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ビジネスコラム

ERP概論

第二回 ERPの導入効果

連載二回目の今回は、ERPを導入することでどのような効果が得られるのかを解説します。

ERPの導入効果

会社の状態の見える化

ERPを導入すると、会社の状態がリアルタイムで見えるようになります。
これがERPを導入する最大の効果であると言えます。

ERPの特徴である"発生源入力"と"リアルタイム処理"により、従来は月次決算を締めないと情報が取得できなかったものが、月中でも各種情報が参照できるようになります。

また、管理する情報の粒度も細かくなります。販売管理や生産管理から会計まで、詳細なレベルでデータ連携しますので、製品別の製造原価を分析したり、製品別の損益や在庫回転率などの管理指標を取得することができます。

さらに、海外拠点までERPを展開すれば、日本にいながら各拠点の受注状況や在庫情報などを参照できたり、各種KPIが取得できるようになるなど、グローバル経営管理の基盤としても有効です。

データの信頼性向上

ERPを導入すれば、システムで必要な情報を集計して出力されるため、他システムからデータ連携したり手作業で資料を作成した場合に比べて、情報の精度が格段に高くなり信頼性も向上します

業務効率化

前述した通り、ERPには開発会社が考える効果的・効率的な業務プロセス(ベストプラクティス)を実現するための機能が実装されているので、上手く活用することができれば業務を簡素化・効率化することができます。システムによる処理の自動化だけでなく、二重入力の回避やチェック作業の削減、管理資料作成時間の削減など、様々な効果が期待できます。

内部統制の強化

ERPには、マスタ管理やユーザの権限管理、伝票の承認機能、改ざん防止、履歴保持(ログ)など、システム監査で求められるような機能の多くが標準で実装されています。
これらの機能を活用することで、内部統制の強化につながります。

法制度対応

消費税の税率変更やIFRSによる会計基準の変更など、法制度が改正された場合にも、メーカー側で対応してくれます。メーカーから更新プログラムが提供され、新しい法制度にも追随することができます。

安定したシステム性能

自社開発した場合に比べ、不具合が少なく品質が安定しています。
最適化されたアーキテクチャで構築されているため、適切なシステムパフォーマンスが発揮されるように設計されていますし、取引量の多い企業でも利用できるようにスケーラビリティ(拡張性)も担保されています。

費用対効果の考え方

次に、企業がERPの導入を検討する際の、投資の妥当性(費用対効果)について考えてみましょう。

以前からよく用いられているのは、業務効率化によるコスト削減効果によって、投資を回収できるかを判断する方法です。
従来は手作業で実施していた業務をシステム化する場合などは、システムによる処理の自動化により作業時間が短縮され業務の効率化につながるので、定量的な効果が出やすくなります。

一方、ERPの守備範囲となる基幹業務では、現在では何らかのシステムが導入されている企業がほとんどであり、ERPを導入したからといって、劇的に業務が効率化されるケースは多くはありません。
従って、定量的な効果のみでERP導入にかかる投資の回収を想定することは困難であり、前述したような定量的効果と定性的効果の両面から導入効果を洗い出し、総合的に投資の妥当性を検証するケースが一般的です。

また、投資額については、自社の財務状況から投資の許容度を勘案し、身の丈に合った金額に抑えることも重要です。ERP導入によって発生する減価償却費の金額が将来のP/Lに与える影響を分析し、利益に対するインパクトを評価する必要があります。
ERP自体は、直接的に利益を増加させるものではないので、ERPに対する投資が経営を圧迫することがないように、慎重な意思決定が求められます。

以上、ERPの導入によって期待できる効果を解説しました。
これらの導入効果は、金額的に測定可能な『定量的効果』と金額では測定できない『定性的効果』の両面の性格を有します。

今回は以上になります。

次回は、ERPプロジェクトの立ち上げ方について説明します。
ERPを導入する場合に、どのようにプロジェクトを立ち上げるべきか、重要なポイントについて解説します。

「第二回:ERPの導入効果」はここまでとなります。
第三回「ERPプロジェクトの立ち上げ方」を是非ご覧ください。

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