ベーシックインカムとは、政府がすべての国民に対して、無条件で一定額の現金を定期的に支給する制度のことを指します。
個人の収入や就労状況にかかわらず、一律で支給されるのが特徴で、「最低限の生活を保障する仕組み」として注目を集めています。これにより、生活保護や失業保険など、既存の複雑な社会保障制度を簡素化できる可能性もあるとされています。
1.なぜ「ベーシックインカム」が注目されているのか?
近年、ベーシックインカムへの関心が高まっている背景には、以下のような社会構造の変化があります。
(近年の社会構造の変化)
ベーシックインカムについては、フィンランドやカナダなどでは実証実験も行われており、日本国内でも議論が進みつつあります。
2.ベーシックインカム導入による企業活動への影響は?
ベーシックインカムが導入された場合、企業にとっても無関係ではありません。いくつかの観点からその影響を考えることができます。
1)働き方の多様化
ベーシックインカムにより、生活のために働くというプレッシャーが和らぐことで、個人はより柔軟に仕事を選ぶようになります。副業やプロジェクト単位での働き方が広がり、企業は「フルタイム雇用前提」から脱却した人材活用を求められる可能性があります。
2)消費行動の変化
一定の可処分所得が保障されることで、消費の安定化・底上げが期待されています。とくにBtoCビジネスでは、長期的な市場拡大の後押しとなる可能性があります。
3)社会保障コストの再設計と税制改革
ベーシックインカムの財源確保には、大規模な税制改革が必要とされます。法人税や消費税の見直しなどが検討されれば、企業の資金計画や経営戦略にも影響を及ぼす可能性があります。
4.ERPや業務システムとの関連性は?
現時点で直接的な関係は少ないものの、今後ベーシックインカムが社会保障制度の一部として制度化されれば、企業が人材管理や給与計算、税対応を行うERPシステムにも影響が及ぶ可能性があります。特に、雇用形態の多様化に対応した柔軟な制度設計や、政府とのデータ連携への備えなどが求められるでしょう。
ベーシックインカムは、単なる福祉政策にとどまらず、社会構造全体の変化を促す可能性があります。企業としても、将来を見据えた労働環境の整備やデジタルインフラの強化が重要なテーマとなるでしょう。