ているのか」が曖昧になると、原価情報の比較や分析も難しくなります。

1-2. 複数の数量単位が混在する

プロセス製造業では、製品を工程や取引の局面ごとに異なる単位で扱うケースも多く見られます。たとえば、

・メーカーへの発注:本

・出荷依頼:連

・売上単価:kg

といったように、一つの製品に対して複数の数量単位が併存する、といったケースです。

この場合、単位ごとの換算ロジックや規格情報(長さ・幅・厚み等)を踏まえたうえで、「どの単位で見ても矛盾のない原価」を算出する必要があります。スプレッドシートや個別ツールだけで対応しようとすると、変換ロジックがブラックボックス化しやすく、担当者以外には分かりにくい状況になりがちです。

1-3. 配合・歩留まり・ロットを加味した計算が必要

プロセス製造は、複数の原料や中間製品を組み合わせる「配合」が前提となることが多く、原価計算の対象となる要素も多岐にわたります。

・原料配合比

・製造条件(工程・設備)

・歩留まり(カイゼン余地のあるロス)

・実収量(カイゼンでは削減が難しいロス)

・副産物・廃棄物の扱い

・ロット単位の生産実績

などを加味しながら、製品別・ロット別に原価を算定していかなければなりません。

こうした業務特性が、プロセス製造業の原価管理を一層難しいものにしています。

2.プロセス製造業で発生しやすい原価管理の課題

2-1. 原材料価格変動への即応が難しい

原材料価格やエネルギーコストが大きく変動するなかで、

・いつ、どの製品の価格を見直すべきか

・どの取引先・帳合の条件を調整すべきか

を判断するには、最新の原価情報と収益性を前提とした検討が欠かせません。

しかし、原価計算そのものに時間がかかり、月次決算の確定まで1週間以上を要するケースも少なくありません。原価や収益性の把握が遅れるほど、価格改定や不採算品の見直しといった意思決定のタイミングも遅れ、経営リスクを高める要因となりかねません。

2-2. 複雑で属人化しやすい計算

原価計算の一部をExcelや個別ツールで補っている企業も多く見られますが、

・計算式や前提条件が担当者にしか分からない

・修正履歴やロジックの変更が追いにくい

・ファイルのバージョン管理が煩雑

といった問題から、属人化や管理負荷の増大につながりがちです。

また、基幹システム導入時の担当者が異動・退職してしまい、「改修や機能追加を行いたいが、内部にノウハウが残っておらず手を付けづらい」という状況に陥ることも珍しくありません。その結果、現場は不満を抱えながらも「現行システムに合わせる」運用に甘んじてしまうケースもあります。

2-3. 分断された原価計算フロー

販売・生産・購買・会計などのシステムが分断されている場合、

・データの受け渡しが手作業になる

・同じデータを何度も入力・集計する必要がある

・部門ごとに数字の整合性が取れない

といった問題が発生します。

結果として、

・「どの数字が正なのか」が分かりにくい

・一貫したロジックで原価を集計できない

・原価差異の原因分析に時間がかかる

など、「フローの分断」が原価管理の質とスピードを損ねる要因になります。

2-4. 経営判断に活かせない原価情報

原価データは管理会計や経営の意思決定にとって重要な情報ですが、

・集計に時間がかかりタイムリーに提供できない

・製品別・取引先別・事業別といった切り口で瞬時に分析できない

・シミュレーションや「もしも」の検討に活用しづらい

といった理由から、「とりあえず計算はしているが、経営判断に十分活かしきれていない」という悩みも多く聞かれます。

こうした状況を抜け出すには、個々のツールの工夫だけでなく、原価計算に必要なデータをどのように集約し、どのような仕組みで管理・活用していくかを、全社的な視点で見直す必要があります。

3.解決策:ERPによる原価管理高度化とGRANDITプロセス製造業向けテンプレート

ここからは、「原価管理の壁」に対する解決策としてのERP活用と、その中でのGRANDITプロセス製造業向けテンプレートの位置づけを整理します。

3-1. ERPによる原価管理高度化のポイント(一般論)

まず、ERP全般が原価管理高度化に対して提供できる価値を、3つの観点から整理します。

3-1-1. 原材料費・加工費を含むデータの一元管理

ERP(Enterprise Resource Planning)は、会計・販売・生産・在庫などの基幹業務を一元管理するシステムです。原価計算に必要なデータをばらばらのシステムやExcelに分散させるのではなく、

・材料費(購買・在庫)

・加工費(工数・設備負荷)

・間接費(配賦ルール)

などを一つの基盤に集約できる点が大きな特長です。

これにより、

・再入力や重複管理を減らし、データ品質を向上できる

・共通のマスタに基づいて原価を集計できる

・部門をまたいだ数字の整合性を取りやすくなる

といったメリットが得られます。

3-1-2. 原価計算ロジックの標準化と見える化

ERP上で原価計算ロジックを定義し、標準化することで、

・誰が担当しても同じ手順・前提で原価を算出できる

・計算の前提条件や配賦ルールを説明しやすくなる

・ロジック変更の履歴管理がしやすくなる

など、属人化からの脱却と「説明可能な原価管理」が実現しやすくなります。

また、標準化されたロジックの上に「シミュレーション」機能を載せることで、

・原材料価格が◯%上昇した場合の影響

・歩留まり改善によるコスト削減効果

・製品ミックス変更の収益インパクト

などを検証しやすくなります。

3-1-3. 経営層がリアルタイムで収益性を把握

ERPでは、製造部門で発生したコストデータを会計・管理会計へ自動的に連携できるため、

・製品別・取引先別の損益

・部門別・事業別の収益性

・原価差異やコスト要因

などを、よりタイムリーに把握することが可能になります。

月次決算のスピードが上がれば、

・原材料高騰に対する価格改定の判断

・不採算品・不採算取引の見直し

・投資・撤退の判断

といった経営判断もスピードアップできます。「原価が見えないから動けない」状況から、「数字を前提に動ける」状態への転換が、ERP導入の重要な狙いになります。

3-2. GRANDITプロセス製造業向けテンプレートの特長

次に、この一般的なERPの価値を踏まえたうえで、国産ERP「GRANDIT」とNHSが提供するプロセス製造業向けテンプレートの特長を紹介します。

3-2-1. 生産・販売・会計を一気通貫でつなぐ国産Web-ERP

GRANDITは、販売・調達・在庫・製造・会計などの基幹業務を一元管理する国産Web-ERPです。NHSのプロセス製造業向けテンプレートでは、このGRANDIT標準機能に生産管理モジュールを追加し、生産プロセスの計画と実績を販売・会計とシームレスに連携できるようにしています。

これにより、

・生産システムと販売・会計システムを別々に持つ必要がなくなる

・マスタの二重管理やインタフェース開発が不要になる

・生産データと原価・収益性を同じ基盤で分析できる

といった、ERPならではの「全体最適」を、プロセス製造業の実務に即した形で実現できます。

3-2-2. プロセス製造業特有のBOM・配合表管理に標準対応

NHSテンプレートは、プロセス製造業の特徴である連産品・副産物・中間品などの管理や、配合表をもとにした消費量計算、資材発注管理といった特有の業務要件にあらかじめ対応しています。

・BOM(部品構成表)に「工程・設備」の概念を追加し、工程・設備ごとに原材料を管理

・製品:原材料をN:Nの関係で管理可能

・バージョン管理機能により、配合違いや代替原料への対応も容易

・歩留まり・実収量の2種類の収率を管理し、消費量の自動計算をサポート

従来はExcelや個別システムで運用していた配合・BOM管理を、GRANDIT上で一元的に運用できる点が特長です。

3-2-3. 複数規格・複数数量・帳合・ロットトレースまでカバー

NHSテンプレートは、生産領域だけでなく、販売管理領域も含めた業界特有の要件に対応しています。

・複数規格管理:長さ・幅・厚み・比重など最大10次元の規格管理

・複数数量管理:本・m・kgなど異なる単位を自動換算しつつ管理

・帳合機能:一次店〜最大20段階の商流をマスタ管理し、伝票ごとに商流を紐づけ

・ロットトレース管理:発注・製造・受注・出荷の各明細にロット番号を保持し、クレーム時の影響範囲を迅速に追跡

これにより、プロセス製造業にありがちな、

・「単位が混在して原価が合わない」

・「商流が複雑で単価管理が煩雑」

・「ロットトレースに手作業が残っている」

といった課題に対して、テンプレートの標準機能で対応できるようになります。

3-2-4. 「テンプレート+GRANDIT」で導入ハードルを下げる

プロセス製造業向けテンプレートを活用することで、ゼロから個別に生産管理システムを開発することなく、業界特有の業務要件にフィットしたERP環境を短期間で構築できます。

・すでに業界で利用実績のある標準モデルをベースに導入できる

・カスタマイズを必要最小限に抑えられ、導入期間とコストを圧縮

・GRANDIT標準の会計・管理会計機能と連携し、原価情報を経営分析に活用しやすい

インフォコム株式会社が提供するGRANDITの基盤に、NHSのプロセス製造業向けテンプレートを組み合わせることで、「国産ERPならではの安心感」と「プロセス製造業の実務に根ざした業務ノウハウ」の双方を取り入れたソリューションとなっています。

4.プロセス製造業がERP導入で原価管理を強化するステップ

最後に、プロセス製造業がERP、特にGRANDITとNHSのプロセス製造業向けテンプレートを活用して原価管理を強化していく際のステップを整理します。

ステップ1:現状の原価計算プロセスを可視化する

まずは、

・どの部門が

・どのタイミングで

・どのような前提に基づいて

原価計算を行っているのかを整理します。業務フロー図や処理手順書、利用しているExcelファイル・周辺システムを洗い出し、ボトルネックや属人化している部分を明確にします。

ステップ2:規格・単位・配合といった基礎データを整理する

原価計算の前提となる、

・製品の規格情報

・使用している数量単位

・配合・工程情報

を整理し、どの情報をGRANDITのマスタやNHSテンプレートの機能として持たせるのかを検討します。これにより、テンプレート適用範囲が明確になり、不要なカスタマイズを減らすことができます。

ステップ3:経営層が求める「見たい数字」を明確化する

管理会計と原価計算の関係性を整理し、

・製品別・取引別の利益率

・事業別の収益性

・コスト構造の可視化

など、経営層がどのような切り口で原価情報を活用したいのかを明確にします。これにより、GRANDITの管理会計機能とテンプレートのどの機能をどう組み合わせるかが見えやすくなります。

ステップ4:テンプレートを前提に業務プロセスを再設計する

原価管理を含む業務全体を見直し、可能な限りテンプレート+GRANDITの標準機能に業務を合わせる方向で、業務プロセス(To-Be)を再設計します。

これにより、

・複雑な個別開発を抑えつつ、導入コストを削減

・バージョンアップや法対応(電子帳簿保存法対応など)をスムーズに反映

・将来の拡張や他テンプレートの活用も見据えたシステム基盤を整備

といった効果が期待できます。

ステップ5:導入後も継続的にデータ活用を進める

ERP導入はゴールではなく、原価管理と経営管理の高度化に向けたスタート地点です。

導入後は、

・月次決算スピード

・原価差異の分析状況

・管理会計レポートの利用状況

などをKPIとしてモニタリングし、GRANDITに内蔵された分析機能や帳票出力機能、さらには関連ソリューションも含めて、段階的にデータ活用の幅を広げていくことが重要です。

5.まとめ:原材料高騰時代だからこそ、GRANDITテンプレートで原価を「見える化」

プロセス製造業では、規格の多様性や複数単位の併存、配合・歩留まり・ロットといった要素が絡み合うことで、原価管理はどうしても複雑になりがちです。

こうした環境をExcelや個別ツールの組み合わせだけで対応し続けることは、

・計算の属人化

・決算の遅延

・データ活用の制約

といったリスクを高めることにつながります。

原材料高騰時代においては、

・原材料費・加工費を一元管理し

・原価計算ロジックを標準化し

・経営層がタイムリーに収益性を把握できる

仕組みを持てるかどうかが、競争力に直結します。

インフォコム株式会社が提供する国産ERP「GRANDIT」に、NHSのプロセス製造業向けテンプレートを組み合わせることで、プロセス製造業の実務に即した形で、

・規格・単位・ロット情報の一元管理

・配合・歩留まりを踏まえた原価計算

・生産・販売・会計を貫くリアルタイムな原価・収益性の把握

を実現することが可能です。

プロセス製造業で原価管理の高度化やERP導入をご検討されている企業様は、ぜひGRANDITとNHSプロセス製造業向けテンプレートの活用をご検討ください。

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