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ERP概論

第六回 ERP導入プロジェクトを成功に導くためのポイント

本連載も第六回目の今回が最終回となります。
今回は、これまでの連載の総括としてERP導入プロジェクトを成功に導くために意識してもらいたい重要なポイントについて解説します。

ERPプロジェクトを成功に導くためのポイント

ERP導入を成功させるためのポイントは、細かい点まで含めれば数多くありますが、今後、読者の皆さんがERP導入プロジェクトを企画・実行するにあたり、是非とも意識していただきたいポイントに絞って、その内容を説明します。

ERP導入の目的を明確にする

最初のポイントは、ERP導入プロジェクトを立ち上げる際に適切なプロジェクト企画を策定することです。
当たり前のように思えるかもしれませんが、企画が不十分なまま実行したことで失敗するプロジェクトは少なくありません。
プロジェクト計画の中でも特に重要なのは、ERP導入の目的を明確にすることです。経営層やユーザの要望を全て実現しようとすると、膨大な費用と期間が必要になってしまうので、実現は不可能です。
従って、何らかの優先順位を設定することが必要となり、その基準となるのがERP導入の目的です。

多くの要望がある中で、目的を達成するために不可欠な要望は何か、また目的達成に寄与する要望は何かを検討し、対応する優先順位を設定して、“やること”と“やらないこと”を明確にすることが重要です。

適正なスケジュールと予算を確保する

次のポイントは、適正なスケジュールと予算を確保することです。
ERP導入では、企業全体の基幹業務を変更することになり、影響範囲が大きいので、一般的に1年から2年程度の期間が必要です。
また、長期間のプロジェクトになるということは導入費用も大きくなります。
企画段階において、現実的ではないスケジュールや予算を見込んでいると、プロジェクトの実行段階で必ず問題が発生します。適切なバッファも見込んで、無理のないスケジュールと予算を確保することが重要です。

但し、始めからスケジュールや予算に制約が設けられているプロジェクトもあるかと思います。
その場合は、与えられた制約の中で最善の効果が出るように、どこまでを対象範囲にするかを明確にすべきです。
例えば、予算に限りがあるにも関わらず、予算に見合わない領域まで導入対象に設定してしまうと、後から費用が不足することになり、問題が発生してしまいます。

要求に合致するERP製品とシステムベンダーを選定する

必ず複数のERP製品やシステムベンダーを比較評価し、自社の要求に合致する製品・ベンダーを選定することが重要です。
たまたま展示会で見たERP製品が良さそうだった、付き合いのあるベンダーから紹介された、などの理由で、本当は自社の要求にマッチしないERP製品を導入してしまうと、プロジェクトが失敗するリスクが高くなります。

ERP導入は、企業にとって最重要に位置づけられるプロジェクトです。
また、導入して終わりではなく、長期間に渡り運用することになります。そのような重要なプロジェクトを安心して任せられ、長期的にビジネスパートナーとして付き合うことができる、信頼できる製品やシステムベンダーを選定することが、プロジェクトを成功させるための重要な要素の一つになります。

必要なタイミングで意思決定する

実際にERP導入プロジェクトの中では、数多くの課題が発生します。
それらの課題を解決するために、適切なタイミングで何らかの意思決定をすることが求められます。

しかし、失敗するプロジェクトでは、必要なタイミングで意思決定をせずに先送りしてしまった結果、プロジェクトの後半に大きな問題となってしまい、リカバリーするのに多大な労力を要する、というケースが多く見受けられます。
要件定義の段階であれば軽微な変更であっても、開発が完了してから変更が発生すると何倍ものコストがかかってしまいます。

現場の抵抗を想定しておき、現場を巻き込む

意志決定が先送りされてしまう原因には、現場の抵抗が大きいことが挙げられます。ERP導入では、必ず従来の業務手順や管理方法に対する変革が伴います。

しかし、これまで慣れ親しんでいる業務を変更する場合、往々にして現場が抵抗を示します。
そのような状況において、現場を巻き込み、時には経営層を説得しながら適切な判断を下し、プロジェクトをリードする人材が不可欠です。
最適な人材をリーダーに任命し、適切なタイミングで意思決定しながらプロジェクトを推進することが、ERP導入を成功させるためには重要な要素となります。

最後に

これまでの連載で説明してきたように、ERPには数多くのメリットがあります。
多くの企業がERPを活用して経営管理のレベルアップを実現していただきたいのですが、実際にはERP導入は簡単ではなく、失敗のリスクが付きまといます。
通常の企業では、ERPのような基幹システムを導入するプロジェクトは、10年に1回あるかないかの一大イベントなので、そもそもプロジェクト経験者自体が少なく、ノウハウも不足していることが一般的です。

本連載では、我々が多くのプロジェクトを経験する中で積み上げた、ERPを導入するための重要なポイントを解説してきました。
読者の皆さまの会社において、ERP導入を検討・実行する際の一助になれば幸いです。

「最終回:ERP導入プロジェクトを成功に導くためのポイント」はいかがでしたでしょうか。
これにて、全六回の連載は全て終了となります。これまでの連載が、皆さまの会社において、ERP導入を検討・実行する際の一助になれば幸いです。
また、新たな連載を企画いたしますので、今後ともお付き合いのほどよろしくお願いいたします。

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