5月8日(水)~10日(金)の3日間、東京ビッグサイト青海展示棟にてGRANDIT DAYS 2019(リード エグジビション ジャパン社主催「JapanIT Week」内)が開催されました。
GRANDITの展示ブースは、組立製造業向け、プロセス製造業向け、商社・卸売業向け、情報通信・サービス業向けなどの業種・業態向け展示に加え、GRANDITが得意とするグループ導入やRPAソリューションについてもパネルやデモ機を用いた展示を行い、連日多くの来場者がGRANDITのもたらす革新性に真剣な眼差しを向けていました。
また、GRANDITブースの一画に設けられたプレゼンテーションステージでは、コンソーシアムのメンバー企業やGRANDIT社の開発責任者による各種ソリューションのプレゼンテーションが行われ、多くの来場者が、その説明に耳を傾けていました。
本開催レポートでは、GRANDIT DAYS 2019開催にあたり、GRANDIT株式会社 代表取締役社長 石川研一が語る「『GRANDIT Ver.3.0』の魅力と今後の展望」、および活況を呈したプレゼンテーションの様子をご紹介していきます。
社長インタビュー
「『GRANDIT Ver.3.0』の魅力と今後の展望」
多様なサービスと連携し、ERPの枠を超えていく
GRANDIT Ver.3.0のリリースから約1年が経ちました。ユーザーからの反響などはいかがでしょうか?
【石川】GRANDITは昨年、導入社数1000社を達成、ここ1年間のライセンス売上高も過去最高を記録しました。現在お客様に導入いただいているバージョンのほとんどが3.0であることを考えれば、ご好評いただけていると言っていいと思います。
この「GRANDIT DAYS 2019」のブースで来場者の方々の話をうかがっていると、特にRPAへの関心が高いのがわかります。GRANDIT Ver.3.0のリリースと同時に発表した「RPA Solution for GRANDIT」は、GRANDITと周辺業務を繋いで自動化し、ERPの守備範囲を拡げる重要な役割を担っています。ユーザーの皆様はその特性をよく理解し、それぞれの業務の中で上手に活用されているようです。
さまざまなIT企業が独自のソリューションを披露するこの「JapanIT Week」において、GRANDITのアピールポイントはどこでしょうか?
【石川】コンソーシアムを構成するパートナーと共同で出展している点は大きな特徴です。私どものように、一つの製品を複数の企業でアピールしているブースは他にはあまりないでしょう。コンソーシアムの各社それぞれが強みを有する業種を長くサポートし、その結果得られたノウハウをこのGRANDITのブースに集約しています。
さまざまな業種ごとに特異性があり、その事情を一朝一夕に理解することはできません。その点、異なる業種に強みを持つ複数の企業がコンソーシアムのメンバーであることは、非常に意義があります。我々の場合は、メンバー各社が、それぞれ精通した業種のお客様のもとへGRANDITという共通のモジュールを携えて赴き、その業種特有のお客様の課題をお聞きし、その業種特有の言葉で解決策を提案できる。これは、コンソーシアム方式を採用するGRANDITの強みの一つと言えます。
今後について、どのような展望をお持ちですか?
【石川】GRANDITに限らず、ERPは企業の土台部分を共通でサポートするシステムです。一方で、成長著しい企業は、自社が強みを持つ独特な業務をテコにして成長を実現している。すると、その「独特な業務」に共通のシステムで対応できるのか、という問題が出てきます。独特な業務には、その業務に特化したソリューションが求められるのです。
今は、クラウドサービスなどで、一部の業務に特化したソリューションが数多く出てきていますが、そういったクラウドとGRANDITが手を結び、つながっていく。そうすれば、従来のERPのサポート範囲にとどまらない幅広い分野までカバーすることができるでしょう。GRANDITが、大きく広がるクラウド集合体の核になっていく、そのようなイメージを抱いています。
周辺のクラウドサービスが次々と生まれているため、GRANDIT自体のクラウド化もより本格的に進めなければなりません。その第一歩として、昨年サブスクリプションサービスをリリースしました。マイクロソフトのクラウド基盤の上で、サブスクリプション型のGRANDITを定額でご利用いただけるサービスです。
サブスクリプションサービスには、企業の事業規模の変化に対応できるという大きなユーザーメリットがあります。選択と集中が求められる時代、企業が自社の一部門をM&Aで売却し、得たキャッシュで次のビジネスを買収するという動きがますます活発になるでしょう。業務の基盤を支えるERPが、このような企業の変化に柔軟に対応できることは、経営の選択肢を広げるという意味において非常に意義のあることです。
このようにして、周りのクラウドサービスと連携を取りながら、もっとさまざまなユーザーのさまざまな使い方の中に、GRANDITを浸透させていきたいと思っています。
これ以外にも、サービスの幅を広げていくさまざまな取り組みを行っています。私どもGRANDIT株式会社が主体で行っているものもありますし、コンソーシアムのメンバー企業が独自に取り組んでいるものもあります。さらに、複数のメンバー企業がそれぞれ進めていた取り組みが一緒になり、幅広いサービスになるようなことも始まっています。
今後は、さまざまなところと手を繋いで、サービスの幅を広げていきたい。GRANDITは、その基盤として相応しいERPだと確信しています。
進化系ERP GRANDITのご紹介
ステージでは、GRANDITのコンセプトや特徴についてプレゼンテーションが行われ、GRANDITの特徴的な事業モデルや、昨年リリースされたGRANDIT Ver.3.0の主要な機能を紹介しました。
まず冒頭で、その名称について説明があり、「GRANDIT」はフランス語の「成長する」という意味と英語の「偉大な」という意味を持つ「GRAND」に、情報技術を意味する「IT」を組み合わせた造語であるという紹介は、来場者の興味を引き付けました。
次に、GRANDITの事業モデルとして、コンソーシアム方式を採用し、中核となる情報企業13社が、日本企業の業務に適合したERPを目指し、共同で企画・開発を行っていることをアピール。
その上で、GRANDIT Ver.3.0の特徴として、
- ERP×RPA 自動化による生産性の向上
- グループ経営の可視化による環境変化への対応
- ITインフラの柔軟な対応による働き方改革の推進
の3つを挙げ、来場者に革新的な製品の魅力を訴えました。
さらに、プレゼンテーションは、2004年に国内初の完全Web ERPとして誕生したGRANDITの製品コンセプトを紹介しました。
まず、GRANDITは操作性を追求し、運用コスト面でもメリットがあることを訴求。次世代の企業プラットフォームとして常に進化を続けており、基幹業務に必要な機能を全て兼ね備えた「真のオールインワン」であること、業種ごとのソリューションをテンプレートというかたちで提供し、AI、IoT、RPAなどの最新情報技術や、働き方改革、グループ経営といったビジネストレンドに柔軟に対応できる点が強調されました。
プレゼンテーションの最後で、「導入社数1,050社以上」「モジュール導入数4,800本以上」という実績を強調し、GRANDITが多くのユーザーから支持を集めていることを紹介すると、来場者はGRANDITに大きな関心を寄せていました。
プロジェクト原価管理テンプレート/継続契約管理テンプレート
嶋田 康治 氏
インフォコム株式会社の嶋田氏が登壇。情報サービス業向けの2つのテンプレートを紹介するプレゼンテーションを行いました。
最初に、継続契約管理テンプレートの紹介です。
開発の背景について、嶋田氏は、「自社の業務の負担を減らし生産性を向上するために開発した」と述べ、同業であるIT企業に活用を勧めました。
嶋田氏によると、数あるERPパッケージの中で、契約を管理できる製品は多くないとのこと。一方で、「GRANDITと継続契約管理テンプレートを組み合わせれば、顧客との契約によって発生する定期的な売上、請求、仕入、支払などの伝票類の自動生成と計上が可能となり、伝票登録業務の抜け漏れミスを抑制し、生産性向上に貢献できる」とし、ERPの利便性が大きく高まると言います。
現在、継続契約管理テンプレートは情報通信サービス業を中心に幅広く利用されており、特に売上計上や帳票類への入力作業が集中する月末・月初の業務効率化で効果を発揮するとのこと。そのため、昨今話題になっている残業抑制や、働き方改革といったビジネス課題に対する一つの解として大いに期待できると、嶋田氏はその可能性をアピールしました。
次に、プロジェクト原価管理テンプレートの紹介に移ります。
嶋田氏によると、一般的にIT業界では受託開発の工期が長期にわたる場合、工事進行基準会計の適用が求められるケースが増加していると言います。「工事進行基準」とは、長期にわたる開発期間中に、進捗率に応じて売上認識を行う方式。
工事進行基準会計を採用するIT企業が増加しつつある中、市場のERPでこの方式に対応した製品は非常に少なかったとのこと。そこでインフォコムでは、案件発生から実行予算の立案、受注後に収支管理をしながらプロジェクトの進捗を管理することができるプロジェクト原価管理テンプレートを開発。ERPと連動し原価比例法に従った工事進行基準に対応するプロジェクト管理機能を提供できるようになったとのことです。
嶋田氏は、2つのテンプレートのメリットについて、ユーザー企業の事例紹介を交えて具体的にアピールしました。そして最後に「紺屋の白袴」という言葉を用いて、GRANDITと2つのテンプレートによって、意外にもIT化が進んでいないIT業界の働き方改革推進を強く訴えました。
生産管理アドオンモジュール
興津 敦 氏
株式会社システムインテグレータの興津氏が登壇。組立製造業向けの生産管理アドオンモジュールを紹介するプレゼンテーションを行いました。
開発の背景について、興津氏は次のように述べました。
「約10年前、基幹システムの更新を検討していたある製造業のお客様から、生産、販売、購買、会計などを統合したERPを導入したいと相談があったのがきっかけです」
興津氏によると、10年前は生産管理までカバーしたERPは少なく、顧客の要望に何とか応えたいという一心から、GRANDITと組み合わせて利用する生産管理アドオンモジュールの開発に踏み切ったと当時を振り返りました。
さらに、競合製品との違いについて興津氏は、生産管理アドオンモジュールの特徴として、次の3つを挙げました。
- 生産、販売、会計をERPで統合できる
- 納品だけではなく、据付工事やアフターサービスまで統合管理が可能
- オールインワンでの提供
GRANDITと生産管理アドオンモジュールを組み合わせることで、生産管理周辺の幅広い業務範囲をカバーできる点が、競合製品との大きな違いだと言います。
次に、実際にこの生産管理アドオンモジュールをグループ3社で利用しているユーザー企業の事例を紹介しました。
興津氏によると、その企業は、それまで十数年間独自開発したシステムを利用していたため、ビジネス環境の変化に対応できず、膨大なランニングコストがかかっていたとのこと。そこで、新しいビジネスモデルに柔軟に対応していきたい、膨れ上がったランニングコストを何とか抑えたいという強い要望があったと言います。
その要望に応える課題解決策としてシステムインテグレータ社が提案したのが、GRANDITと生産管理アドオンモジュールでした。実際に、提案を受け入れたそのユーザー企業は、GRANDITと生産管理アドオンモジュールを導入。結果として、システムのスリム化が図れ、ランニングコストは半分以下になったと言います。
導入後、そのユーザー企業からは喜びの声が寄せられました。特に評価が高かったのが、生産を含めた統合が図れた点と、グループで共通のプラットフォームとして活用できる点です。
最後に興津氏は、生産管理だけなら専用パッケージの方がいいかも知れないと前置きしながら、「生産管理、工事施工、アフターサービスまで、全てを含めた統合を図りたいなら、GRANDITを」と推奨し、プレゼンテーションを締めくくりました。
基幹システム導入における勘所
川井 哲也 氏
パナソニック インフォメーションシステムズ株式会社の川井氏が登壇。基幹システム導入時の勘所についてプレゼンテーションを行いました。
まず川井氏は、2003年度、2008年度、2018年度を比較した統計データを示し、基幹システム導入の失敗率が、開発導入プロセスの浸透や、PMBOK導入などリスク低減の努力によって年々下がってきていることを示しました。
その上で、「それでもまだ一般的には約半数が基幹システムの導入に失敗している」と、問題点を指摘。失敗を左右する重点要素として次の3つを挙げました。
- コミュニケーション
- 意思決定プロセス
- プロジェクトの見える化
この3つの要素について、どのように対処すれば失敗率を下げることができるのか、川井氏の解説は続きます。
ある製造業のケースでは、システムにオフコンを利用していたところ、個別業務の最適化によって業務の重複が発生するとともに、必要情報の分散によって業務負荷が増大してしまいました。
そこで、これらの課題解決を目指してGRANDITの採用を決定。導入プロジェクトでは、失敗を回避するために次の7つの取り組みを行いました。
- ① オフサイトミーティングの設置
- ② プロジェクトオーナーからのメッセージの発信
- ③ ウォークスルーの実施
- ④ アドオン審議会の開催
- ⑤ スケジュール遅延への対応
- ⑥ スコープ変更への対応
- ⑦ 運用テスト後にアンケートを実施
①では、通常の会議体以外にミーティングを設定し、プロジェクトの課題や対策を検討。なるべく本音で話せる雰囲気を創出し、②では、オーナーからプロジェクトの方針などのメッセージを繰返し強く発信してもらい、多様な部門から集まったメンバーの参加動機付けを図りました。
また、③では顧客にシナリオ作成を依頼し、そのシナリオをベースにパナソニックインフォメーションシステムズ社のSEがパッケージ機能を説明していったとのこと。これには上流工程でGRANDITを用いた業務を理解してもらう意図があったと言います。
このほか、⑤や⑥など、避けられない遅延や変更については、状況の見える化や密なコミュニケーションによって失敗を回避したと、川井氏は振り返ります。
講義の最後に川井氏は、冒頭に示した失敗を左右する3つの重点要素に対応させて、基幹システム導入の勘所を次のように纏めました。
- コミュニケーション
⇒ 本音と建前の使い分け、トップダウンのアプローチ - 意思決定プロセス
⇒ 現場の事前準備と、トップと現場双方の合意 - プロジェクトの見える化
⇒ 情報の定量化と定性化、それに基づいたタイムリーな対処
RPA Solution for GRANDIT
高橋 昇 室長
GRANDIT株式会社の高橋室長が登壇。RPA Solution for GRANDITを紹介するプレゼンテーションを行いました。
最初に高橋室長は、ERPの導入には、1年以上の期間を要することも珍しくないとした上で、「時間をかけてERPを導入しても、手作業の部分が多く残り、なかなか生産性が向上しないケースがある。そこで、現場目線に立って、より生産性を向上させるためにはどうしたら良いかと考え、ERPとRPAを組み合わせたRPA Solution for GRANDITをリリースした」と、開発の背景を語りました。
さらに、他のRPAとの違いに触れ、「基幹システムは止まることが許されないシステムです。しかし、世の中にあるRPAの中には、操作対象とするWebサイトがリニューアルしてしまうと動かなくなってしまうものもある。だからこそ、ERPと組み合わせて使うRPAは、安心して動くことが重要」と述べ、基幹業務を担うERP、そしてそのERPに採用するRPAだからこそ、安定性を追求したと強調しました。
続いて、RPA Solution for GRANDITの特徴的な機能について詳しく解説していきます。
「多くのRPAは、ロボットに指示を出した後、人間はロボットが命令を遂行するのを待つだけです。元の情報が間違っていても疑問を抱かずにそのまま命令を遂行しようとします。ですが、RPA Solution for GRANDITは、ロボットが人と対話しながら業務を行う点が大きな特徴です」
つまり、人とロボットがそれぞれの得意分野を分担して連携することで、よりミスを抑えながら効率的に業務を行うことができる、と言うのです。
更に、ロボットと人間の連携の様子について、デモ動画で解説。
複数のサイトやアプリケーション間を行き来しながら、ロボットが自動でタスクを処理する工程と、人間が準備や判断しなければいけない工程が分けられ、半自動でフォームへの入力作業が行われる様子が映し出されました。このデモ動画を観て、GRANDITのRPAがどのような働きをするのか、イメージできた来場者も多かったのではないでしょうか。
最後に高橋室長は、今回の展示の中でも特にRPAに対する注目度が高いことに触れ、来場者に向けて、少しでも気になることがあれば、気軽に相談してほしいと訴えました。
個別ブース・展示ソリューション
ブース | 概要 | 展示ソリューション |
---|---|---|
組立製造業向け | 製造・販売・財務を統合して一括管理 繰返、個別、ハイブリッド生産に対応 |
生産管理アドオンモジュール |
生産状況、在庫状況のリアルタイム管理が可能に! | 無線ハンディターミナル連携オプション for GRANDIT | |
プロセス製造業向け | 生産管理システム+MES連携工場を見える化 | 統合生産管理システム AP-21連携 |
製造・販売・財務・電子帳票を統合管理 | プロセス製造業向けテンプレート 電子帳簿保存法対応テンプレート |
|
商社・卸売業向け | 商社導入で培ったノウハウを凝縮しテンプレート化 | 商社向けアドオンテンプレート |
情報通信・サービス業向け | IT企業に必要な業務全般を統合管理 | プロジェクト原価管理テンプレート 継続契約管理テンプレート |
建設・工事業向け | プロジェクト(工事)別の見える化を実現 | 工事管理アドオンモジュール |
ファッション業界向け | ファッション業界向け全工程に対応したERP | ファッション(アパレル)業界向けテンプレート |
グループ導入 | 単体企業の最適化からグループ全体の最適化へ | グループ導入支援ソリューション |
RPA | ERP×RPAで実現する働き方改革 | RPA Solution for GRANDIT |
※個別ブース、展示ソリューションは、予告なく変更される事がありますのでご了承ください。
会場図
青海展示棟 [小間番号] 青35-28
会場
開催日程 | 5月8日(水)~10日(金) 10:00~18:00(最終日のみ17:00まで) |
---|---|
会場 | 東京ビッグサイト 青海展示棟 |
住所 | 〒135-0064 東京都江東区青海1-2-33 |
アクセス |
公共交通
高速道路
|
主催 | リード エグジビション ジャパン株式会社 |