用語集

インボイス制度

インボイス制度(正式名称:適格請求書保存方式)とは、請求書の様式や保存方法に関する制度です。同制度は消費税率の10%への引き上げおよび軽減税率の開始に伴い導入されたもので、新たに「適格請求書」と呼ばれる様式での請求が必要となりました。2023年10月1日以降は、適格請求書に合致した請求書以外では、消費税の仕入税額控除を受けられなくなります。

消費税の仕入税額控除とは、課税売上時に受け取った消費税から、課税仕入時に支払った消費税を控除して納税ができる仕組みのことです。ある決算期において、得意先より総額200万円の消費税を受け取ったとします。一方で、仕入先に対しては総額で150万円の消費税を支払っていたとします。この場合、事業者が納める消費税は、200万円から150万円を引いた50万円でよいとされます。これが消費税の仕入税額控除です。

上述した通り、インボイス制度の開始以降、仕入税額控除を受けるためには適格請求書に合致した請求書を利用する必要があります。仕入先から受領した請求書が適格請求書の要件を満たしていなければ、仕入税額控除を受けることができず、結果として納税する消費税が増加します。

ただし、インボイス制度開始後6年間は、経過措置として適格請求書以外でも一部仕入税額控除が認められます。具体的には、2023年10月以降3年間は80%、2026年10月以降3年間は50%まで、適格請求書以外の請求書でも仕入税額控除が認められます。

その他、適格請求書を発行するのが困難である一部取引については、交付義務が免除され、適格請求書がなくても仕入税額控除が可能です。具体的には、「公共交通機関である船舶、バス又は鉄道による旅客の運送(3万円未満のもの)」や「出荷者が卸売市場において行う生鮮食料品等の譲渡」などが該当します。

なお、インボイス制度の開始後は、消費税額の計算方法が一部変更となります。従来では、年間の総課税売上に対して消費税率を乗算して税額を算出する「割戻し計算」で消費税額を算出していましたが、「積上げ計算」方式として適格請求書に記載のある消費税額を積み上げて計算する方法も認められるようになりました。特に少額取引が多い小売店などでは、積上げ計算方式を採用することで消費税額を抑えることもできるため、採用を検討してみてもよいでしょう。

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