株式会社学研ステイフル様
市場変化に迅速かつ柔軟に対応できる基盤をGRANDITで実現
ブランドやキャラクターデザインを使用したステーショナリーなどパーソナル文具・雑貨の企画開発・販売を主業務とする学研ステイフル。趣向変化が激しく、商品ライフサイクルが短いことによる多品種少量販売を宿命付けられたビジネス環境にある同社は、GRANDIT®によって市場環境の変化に迅速かつ柔軟に対応できる業務基盤を実現した。
企業情報
企業名 | 株式会社学研ステイフル様 |
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事業内容 | ステーショナリー・雑貨の開発・販売、コミュニケーションツールの開発・販売、幼児能力開発商品の開発・販売 |
資本金 | 2億5000万円 |
従業員数 | 70人 |
ビジネス環境の変化に即応できる自主独立のシステム構築を選択
2006年7月に社名変更した学研ステイフルは、トイ事業を同じ学研グループの新会社に営業譲渡し、グリーティングカード・文具・雑貨などのホビー事業に特化して新たなスタートを切った。ブランド、キャラクターデザインを使用したステーショナリーやグリーティングカードなどパーソナル文具・雑貨の企画開発・販売を主体に順調に成長を遂げている同社だが、オフィス文具のネット通販の台頭、100円ショップなど異業種の参入といった流通構造の変革と価格攻勢により業界環境は厳しさを増している。そもそもパーソナル文具・雑貨は多品種少量販売の分野であり、消費者ニーズ・趣向の変化が激しい昨今、商品のライフサイクルは短くなる一方。開発・販売のリードタイムの短縮やオペレーションコストの削減は恒常的な経営課題である。
「流通再編や海外生産を含めた製造手法の多様化の中で多品種少量販売を効率化していくためには、リアルタイムな販売状況の把握と判断に基づく生産状況、あるいは原価をコントロールしていく必要があり、課題の“見える化”と早期解決のために情報システムの活用は不可欠」。IT経営についてこう語る代表取締役社長古岡秀樹氏だが、同社の基幹系システムは必ずしもその要求を満たすものではなかった。
従来、同社の基幹系システムは、親会社である学習研究社のメインフレームに依存していた。特に販売・在庫管理システムなどは、出版事業を主体とする親会社と取引形態がまったく異なることから、メインフレーム上にサブシステムを構築するなど開発・運用コストも負担が大きかったという。トランザクションはオンライン化されているものの、業務間のデータ連携が不十分であり、必要なデータの即時入手やサマリーデータが中心で詳細の把握が困難といったシステム的な課題を抱えていた。
また、学習研究社自体が基幹システムを外資系ERPで再構築することが決定しており、利用料を支払ってサービス提供を受けるか、独自システムを構築するかの選択に迫られていた。「事業が多様化している親会社ですが、メインは教育出版事業。ビジネスモデルや取引形態が当社と大きく違い、そこで新たに導入しようとするシステムも設計思想は文具・雑貨メーカーの思想と根本的に異なります。事業規模の違いも勘案して、われわれに合ったシステムを自主独立で開発・導入した方が経営環境に柔軟に即応できると判断しました」(古岡氏)。独自にERPシステムを構築しようという意志決定の動機をこう語る。そこで採用されたのがGRANDIT®だった。
システムの発展性がイメージできる提案とSIerとして信頼性を評価
代表取締役社長 古岡秀樹氏
古岡氏がGRANDIT®を知るきっかけとなったのは、親会社の情報システム部OB社員で、同社情報システム室顧問の紹介だった。ERPシステムの選定にあたって同社は、GRANDIT®のプライムパートナーであるオリンパスシステムズが支援・協業する、日鉄日立システムエンジニアリングが提案したGRANDIT®のほか、既存請求システムのベンダーが提案したオリジナルのERPパッケージ、完全な独自開発の基幹系システムの3社のプレゼンを受けた。そうした経緯の中でGRANDIT®が採用された理由は、基幹業務に加えてBI(ビジネスインテリジェンス)やワークフロー機能などにより発展的にシステムを育てていくことが可能であること。さらに、GRANDIT®のベンダーおよびシステムインテグレータに信頼できるパートナーとして価値を見出したからだと強調する。
「日鉄日立システムエンジニアリングが当社の現状把握をしっかりできていると感じ、システムを発展的に拡張していく将来像がイメージできました。一緒にシステムを育てていくビジネスパートナーとして、信頼できるSIerであることが選定の大きな決め手でした」(古岡氏)。
2007年2月のカットオーバー時に稼動させたGRANDIT®の機能は、販売・調達・在庫・債権管理の各モジュール。今後は債務管理および会計管理を稼動させていく計画だ。販売、製造情報など個々の明細データまで迅速に状況把握したい、あるいは内部統制強化のために業務フローを可視化したいというニーズがあった同社に対して、GRANDIT®が基幹業務機能以外にBIやワークフロー機能などを標準実装しており、それらを順次活用していくことができる点を評価している。
多品種少量生産・販売という商品の特性上、販売現場の状況把握と生産コントロールは重要な課題。迅速な意志決定を行っていくためのシステム活用は同社にとって不可欠な要素だ。
「従来は販売系のデータは定期的に提供されていましたが、それをExcelで加工して利用している状況。ただ製造系のデータは各担当者が個別に管理していました。GRANDIT®の導入によって、そうした情報を統合的に管理できるようになり、明細データまで容易に把握できるようになるメリットは大きいです」(情報システム室 室長代理 貝津氏)と指摘する。
ソリューションのイメージ図
市場変化に柔軟に対応できる業務基盤を実現
学習研究社へのシステム依存の環境から、自らの設計思想に基づいた戦略的に活用できるシステムを構築した学研ステイフル。
これまでのメインフレーム上のシステム開発には、システム上の制限や開発委託・運用コストの増大、開発時間の長さなど多くの課題を抱えていたが、自ら投資をコントロールするとともに、業界環境の変化に柔軟に対応でき将来ビジョンを具現化していくための インフラを完成させた。
「自社でシステムを運用していく人材育成のための投資は必要になりますが、市場変化に柔軟に対応していくために、“社内の見える化”を実現して課題の早期解決を可能にするIT基盤を得たことが最大の効果と考えています。コスト削減においても、従来の委託開発・運用コストと比較して3~4割の削減効果を見込んでいます。今後、ワークフロー機能やBI機能の活用で内部統制強化、業務活動の最適化などによって投資効果は徐々に出てくると期待しています」。古岡社長はGRANDIT®導入の効果をこう強調する。