ギグワーク（Gig Work）

ギグワークとは、短期間・単発で請け負う仕事のスタイルのことを指し、「フリーランス」や「ジョブ型雇用」などと合わせて、近年注目されています。

「ギグ（Gig）」は元々、音楽業界での「1回限りの演奏」などを意味する言葉で、そこから転じて「必要なときに必要な分だけ働く」形態を「ギグワーク」と呼ぶようになりました。

タクシー配車アプリの運転手や、フードデリバリー、クラウドソーシングを通じたデザインやライティングの受託など、インターネットやアプリを介して仕事を請け負うスタイルが代表的です。

（誕生の背景と拡大の要因）

• デジタルプラットフォームの発展（スマホアプリやマッチングサービス）
• 働き方の多様化と柔軟性重視の傾向
• 副業解禁や終身雇用の揺らぎ
• パンデミックを契機とした非接触型業務の増加

これらの要因を背景に、ギグワークは「一時的なトレンド」ではなく、今後も拡大が見込まれる働き方の1つとされています。

1.ギグワークが企業活動へ与える影響
ギグワークは「個人の働き方の選択肢」という側面にとどまらず、企業側にとっても雇用戦略や業務設計に影響を与える重要なトピックです。

１）人材活用の柔軟性向上
業務内容や繁忙期に応じて、必要なスキルを持つ外部人材をオンデマンドで確保できるようになります。コスト効率やスピードを重視する業務には適した形態です。

２）競争力のある採用モデルの再構築
特にITやクリエイティブ分野では、フルタイム雇用よりもギグワークを選ぶ優秀な人材も多く、企業は「雇う前提」から「プロジェクトベースで関わる」といったことを前提にしたマインドシフトが求められます。

３）労務管理や制度整備の必要性
ギグワーカーは雇用契約ではなく業務委託契約となるため、報酬の支払方法や労働時間管理、契約リスクへの対応が不可欠です。法規制や税務面での知識も求められます。

2.ERPや業務システムとの関連性
企業でのギグワーカーの活用が進むと、以下のようなシステム対応が求められる可能性があります。

• 業務委託契約の管理機能
• 報酬の成果連動型処理（給与ではなく報酬）
• タレントマネジメント機能によるスキル把握とアサイン管理
• 法令・税制変更への迅速な対応

特に中長期的には、従業員と外部人材が社内に混在するハイブリッドな労働環境に適応する柔軟性が競争力の鍵となるでしょう。

ギグワークは、働き手にとっての自由な働き方というだけでなく、企業にとっても新しい人材戦略の一環です。
企業側はこのトレンドを「労働力の外注化」ではなく、「業務の再設計と最適化のチャンス」と捉えることで、より柔軟で競争力のある組織運営が可能になります。