販売管理とは?メリットや業務プロセス、システム選定ポイントなどを解説
販売管理は、受注から入金確認まで一連の販売業務を効率化するための重要な取り組み
本記事のまとめ
- 販売管理は、売上や利益の拡大に向けて必要となる一連の販売業務の管理である
- 販売管理によって、作業効率化やコスト削減、販売状況のタイムリーな可視化が図れる
- 全社最適視点を持って効率的に販売管理を行うためには、ERPツールの導入が有効である
販売管理は、単に「モノ」を売ることだけに留まらず、企業の収益拡大に向けて必要な業務を幅広く担います。本記事では、販売管理の概要やメリット、業務プロセス、システムの選定ポイントなどを解説します。
目次
1. 販売管理とは
まずは、販売管理の概要や目的について解説します。
販売管理の概要
一般的に販売管理とは、企業活動における「お金」と「モノ」の流れを管理することを指します。たとえば、「商品Aをいつ誰にいくらで販売し、代金は回収済であるか」といった管理です。
ただし、販売管理の役割は、単に「モノ」を売ることだけではありません。売上や利益の拡大に向けて必要な業務全体に関係し、「顧客満足度の向上」や「環境変化に対応するためのデータ分析」なども販売管理においては重要な取り組みとなります。
販売管理の目的
企業における販売管理の目的としては、主に以下4点が挙げられます。
- 損益の把握および利益向上
販売管理は、売上や利益にまつわる業務全体を管理します。したがって、販売に伴う損益の把握、および利益向上のためのマーケティング施策につなげることを目的としています。 - 業務の適切な管理
販売活動には開発部門、製造部門、マーケティング部門、経理部など、さまざまな部門が関わります。情報伝達ミスによる誤発注や納期遅れなどを防ぐために、業務を適切に管理することも販売管理の目的の1つです。 - トレンドを踏まえた販売予測
販売管理は、現在の販売状況だけではなく、将来的な販売予測も担います。既存の販売データを基にした次年度の販売予測などは、今後の経営活動の準備において大切です。 - 顧客と関係性構築および強化
販売管理には、商品の納品や支払い状況の確認など、顧客とのやり取りも含まれます。しっかりと納期通りに商品を届け、顧客との信頼関係を築くことが重要です。
2. 販売管理を行う4つのメリット
販売管理には、以下に示す4つのメリットがあります。
①作業ミス低減および作業効率性の向上
販売業務に関するさまざまな情報を一元的に管理することで、関係者間での認識相違を防止できます。その結果、ヒューマンエラーの減少や、作業効率アップにつながります。販売業務では、見積書や請求書のやり取り、資材の受発注、在庫の棚卸しなど業務が多岐にわたるため、しっかりと情報を集約して管理することが重要です。
②管理コストの削減
受発注状況や在庫状況を正しく把握することで、二重発注や在庫ロスを防止でき、商品在庫などの管理コスト削減が図れます。
③販売状況のタイムリーな可視化
販売管理を行うことで、商品の販売状況を即時に把握できます。商品の売れ行きや損益状況をタイムリーに可視化して社内に共有することで、素早い商品改善や新商品の開発につながるでしょう。
④販売計画の精度向上
商品の販売状況を正確に管理できるため、これまでの販売実績を年単位や四半期単位で振り返ることが可能です。過去の販売実績を参考にすることで、次年度以降の販売計画をより精緻に立てられます。
3. 販売管理の業務プロセス
販売管理には、幅広い業務プロセスがあります。ここでは、販売管理の一般的な流れについて解説していきます。
①受注管理
仕事の案件が発生したら最初に行うのが受注管理です。受注管理には、大きく以下3つのステップがあります。
- 見積作成
- 契約締結
- 受注業務
- 見積作成
案件の見積書を作成します。見積書には、顧客と取引を行う内容・数量・金額・納期などを明記することが一般的です。 - 契約締結
はじめて取引を行う顧客の場合、契約書を締結します。支払時期や支払方法、個人情報の取り扱い方針など、重要な事項に関する合意形成を行います。 - 受注業務
見積書作成および契約締結ができたら、次は受注業務です。見積書と契約書の内容に基づき、顧客から注文書を発行してもらいます。
②出荷管理
受注後は、商品の出荷業務に移ります。出荷管理におけるステップは以下のとおりです。
- 出荷業務
- 納品業務
- 出荷業務
顧客と取り交わした納期から逆算して、出荷スケジュールを立てます。納期までのスケジュールを出荷担当者に連絡して、生産から発送までの出荷業務を実施しましょう。 - 納品業務
顧客へ商品を納品できたら、納品書・受領書を発行して顧客から受領印をもらいます。天候状況や交通状況によっては、発送から納品まで時間がかかる場合もあるため、発送の進捗状況の確認も必要です。
③請求管理
無事に納品が完了したら、代金を請求します。請求管理のステップは以下のとおりです。
- 請求業務
- 回収業務
- 請求業務
納品書・受領書を取り交わした後は、請求書を発行します。請求書には、支払い期日を明記しましょう。納品ごとに毎回請求書を発行するかどうかは、契約締結時の内容によって異なります。 - 回収業務
請求書に記載の支払い期日までに入金がされているかを確認します。万が一、期日までの入金がない場合や金額に誤りがある場合は、顧客への確認を行いましょう。
④仕入管理
受注から入金確認までの流れは前述のとおりです。ここからは、次回以降の取引に向けた商品の仕入などの準備になります。仕入管理の主なステップは以下のとおりです。
- 見積請求
- 契約締結、発注
- 検収
- 支払い処理
- 見積請求
商品を販売するにあたっては、資材などの仕入が必要となる場合も多いでしょう。仕入を行う場合、まずは仕入先に見積を依頼します。仕入先が未決定の場合は、複数の仕入先に見積依頼をすることも一般的です。 - 契約締結、発注
受領した見積書の内容を確認して、金額やスケジュールなどに問題がなければ契約締結を行い、注文書を発行します。 - 検収
資材などを納品してもらった後は、納品物の検収を行います。内容や数量が合っているか、不良品が含まれていないかなどを確認しましょう。 - 支払い処理
検収完了後は、契約締結時に合意した支払方法や支払期限に従い、仕入先への支払いを行います。
⑤在庫管理
商品販売の際に在庫切れを起こさないよう、しっかりと在庫管理をすることも大切です。在庫管理では、以下のステップがあります。
- 受払業務
- 実地棚卸業務
- 購買依頼業務
- 受払業務
受払業務では、在庫の数量や商品単価、金額などの項目をまとめて、在庫の入出庫記録を作成します。 - 実地棚卸業務
入出庫記録の内容と実物の在庫が合致しているかを確認することも重要です。実地棚卸業務として、実際の倉庫などに行って入出庫記録と実物に差異がないかを確認します。差異があった場合は、在庫データの修正や原因調査を実施しましょう。 - 購買依頼業務
在庫数が減ってきた際は、購買依頼業務として仕入先に発注をかけます。発注する基準には「定量発注点方式」や「定期発注点方式」があります。資材の特性などを踏まえて決定するとよいでしょう。
4. 販売管理システムの基本的な機能
業務が多岐にわたる販売業務を適切に管理するためには、販売管理システムを活用することが効果的です。以下では、販売管理システムの基本機能について解説します。
受注管理機能
受注管理機能では、見積書作成や受注案件の情報管理ができます。また、これまで登録した見積データや受注データを検索したり、一覧で表示したりすることも可能です。
出荷管理機能
出荷管理機能では、出荷依頼や出荷実績の記録を行えます。出荷スケジュールの進捗状況を確認する際にも便利です。
請求管理機能
請求管理機能では、代金の請求や回収、入金消込を管理できます。顧客や取引先が増えるにつれて請求管理は複雑になっていくため、システム上で一覧確認できると業務負荷の軽減につながります。
仕入管理機能
仕入管理では、商品の見積や発注、仕入の管理が可能です。受発注データに基づく入出荷の増減把握などに役立ちます。
在庫管理機能
在庫管理機能は、在庫を倉庫別などで管理できる機能です。倉庫間で在庫の移動があった際に、在庫を追跡できる機能もあります。
5. 販売管理システムの種類
販売管理システムには、主に3種類が挙げられます。
①パッケージ型
パッケージ型は、開発ベンダーが提供する販売管理システムであり、ソフトウェアを自社のパソコンにインストールして利用するタイプです。自社でシステム開発が不要な点や、自社サーバー上で管理するためのセキュリティ安全性が高い点がメリットです。
一方で、利用がインストール端末に限定される点や、自社でソフトウェアのバージョンアップが必要な点はデメリットといえます。
②オンプレミス型
オンプレミス型は、自社内で販売管理システムの開発を行う方法です。自社サーバー上で開発・運用するためセキュリティ安全性が高く、自社の要件に沿ってシステムを構築できます。
ただし自由度が高い分、システム構築費用や運用費用が高額になりやすい点がデメリットです。
③クラウド型
クラウド型は、インターネット経由で販売管理システムを利用する方法です。インストール不要でどの端末からでも利用でき、自社でソフトウェアのバージョンアップを行う必要もないため、手軽に利用できます。
一方で、毎月の利用料が発生することや、柔軟なカスタマイズがしにくいことは懸念点といえます。
6. 販売管理システムの選定ポイント
ここでは、販売管理システムの選定ポイントを3つ解説します。
①自社の業種や業態、企業規模に合っているか
販売管理システムの選定においては、自社の業務特性やビジネスの規模に適したシステムを導入することが重要です。自社のビジネスに適合していないと、せっかくシステムを導入しても業務で活用することができません。とくに自社特有の商習慣がある場合は、販売管理システムで対応できるかを確認しておきましょう。
②どの種類の販売管理システムにするか
前述のとおり、販売管理システムには「パッケージ型」「オンプレミス型」「クラウド型」があります。それぞれにメリット・デメリットがあるため、自社のニーズに即して決めましょう。るたとえば、自社でソフトウェアを構築・運用する手間を最小限に抑えたい場合は、クラウド型を選ぶのが効果的です。
③導入後のサポート体制は十分か
販売管理システムは導入して終わりではありません。日々の業務運用で活用してこそ価値を発揮します。日常の業務で安心して使うためには、導入後のサポート体制も重要なポイントです。パッケージ型やクラウド型を選定する場合は、問い合わせ可能な日時やサポート内容をしっかりと確認しておきましょう。
7. 会社全体の業務効率化には販売管理だけでは不十分
販売管理は単に「モノ」を売ることだけに留まらず、ビジネスの拡大に向けて必要な販売業務を網羅的に管理します。そのため「販売管理」の実現には、以下に挙げるさまざまな情報の管理が必要です。
- 提供サービスの詳細情報
- 顧客情報
- 価格情報
- 在庫情報
- 生産情報
- 請求情報
つまり、生産管理や在庫管理、請求管理など、販売に限らず会社全体の業務活動を見据えた全体最適の視点が不可欠といえます。そして全体最適の視点を持って会社全体の業務効率化を図るうえでは、ERPツールの活用が有効です。
8. ERPにおける販売管理機能と従来の販売管理システムとの違い
本章では、ERPにおける「販売管理機能」と、従来の「販売管理システム」との違いについて解説します。
ERPにおける販売管理機能
ERP(Enterprise Resources Planning)とは、経営活動に関わる管理機能(会計管理・人事管理・生産管理・物流管理・販売管理など)が標準的に搭載されているツールです。ERPの一部に「販売管理機能」も含まれています。
ERPの販売管理機能においても、受注から入金確認までの販売業務の流れを管理する役割は、従来の販売管理システムと同様です。
ただし、ERPの目的は業務の全体最適化・経営判断の迅速化にあります。したがって、ERPでは販売管理機能だけではなく、生産管理機能や在庫管理機能などの他業務のデータ管理や連携にも対応している点が特徴です。
従来の販売管理システムとの違い
従来の販売管理システムとERPとの主な違いは、販売管理システム以外の業務システムとの連携面です。
従来の販売管理システムは、販売管理システムとして独立しているため、入力されたデータは基本的に販売管理システムの範囲内でのみ共有されます。
それに対してERPの販売管理機能では、複数の業務システムが連携されていることから、販売管理機能で入力されたデータを会社全体の業務活動に活用できます。また、BIツールなどを利用してデータを分析する場合においても、販売管理以外を含めた多種多様な企業データを基にした分析が可能です。
ERPの販売管理機能のメリット
ERPの販売管理機能のメリットは、主に以下の2点です。
- 販売だけではなく、受注や生産、人事など企業内のさまざまなデータを統合管理できる
- 販売や生産などの業務を1つのERPシステムに統合できるため、システム構成がスリムになり運用負荷を軽減できる
ERPの販売管理機能のデメリット
一方で、ERPの販売管理機能のデメリットには、以下2点が挙げられます。
- ERPの機能は業界標準的なものが多く、企業特有の業務に対応できない場合がある
- 業務にフィットさせるためにはカスタマイズが必要となり、カスタマイズ規模によっては導入コストが大きくなる可能性がある
9. 会社全体の業務効率化を図るためには、販売管理以外の業務も包含しているERPの導入が効果的
全社最適視点での業務効率化を目指すうえでは、従来の販売管理システム単体ではなく、ERPの導入が有効です。さらに、BI機能を標準搭載したERPを選定することで、データの統合管理に加えて、データのタイムリーな可視化も1つのツールで可能となるでしょう。
「GRANDIT miraimil」は、BI機能を標準搭載したクラウド型ERPです。主に商社・卸売業やサービス業を対象としています。また、業界初となる中小企業向けの国産統合型クラウドERPである点も大きな特徴です。
「GRANDIT miraimil」では、ツール内に蓄積したさまざまな社内データを集計したうえで、定型レポートやモデル分析ができます。加えて、Excelのピボットテーブルなどを利用した分析パターンも提供しているため、専門知識がなくても直感的にわかりやすいデータ分析が可能です。
クラウドサービスであることから、スピード面とコスト面にも大きな利点があります。たとえば、最短3か月のスピード導入と、平均80%(当社実績)の導入コスト削減を実現できます。
専任スタッフによるシステムの運用保守・監視対応といった安心できるサポートも揃っているため、社内のシステム担当者の負担を軽減できる点も魅力です。
まとめ
販売管理とは、売上や利益の拡大に向けて必要となる一連の販売業務を管理する活動です。販売管理によって、作業効率化や管理コスト削減が図れます。また、販売状況のタイムリーな可視化、および今後の販売計画の精度向上といったメリットもあります。
販売管理を効率的に行うためには、販売管理システムの活用が効果的です。多くの企業では、販売管理だけではなく、生産管理や会計管理など企業経営に関わる要素を包括的に管理することが求められるでしょう。そこで有効なのが、販売管理機能以外も備えているERPツールの導入です。
自社で円滑に販売管理を行いたい場合は、BI機能を標準搭載し、経営判断の迅速化にも貢献できるクラウドERP「GRANDIT miraimil」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
