トピックス
ビジネスコラム

ERP概論

第三回 ERPプロジェクトの立ち上げ方

多くの会社で、ERPを導入しようとしても、社内のコンセンサスが得られずに踏み切れない、という話を聞きます。
連載三回目の今回は、経営層の承認を得てERP導入プロジェクトを立ち上げるためには、どういったことを企画立案する必要があるかについて解説します。

プロジェクトを企画することとは

通常業務と別に、ある程度大きなボリュームの仕事を行う際にはプロジェクトチームを立ち上げることが多く、そのためにはまずプロジェクトの「企画」をすることが必要です。
ERPの導入でも最初にプロジェクトの企画書(計画書と呼ぶこともあります)を作成します。
経営層は、企画に対して投資判断を下すことになるので、適切な企画書を作成することは、プロジェクトをスタートさせるための第一歩となります。

プロジェクト企画書には、主に以下の内容を記載します。

  • プロジェクト目的・狙い
  • 現状の課題と対応方針
  • システム化対象範囲
  • アプローチ(プロジェクトの進め方)
  • スケジュール
  • 体制
  • 予算/費用対効果

通常は、ERP導入プロジェクトに向けた企画の策定のためにも、プロジェクトチームが作られます。この段階では、他の業務と兼務しながら一定の時間を費やして調査・検討を重ね、数ヶ月かけて企画書を作成するのが一般的です。

必要に応じて、外部コンサルタントに支援を依頼することも検討します。
外部に依頼するかどうかは、社内での経験値や稼動できる要員数などに応じて判断すれば良いでしょう。

企画段階における重要なポイント

次に、企画段階で考慮すべき、重要なポイントを説明します。

導入目的を明確にする

ERPの導入には高額な費用を必要とします。そのため、導入の目的は全社的なメリットであり、経営戦略と整合することが求められます。ERP自体は単なるツールなので、それを使って何を実現したいかを明確にすることが重要になります。

例えば、業務の効率化を図りたいのか、グループ共通で経営管理を強化したいのか、どちらを目的にするかによって、選択するERP製品も異なってきますし、各機能への予算配分の優先順位などにも差が出てきます。

必要な体制を確保する

ERPの導入は、営業や工場、経理などの現業部門から経営層まで、幅広い関係者が関与する、全社横断的なプロジェクトになるので、それに相応しい体制を構築する必要があります。

全社的な判断を要するので、オーナー(責任者)には役員クラスの就任が必須ですし、形だけではなく積極的な関与が求められます。

主要メンバーにも、各部門のエース級の参画が不可欠です。過去の経験上、現業との兼務では、プロジェクト活動に時間が割けないケースが多いので、思い切ってプロジェクト専任でアサインすることが望ましいと考えます。どこの会社でも、エース級の社員を引き抜かれることには現場の抵抗がありますが、要員の調整もプロジェクトオーナーの重要な役割の一つです。

また、ERP導入では、外部の導入ベンダーやコンサルティング会社に依頼する部分が必ず発生します。プロジェクト遂行に必要な体制・役割を明確にして、どこを自社の要員が担当し、どこを外部に委託するのか、最初に明確にしておくことが重要です。自社で経験がないからといって、外部に丸投げしてしまうのは、費用がかさむことはもとより、導入企業側の主体性がなくなってしまい、結果的に失敗するケースが多いです。

実現可能なスケジュールを策定する

システム化の対象範囲や業務の変更度合いなどプロジェクトの難易度を考慮し、プロジェクト期間として現実的なスケジュールを確保します。ERP製品の標準機能を極力を利用した場合はプログラミングの期間を短縮できますが、一般的には1.0~1.5年程度は必要になります。

また、ユーザによる検証の時期が、業務的な繁忙期に重ならないように考慮するなど、参画する要員の稼動状況も確認しておく必要があります。

適正な予算を確保する

対象範囲や機能要件を考慮して、ERPを導入するための概算費用を算出し、必要な金額を予算として確保します。予算は少なすぎても目的を達成できないリスクが伴いますし、多すぎても無駄が生じてしまうので、適正な金額を確保することが重要です。

ERP導入では、スクラッチ開発とは異なり、自社の業務に100%合わせたシステムを作ることはできません。ERPの標準機能に合わせる部分と自社の業務を優先する部分(=追加開発をしてでも自社の業務にシステムを合わせる)とのメリハリを付ける意識を持つことが、予算を確保する段階で必要になります。

企画段階において、上記の全てを理想的な状態にすることは難しいかもしれません。もし、不安要素がある場合はプロジェクトのリスクとして認識しておき、何らかのバックアップ策を講じておくことが重要です。

今回は以上になります。

次回は、ERP製品の選定方法について説明します。
数あるERP製品の中から、どのように自社の要件にフィットした製品を選定するのか、重要なポイントについて解説します。

「第三回:ERPプロジェクトの立ち上げ方」はここまでとなります。
第四回「ERP製品の選定方法」を是非ご覧ください。

お問い合わせ・資料請求

資料請求・お問い合わせはWEBで承っております。どうぞお気軽にご相談ください。

WEBからのお問い合わせ
お問い合わせ
資料ダウンロード・資料請求
資料請求