株式会社ゼロ様
自動車輸送・物流・整備
5ヶ月で計4万枚のペーパーレス化と月次締め業務の効率化を達成。今後の企業成長を支える基幹システムを構築


企業情報
| 企業名 | 株式会社ゼロ |
| 事業内容 | 自動車を主体とする輸送、自動車の整備、中古車オークションの開催・運営、一般貨物輸送 他 |
| 連結売上 | (IFRS基準) 2025年6月期:1,478億4,300万円 |
| 従業員数 | 9,359名(内 臨時雇用者6,656名) (2025年6月末現在) |
| 導入前の課題 | ・ メンテナンスや法改正への対応のたびに、一定の工数・コストを要していた ・ 請求書発送の外部委託により顧客到着まで1週間を要し、即日希望者には営業が個別対応する二重の負荷が発生 ・ 予算実績管理がExcel起点の手作業転記で非効率。基幹の輸送管理システムとの夜間バッチ処理にも時間を要していた ・ 保守対応が特定の担当者に属人化しており、夜間や土日のトラブルに迅速に対応できない |
| 導入・活用ポイント | ・ 他社製品の検討を経て、新システム移行の確実性を重視し、GRANDITのバージョンアップを決断 ・ 要件定義を丁寧に行い、業務プロセスの実態と実現難易度を評価し、対応可能な周辺システム自動連携の強化へリソースを集中 ・ 運用前のテストと課題の潰し込みを実施 ・ リリース直後のイレギュラー処理に対し、ベンダーの常駐サポートを2ヶ月に延長して迅速な対応と性能チューニングを実施 |
| 導入による成果・変化 | ・ Web請求書サービス「eco Deliver Express」の連携と承認申請ワークフロー化により、稼働後5ヶ月で計4万枚のペーパーレス化を達成、将来的な保管コスト削減も見込む ・ 明細取り込み機能や仕入計上の自動連携により、1伝票あたりの作業が数十分から約5分に短縮。子会社の締め業務も各1営業日短縮 ・ 約100社への明細送付業務が自動化され、システム部門の管理・作業工数がゼロに ・ 保守体制がチーム制へ改善され24時間365日の迅速なサポートが実現。経理や事業管理の現場から直接問い合わせ可能な体制へ拡充 |
請求書や申請業務のデジタル化が進まず、煩雑な書類関係が大きな負担に
長年の輸送実績を活かした自動車輸送をメインに、人材派遣、送迎サービス、さらには中古車オークション、輸出まで、全国規模で幅広い物流・人材サービスを展開する株式会社ゼロ。同社はDXによる受注業務の省力化や顧客システムとの自動連携に注力してきたが、社内基盤においては深刻な課題に直面していた。
2014年にGRANDITを導入し、2018年にはグループ子会社5社へ展開。長年の活用を経て、さらなる機能強化と保守体制の刷新を図るべく、バージョンアップのタイミングを迎えていた。
「メンテナンスや法改正 の都度、 一定の工数とコストが発生する状況でした。この機会に保守体制を抜本的に見直し、より安定した運用基盤に移行したいというのがプロジェクトの出発点でした。」と事務局としてプロジェクトを推進したコーポレート戦略本部デジタル・ソリューション推進部 課長 山谷 亮氏は振り返る。さらに、保守対応が特定の担当者に属人化していたことで、トラブル発生時における迅速な対応が難しい状況となっていたことも、今回のプロジェクトを推進する動機の一つとなっていた。

そして、紙中心の業務プロセスによる現場の負荷も限界に達していた。特に請求書の発行・発送業務は、長年外部の請求代行サービスへ委託しており、データを送信してから印刷・郵送を経て顧客に到着するまでに約1週間を要するというタイムラグが課題になっていた。
「昨今は『即日で請求書がほしい』というお客様もいらっしゃいます。しかし郵送では間に合わないため、そうしたお客様に対しては担当者が個別に請求書を作成して送るという、業務負荷が発生していました」と山谷氏は語る。一方、受取側の請求書については、請求書受領サービスを導入していたものの、郵送する取引先が多く、紙の請求書のファイリングが必要で、将来的な書類の保管スペースや、過去の請求書を探し出す探索コストが大きな問題となっていた。加えて、社内の 承認も紙と押印による回覧で行っており、デジタル化が進んでいなかった。
もう一つの課題がデータ連携だ。旧システムの予算実績管理では、予算科目として小科目が登録できなかったため、標準機能でまかなえず、Excelベースでの管理を行っていたのだ。「月初に各部署から前月分データが送られてきて、経理部の担当者が一つずつ手作業で集計用ファイルへ転記していました」と経理部課長鈴木和美氏は、当時の業務について説明する。

また、輸送管理システムとカーセレクション管理システムのデータをGRANDITにバッチ処理で連携していた。月間60万件規模にのぼる輸送管理システムは、夜間バッチ処理が行われていたものの、毎日約3~4時間かかっており、月末には5~6時間になることもあった。
「輸送管理システムとカーセレクションのデータをGRANDITで取り込み、請求書の出力を行っていました。この連携は、新システムにおいても絶対要件でした」と山谷氏は話す。要件定義段階では、その他のお金がからむ経費精算、固定資産管理などのシステムとの連携も視野に入れていたが、ベンダーとの調整で実現の難易度や効果なども踏まえて、調整をしていった。
実績と信頼関係が決め手。他システム刷新のリスクを回避し、確実な移行へ
これらの課題を解決し、今後の法改正対応や事業拡大に柔軟に対応するため、2024年からゼロは他社製品も含めた新たなシステムの検討を開始した 。RFP(提案依頼書)を公開して複数社から提案を受け、評価を進める中で、最終的に同社が下した決断は、GRANDITのバージョンアップであった。
その決定要因について、山谷氏はコスト・期間の最適化と確実性を挙げる。
「他社システムへの刷新を選択した場合、業務フローの構築や設定を完全にゼロからスタートすることになり、立ち上げまでの期間が長期化するリスクがありました。新バージョンへ移行する形であれば、移行コストを抑えられるだけでなく、成功率の高いシステム刷新が可能であると判断したのです」(山谷氏)
システム刷新プロジェクトが本格的に始動すると、事務局はハブとなり、システム部門、経理部、事業管理部といった社内の複数部門とベンダー間のコミュニケーションを徹底し、お互いの認識相違を防ぐための環境づくりに注力した。
しかし、要件定義から開発・テストへと進むプロセスは一筋縄ではいかなかった。要件定義を進める中で、当初要件に上げていた固定資産や労務管理システムについては、現在の業務プロセスの途中にどうしても、人間の手作業が介在せざるを得ないことが判明し、直結が難しいという課題が生じ、自動直結を見送った。
一方で、受領請求書データの連携やグループ会社を含めた経費精算システムの自動連携、そしてWeb請求書サービス「eco Deliver Express」の連携による請求書配信自動化へとリソースを集中させ、効果的な周辺連携の強化を実現することになった。
開発からテストのプロセスにおいては、仕様の認識相違による変更が発生し、検証環境の構築が遅れて総合テスト期間が大幅に圧迫されるという局面もあった。
「テスト期間が想定より短くなり、業務全体を一気通貫で確認するための時間確保が難しくなりました。しかし、ベンダー側と都度、緊密な協議を重ね、限られた期間内で『どの業務を最優先で確認すべきか』という優先順位を再設計しました」と、事業管理部課長工藤剛氏は振り返る。特に重要となる輸送管理システムとのデータ連携や、追加されたシステム連携の検証に注力することで、スケジュール通りに本番を迎えることができた。

教育フェーズでは、混乱を最小限に抑えるため、まず各部署のキーマンに新システムと従来との差異を伝え、実際に使ってもらい要望を洗い出した。「バージョンアップだったため、輸送管理システムとの連携などは問題なくできました。その分、新しいeco Deliver Expressや請求書受領システム、ワークフローなどの違いについて詳しく伝えることができました」と経理部部長 今村和之氏は話す。

また、約20名の担当者にも個別に操作説明を行い、現場でしっかり運用が回るように配慮した。
そして迎えた2026年、年明け直後の本番切替。年末年始休暇直後のリリースという過酷なタイミングもあり、稼働直後は想定外のエラーやイレギュラーな処理が発生し、現場ユーザーからのサポート要請があった。
「想定外の処理やテストでは検証できなかったエラーがあり、リリース直後はサポートに奔走しました」と経理部 勝島靖貴氏は苦笑する。ベンダーの手厚いサポートもあり、1件1件丁寧に対応することで解決をはかった。「大量の業務データが入力されるので、システムの稼働状況を見ながら、性能チューニングを行うことで、最適な処理速度で実行できるようになりました」と話すのは、デジタル・ソリューション推進部次長宇田川裕達氏だ。

伝票の処理が5分で完了、5ヶ月で計4万枚のペーパーレス化。現場が実感する作業効率化と安定感
新バージョンに刷新されたGRANDITは、経費精算、請求書受領、請求書送付といった周辺システムとの自動連携が強化され、人間の手を介さないシームレスなデータフローを実現し、劇的な導入効果をもたらしている。

1.5ヶ月で計4万枚のペーパーレス化と管理コストの削減
「eco Deliver Express」による請求書の電子化と、社内稟議のデジタル化により、稼働後わずか5ヶ月間で請求書約3万枚、承認・支払申請約1万枚の、計約4万枚におよぶペーパーレス化を達成した。
「これまで経理部に回ってきていた大量の紙が激減しました。バインダーに閉じるファイリング作業や、後から伝票を探す探索工数が削減できました」と勝島氏は、現場の業務削減効果を語る。

「ペーパーレス化により社内の書類保管スペースが縮小され、倉庫の賃料コスト削減につながる効果も見込んでいます」と今村氏は予測する。
2. 締め業務の短縮
経理の毎月の締め業務短縮の効果も大きな成果である。
「グループ会社の伝票については、新規開発した明細取り込み機能により、これまで手作業で集計していた作業が、一括ファイル取り込みでできるようになりました。これにより、1伝票あたりの作業時間が数十分から約5分へと大きく効率化しました。また金額の不整合はシステムが自動で弾くため、入力品質も向上しました」と工藤氏は話す。
さらに、売上区分(自社/協力会社)の自動判定や、親会社・子会社・協力会社間の仕入計上の自動連携により、これまで7〜8営業日を要していた子会社の締め業務が1社あたり約1営業日短縮できるようになった。5社合計で非常に大きな工数削減効果を生み出している。
3.ワークフローの効率化
承認・申請もこれまでの紙ベースからデジタル化したことで、効率化につながっている。新しい業務フローの構築に奔走した鈴木氏は、「当初は『紙とハンコの方が早いのではないか』という意見もありましたが、決裁時に支払金額や口座番号の一致を自動照合するチェックツールを導入し、自動承認フローを組み替えたことで、今ではすぐに確認・承認が完了するようになり、皆が効率化を強く実感しています」と笑顔を見せる。
4.受入明細・支払い明細のデジタル化
これまでシステム部門が手作業で約100社の取引先に対して、受入明細・検収明細(支払明細)を出力してメール添付・送付していた。この分も請求書と合わせて「eco Deliver Express」に統合したことにより、個別対応がなくなった。「管理工数はほぼゼロになり、作業工数も削減。配信スピードは速いですし、非常に大きな効果を感じています」と山谷氏は語る。
5. 運用保守体制の強化
従来の属人的な対応からチーム制へと改善されたことで、24時間365日の迅速なサポートが実現した。さらに、システム部門を経由せずとも、経理部や事業管理部の一部メンバーが直接サポートセンターへ問い合わせできる体制に拡充されたため、運用の安心感が格段に向上している。
手作業を極限まで排除したシームレスな基盤へ。創出されたリソースを経営に貢献する付加価値業務へシフト
今回のシステム刷新は成功を収めたが、ゼロのプロジェクトチームはすでに次のステージを見据えている。短中期的な目標として掲げるのは、現在全体の約20%にとどまっている「eco Deliver Express」の顧客登録数の増加だ。数年以内に外部委託による紙の郵送を完全にゼロにすることを目指している。
中長期的には、GRANDITに一元管理されたデータを活かし、より柔軟な情報活用とデータ分析を行うためのBIツールの高度化、およびデジタルインボイスへの対応の検討を継続していく。
最後に、工藤氏はこれからのDX推進における決意をこう締めくくった。
「経営も経理も、DXにおいては『シームレス(人間の手を介さないこと)』が重要だと感じています。人の手が入ると間違いが起こる可能性がありますが、システムでそのまま数字が確定できれば、情報の信頼性が上がります。経理・会計の本質は、単に数値を確定させることではなく、データを分析して経営に活かす点にあります。今回の省力化によって生み出されたリソースを、経営判断に貢献する付加価値の高い分析・改善提案の業務へとシフトさせ、経営を強力にバックアップしていきたいと考えています」(工藤氏)
長年培ってきた実績と信頼を礎に、今もなお事業領域を広げ続ける株式会社ゼロ。ペーパーレス化と業務効率化を実現した「GRANDIT」と「eco Deliver Express」が、同社の次なる成長戦略を支える基盤となっている。
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