ERPの歴史
ERPの誕生から今後の潮流。
ERPの進化の歴史をご紹介します。
1970年代から通常業務の電子化が始まった
オフコンの時代
汎用コンピューター(メインフレーム)が一般の企業で業務に使われ始めたのは、1970年代初頭です。オフコン(オフィスコンピューター)などと呼ばれ、最初は経理計算や製造現場での資材・製品管理などに用いられました。まず大企業が導入し、次いで80年代に入ると中・小企業も導入し始めました。
業務の電子化がいよいよスタートしたわけですが、初期のオフコンは相当大きな箱でした。専用のコンピュータールームに設置され、記憶媒体はハードディスクなどまだ登場しておらず、磁気テープがくるくる回っていたものでした。
当時、オフコンが導入されたのは主に経理部門や製造部門で、オフコンは非常に高価であったため、頻繁な計算やモノの正確な管理が求められる部門が最優先されました。もちろん、そこにネットワーク環境などありません。通常、業務のやり取りは伝票によるもので(今でもそうですが)、販売部をはじめとする各部門で記載された伝票が経理部門にわたり、そこで担当者がデータ入力をするといった具合です。
パソコンへ
オフコンが小型のパソコンになって各部門に行きわたり、誰もが扱うようになってもその状況は変わりません。電子化によって部門単位での仕事の効率化は図られるようになったものの、たとえば販売部の売上げや人事経費、製造部門での資材購入といったような数字はやはりいちいち伝票を起こし、それを経理に回して入力をするという同じ業務形態が続きます。
ERPの登場
しかし、販売部門や製造部門で電子化されてそこに存在するデータを、わざわざ経理部門でもう一度入力し直すというのはいかにも無駄な話です。まず、二重入力のための時間がかかり、人が作業するためにどうしても入力ミスが起きがちです。そのミスがあるかどうかをチェックし、修正するのにも労力と時間がかかります。また、経営陣がそのときの財務状況をチェックしたくても、会計システムにデータが届いていなければ確認することができません。このような状況を解決するために開発されたのがERPでした。
最初は日本でなかなか普及しなかったERP
世界で最初のERPは1992年にドイツで開発された製品といわれています。日本でもERPが着目され、使われ始めたのは90年代の半ばになってからでした。ERPを一部の先進的な企業が導入したのですが、海外と日本では商習慣にギャップがあるため導入には数々の障害があり、ERPが優れたシステムであるとわかっていてもすぐに普及するには至りませんでした。
日本の商習慣の変化でERP導入がはじまる
ERPのブームが日本で始まったのは2000年初頭、21世紀に入ってからです。特にグローバル展開する企業にとっては、海外で競争に勝つためには何よりスピードアップが求められます。そこで、彼らはこれまでの商習慣を欧米風に変え、ERPを導入して競争力の向上を図っていったのです。
今後の潮流はクラウドによる利用
現在は、国産のERPが数々開発されています。国産ERPのメリットは、何といっても国内のビジネスプロセスにフィットしている点にあるでしょう。すでに多くの企業に導入され、その実績と開発経験によって初期の頃よりはるかに完成度の高い機能を備えるに至りました。また、アドオンや各業種に適合させたテンプレートなども多岐にわたり、ほとんどカスタマイズすることなしに導入が可能になってきています。
今後の潮流としては、インターネットでERPを利用するクラウド化のさらなる進行が挙げられるでしょう。クラウド化そのものは2010年頃から始まりましたが、当初は信頼性に対する不安などがあってなかなか導入が進みませんでした。
低コスト化の実現で普及
しかし、クラウド化のメリットはシステム構築が短期間で行え、なおかつ低コストだということです。現在は多方面でクラウドが活用される時代となり、信頼性も向上しています。ERPの提供に、今後ますますクラウドが利用されるようになっていくことでしょう。
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