
GRANDIT導入企業のためのイベント「GRANDITユーザー会」が2023年11月6日に開催されました。GRANDIT株式会社は、今年創立20周年となる節目の年を迎え、5月にはVer.3.2をリリースするなど、製品とともに進化を続けています。
今回は、東京ミッドタウン ミッドタウン・タワーの会場とオンラインのハイブリッド開催となり、多くの企業が参加しました。ここでは、当日の各セッションのポイントをお伝えします。
GRANDITユーザー会 2023 開催レポート目次
- 1.ご挨拶 (GRANDIT株式会社 代表取締役社長 石倉 努)
- 2.【特別講演】「企業価値を高めるために必要なSDGs戦略」 (講師:EMIELD株式会社 代表取締役 SDGs経営コンサルタント 森 優希 氏)
- 3.【事例講演】「レガシーシステムからERPへの脱却 ~25年の壁に挑む~」 (株式会社タイトー 総務部 情報システム課 課長 森下 祐司 氏)
- 4.【事例講演】「GRANDITが豊通シスコム様にもたらした経営革新とは」 (講師:ベニックソリューション株式会社 営業本部 青木 健太朗 氏)
- 5.【ユーザー会】GRANDIT 今後の展望 (GRANDIT株式会社 事業統括本部 製品企画室 室長 秋田 道仁)
1. ご挨拶
GRANDITユーザー会2023 開催レポート発行に向けてのご挨拶:
GRANDIT株式会社 代表取締役社長
石倉 努

今年もGRANDITユーザー会に多くのお客様にご参加頂き誠にありがとうございました。
今年は、会場とオンラインでのハイブリット開催となり、毎年、無事にこのような会を開催できるのも、日頃からGRANDITをご愛顧頂いているお客様のご支援の賜物と感謝しております。
弊社は、今年創立20周年を迎えました。統合型ERP「GRANDIT」は誕生以来、弊社を含めコンソーシアムメンバー各社が常にお客様のご要望や市場ニーズを吸い上げ、進化を続けています。2023年5月には最新バージョンのV3.2をリリースし、導入社数が1,400社を突破しました。また、2021年10月にはクラウドERP「GRANDIT miraimil(グランディット ミライミル)」のサービス提供を開始しました。
GRANDITは、各業界の深い知見を有するコンソーシアムメンバー企業の協力のもと、成長を続けており、導入や販売などに携わって頂いているパートナー様を加えると現在、約70社の企業がGRANDITビジネスに参加しています。
GRANDITは「ビジネスの可能性を拡げ」「お客様の企業価値を最大化」し、そして「満足していただく」という企業理念の実現のために、お客様の企業成長に向けた新機能を追加しています。
今年のユーザー会では、特別講演としてSDGs経営コンサルタントより「企業価値を高めるために必要なSDGs戦略」について、分かり易く解説いただきました。そして、事例講演では、革新的なゲームコンテンツやサービスを世に送り出している株式会社タイトー様とトヨタグループの大手総合商社である豊田通商および豊田通商グループのIT全般を支えている株式会社豊通シスコム様のGRANDIT導入事例をご紹介。最後に弊社より今後の展望についてお伝えしました。
当日ご参加頂けなかったお客様のご要望にお応えする形で、開催レポートとしてまとめました。本レポートを皆様の今後のビジネス成長にお役立ていただければと思っております。
2. 【特別講演】「企業価値を高めるために必要なSDGs戦略」
講師:
EMIELD株式会社 代表取締役 SDGs経営コンサルタント
森 優希 氏
会場内の聴衆に「あなたの会社は何のために存在するのか、言語化できますか」と問いかけた森氏。この問いは、企業がSDGsに向き合う理由に関係します。SDGsは流行りだから取り組むものではありません。企業が創業以来、大切にしてきた社会・地域・環境に対しての想いを振り返る機会であり、ビジョンを実現するために、SDGsを切り口に事業・経営のあり方を見直すことで、益々の発展に繋げられます。
「SDGsで成果を上げる企業は、事業を通じて本気で社会課題を解決しようとしている企業」と森氏は述べ、成果を上げるための3つの条件を挙げました。
- 企業の社会的な存在意義を明確にする
- 事業と通じた課題解決につなげる
- パートナーシップで取り組みの輪を広げる
1つ目は、企業の社会的な存在意義(パーパス)を明確にすることです。パーパスは、ミッションや経営理念と比較すると、「社会に対して、企業がなぜ存在するのか」を明確にしたものです。パーパスが浸透することでステークホルダーの共感を生みだし、応援してもらえる会社になると森氏は説明します。パーパスは財務業績に影響をもたらすと明示する企業も出てきています。
EMIELD(エミールド)では、「事業を通じて社会課題解決で、笑みから明日を照らす」をパーパスに掲げ、SDGsパートナーシップ事業を展開しています。パーパスの策定支援や社会課題を起点にした事業開発、サステナビリティブランディング、社内浸透の支援を行います。企業の事業・経営課題を解決することを前提に、社会の課題解決に本質的に向き合う仕組みを共に創り上げていきます。支援実績では、伊藤忠建材でのパーパス策定・浸透に向けた支援やノーリツでのSDGs教育支援などが挙げられます。
2つ目の事業を通じた課題解決について、パーパスに基づいて、2030年に会社がどういう姿を目指すのかから逆算して考えます。その上で事業を取り巻く社会課題は何で、解決しないと事業にどのように影響するのかを深堀していきます。そして、自社・ステークホルダーにとって重要度が高い課題の優先度をつけます。
SDGs活動として提示するものの、実態が伴っていない場合、「SDGsウォッシュ」と批判されるケースがあります。SDGsウォッシュとみなされた場合、BtoCの不買運動だけでなく、BtoBの取引においても、業績への影響が大きいケースもあります。そこで、企業は社会課題の背景を理解した上で、取り組むことが重要です。
3つ目のパートナーシップは、社会的なインパクトを追求する上で重要です。パートナーシップでの課題解決はSDGsの17番目のゴールであり、社会課題のテーマに応じて最適な企業、大学、NPO、地域コミュニティなどと共に取り組むことがポイントです。
最後に森氏は「SDGsで成果をあげる企業とは、事業を通じて本気で社会課題に取り組む企業です。それにより、学生・取引先・社員などステークホルダーの共感を生みだし、選ばれ続ける会社になります。」と話して講演を締めくくりました。
3. 【事例講演】「レガシーシステムからERPへの脱却 ~25年の壁に挑む~」
講師:
株式会社タイトー 総務部 情報システム課 課長
森下 祐司 氏
「あらゆる世代の遊びが好きな人たちへエンターテインメント体験・空間を通じて笑顔や新たな驚き、人とのつながりをご提供してまいります。」というミッションを掲げ、アミューズメント事業を中核事業としている株式会社タイトー。
森下氏は、前職での販売システム更新、販売物流システム更新の経験を活かし、2019年にタイトーに入社し基幹システムのGRANDIT移行に携わりました。
森下氏によれば、同社では1990年代に業務領域ごとにAS/400の利用が開始されました。それから20年以上が経過した2014年ごろから運営メンバーの退職などにより維持管理が困難になり、ビジネス継続性のリスクであるという課題が認識されるようになりました。その後、2018年にシステム移行の提案が承認され、2018年にGRANDITを選定、2019年より開発導入プロジェクトが開始されました。講演では、プロジェクトを遂行するにあたって立ちはだかった3つの壁について取り上げ、それをどう乗り越えたのかが紹介されました。壁は、25年間のスクラッチ開発によって生じたものだと森下氏は話します。
■25年の壁① Fit&Gapが難しい
ERPパッケージの導入においては、導入企業の業務や仕組みとシステムの機能が、どれだけ適合(Fit)し、どれだけズレ(Gap)があるかを分析します。しかし、現場ユーザーはGRANDITの中身がわからない、森下氏らプロジェクトメンバーはAS/400の中身がわからないという実情がある中で、お互いに会話を通してFit&Gapを進めざるをえなかったため、時間がかかったと言います。また、新しい業務フローを提案しても、業務の属人化が激しくて、全体を見て確認できる人がいないという課題もあったといいます。
「導入には、丁寧な現状分析が必要です。理想はERPに業務を寄せることですが、無理に寄せずにある程度のカスタマイズは許容することにしました。また、導入直前に必要な機能が追加で判明する場合があるので、当座のための避難先となる基盤を用意しておくとリスク対策になります」
■25年の壁② データ移行が難しい
AS/400に似て非なるマスタが多数存在しており、データをどう移行するのか、どの項目を移行するのかを検証するだけでも多くの時間が必要であったと森下氏は話します。
伝票データは移行せずに運用でカバーするほうがよく、項目の移行については誰も正解がわからないので、時間をかけて複数の人に確認をしてもらったと言います。
■25年の壁③ 教育・運用テストが難しい
これまで使っていた画面から、グラフィカルなGRANDITに変わったことで、ユーザー側から戸惑いの声があり、また、要件定義に参加していないユーザーからの要望も出てきたと言います。
「ユーザーには全体最適化の意義を伝えました。またカットオーバー時のフォロー体制を最大限厚くしてサポートしました。最後は精神論になりますが、明けない夜はないと、気持ちを保ちながらプロジェクトを進めました」(森下氏)
こうした壁を乗り越えカットオーバーし、GRANDITを会計・販売・購買・生産の基幹システムとして利用しています。店舗のSalesforce、人事システムなどと、連携基盤で接続されています。
「会計伝票は月240万件となりますが、GRANDITは安定して稼働しています。例えば、約160ある店舗はSalesforce経由でクレーンゲームの景品を発注し、そのデータがGRANDITに入って仕入先に発注、倉庫に届くと出荷されて店舗に配送されます。店舗の事務所は狭いので、こまめな納期管理をして在庫を管理しています。直前の指示変更があってもGRANDITで処理しています。

GRANDITの導入により、懸念していた事業継続性が確保できましたし、内部統制の強化にもつながっています。オペレーションの脱属人化ができ、人材の流動的な配置も可能になりました。マスタが一元管理できるようになり、データの一元的な管理、集計も可能になりました」(森下氏)
同社では、今後もGRANDITをビジネスの中核システムとして活用していく予定であり、データ分析を強化していくといいます。「クラウドサービスとの連携により、新しいエンターテイメントを提供していきたい」と森下氏は今後の展望を語り講演を終えました。
4. 【事例講演】「GRANDITが豊通シスコム様にもたらした経営革新とは」
講師:ベニックソリューション株式会社 営業本部
青木 健太朗 氏

ベニックソリューション株式会社は、川崎重工業100%出資の会社で、川崎重工グループや多様な企業のIT基盤の開発・運用を担っています。GRANDITのAWARDを多数受賞しており、2022年度にはスマートEntry for GRANDITというスマートデバイスを用いた連携ソリューションでも受賞しました。同社では、GRANDITの個別原価管理アドオンモジュールを提供しています。これは、GRANDITの経理モジュールに集約された仕訳を基にプロジェクトごとの原価計算や実績などの登録などが可能なアドオンモジュールです。
セッションでは、GRANDITおよび個別原価管理アドオンモジュールを導入した株式会社豊通シスコムの事例を紹介しました。同社は、豊田通商グループを中心にシステム全般の構築・保守運用を提供しています。
豊通シスコムでは、3つの課題がありました。
- 販売管理と会計管理でシステムが分かれており、ユーザーインターフェースが統一されておらず操作性が悪い。システム間のデータ連携バッチが多く存在しており、リアルタイム性が欠如していた
- 豊田通商グループとして使用している会計管理システムのEOSが2021年4月に迫っていた。法改正や組織変更時の運用コストが、年々高額になっている
- 実際原価方式を採用しており、プロジェクトごとの採算や実績の把握に時間がかかっていた。原価方式の変更に伴い、原価機能を有するパッケージ、および知見、経験値のあるベンダーを探していた
これらの課題に対するソリューションとして、GRANDITを導入することになり、次の方針でプロジェクトを推進しました。
- アドオン・カスタマイズの極少化
GRANDITと個別原価管理アドオンモジュールで対応 - インフラ基盤にクラウドサービスを導入
AWSを導入し、運用コストを低減 - 業務の運用改革を伴うため、システム稼働後の混乱を配慮
管理職/担当者を想起より参画させ本番稼働前からフォロー - ONE TEAMでプロジェクトを遂行
経営推進、財務経理、ベニックの三位一体で対応 - 開発標準に準拠したプロジェクト推進
PJMS※1に則り、QCDの基準を問題なくクリア
- 1System Development Project Management Standard(システム開発プロジェクト管理標準)
導入後の成果について、次のように説明します。
「導入後、販売、会計管理はもちろん、原価管理までGRANDITに集約できました。これにより、データの一元化やリアルタイム更新はもちろん、ユーザーインターフェースも統一され、システムとしての利便性が高まりました。また、他システムとの連携が大幅に減少したことにより、運用の観点でも軽量化できています。
そしてEOSとなる2021年4月までに予定通りのスケジュールで切り替えを実施でき、法改正対応や組織改正などに発生していた運用コストを大幅に低減できています。原価管理部分については、個別原価管理アドオンモジュールを適用し、標準原価管理に変更しています。プロジェクトごとの採算をタイムリーに把握・分析できるようになりました。GRANDIT標準に加え、原価データを含む様々なデータをBIへ連携しています」(青木氏)
「経営の根幹となる販売、債権・債務、経理、原価データが、GRANDITのBIに蓄積されるようになり、今後はデータに則した経営方針の策定に取り組んでいく予定です。GRANDITのBIに蓄積されたデータを最大限に利用して、データドリブンに基づいた経営を進めることができるようになったことは、豊通シスコムにとっての経営革新といえます」と今後の展望を述べ、講演を締めくくりました。