ERPコラム

ERP導入は、企業にとって革新的な
業務改善を実現する第一歩

ERPの導入決定から稼働するまでは、相当の時間と労力が必要です。
プロジェクトを失敗せずにスムーズな稼働をスタートさせるために事前に踏まえておくべきポイントをご紹介します。

ERPが実現すること、人が実現すること

企業内では日々異なる複数の業務が進行しています。営業部門に限っても、新規開拓の場合と、従来のクライアントからの継続的な契約の場合とではビジネスのプロセスが違います。定型の提案資料を提示するだけで推進できることもあれば、プロジェクト全体の内容が複合的かつ多岐にわたり、複数のプロフェショナルを集めゼロベースで考えなければならないこともあるでしょう。個々の業務に合わせて最適な方法を選択し、推進していく。それが社員一人ひとりの毎日の仕事というわけです。

ERPの能力を最大限に発揮するための環境を構築

ERPは、企業にとって業務効率化のためのインフラのひとつ。企業の数だけERPのあるべき姿は多様です。しかし、企業の「知」は各部門、各個人に蓄積されていくものであり、統合的な基幹システムや統合データベースを構築したからといって、いきなり全社が同等レベル、同等のスピード感で仕事が進み始めるというわけではありません。ならば、どうすればERPによって業務効率化を実現できるのでしょうか。

そこで重要なのは、まずERPにできることを最大限に発揮できる環境を設計し構築すること。そして、ERPが処理することと、使用する個々人の能力に委ねることとの「仕分け」です。

共有可能な作業は可能な限り共有化

能力ある個人が日常業務で蓄積している「知」やノウハウを共有するのはなかなか難しいものがありますが、フローやスケジュールの雛形、提案書のフォーマットやテンプレートは共有可能です。また、部門ごとに異なっている見積書のフォーム、入力項目、単価、工数計算などがパラメーターによってある程度微修正可能な形で共有されていれば、部門ごとの売上予想や見込みにズレがなくなり、すべてのプロジェクトや個別案件を一定基準で管理できるようになります。

部門運営において、それは結果的に個人の能力への依存度を下げることにつながります。また、ERP導入以前は難しかった、部門間をまたがる売上や工数、受注確度などの比較も可能になってきます。

ワークフローの統一が、会社の強みをさらに強くする

部署で共有できることと、個人の能力に依存すること。この2つを業務品質の点から一定のレベルに保持していく。それが企業全体のレベルアップにつながるとともに、瞬発力とスピードという強力な武器を企業に与えてくれます。新しいインフラとともに生産性の向上という課題を解決し、新しい会社に生まれ変わることを目指してERP導入を検討してみてはいかがでしょうか。

ERPによって内部統制を徹底する

プロジェクトの収益性が低い場合、ほとんどはそのワークフローに問題があると思われます。引き合いから成約の過程での見積書作成や原価計算、工数カウントなどのコスト算出、売値の設定は、これまで個人の経験や部門、部署の前例をもとに考えられてきました。それは競合他社に勝ち、受注につなげるという目標のために、多少の無理や値引きといった打ち手も含んでいることを示しています。

コストと工数を抑え、他社より短期間に低価格でプロジェクトを実現することは、競争力アップのために必要となるケースもあります。ただし、それは本来会社として許容できるのかどうかという、全体に対する「善」を前提に考えなくてはなりません。

「関わるスタッフが無理すればいい」とか、「極限まで利益を削ればいい」とか、そういう判断を部門・部署の長が担うこともあるでしょう。しかし、それでは会社全体としての利益よりも個人の評価や成績を重視する会社になってしまい、長期的な持続性がなくなってしまいます。

実はこうした問題は、ERPによるワークフローの統一で改善可能です。企業が蓄積していく売上と利益のデータを参照し、値引き、工数削減、スケジュール決定などにおいて無理のない設計を全社的に行なう。つまり、ERPにより内部統制を徹底できるようになるのです。

日常の無駄な作業がERPによって排除される

各部門の業務の基幹部分を共有するメリットは、最終的に会計に反映されることによる、全社の利益を最大化することにあります。しかも、それは単に純利だけの問題ではなく、仕事の工数や労働時間を最短に抑えるという、社員のワーキング環境の改善をも含んでいます。

業務効率化、業務改善の視点からは、ERPはこれまで複数のフォームに同じ内容を入力したり、特殊な目的だけのために書類を作成しなくてはならなかったりというような、無駄な作業を日常業務からなくしていきます。それにより、社員はより本来業務に集中できるようになるはずです。

一つの書類を作成すれば、それが部署のデータ、部門のデータ、そして全社のデータに反映されるシステム。それがデータの統合というERPの最大のメリットです。

ERP導入のポイントとは

では、実際にどのようにしてERP導入を実現していけばいいのでしょうか。それには「自社開発する」「クラウド型を使う」、そして「ERPパッケージを導入する」などさまざまなアプローチが考えられます。

ERPパッケージがオススメな理由

基幹システムを構築するには、ERPパッケージによる導入がもっとも合理的でしょう。
なぜなら、ERPパッケージなら、基本機能が揃っています。さらに自社のビジネスに対してもっとも導入実績が豊富で、企業規模にマッチしたものを導入するとよいでしょう。同業他社での導入実績を、ERPパッケージのベンダーにできる限り詳しく話を聞いて、その上で、もっとも自社にふさわしいパッケージを選択していく必要があります。

プロジェクトリーダーを立てる

ERP導入の際は、利用者目線、ユーザー目線も忘れてはなりません。
現場の要望をしっかり拾って、ERPパッケージのベンダーと交渉していくのは、企業のシステム担当者の役割でもあります。

プロジェクトリーダーを立てて、その指揮のもと、導入していく必要があります。
社内システム部門のプロジェクトリーダーが主導して、ERPパッケージの適用、そして、カスタマイズ等を行います。

その際、しっかりと計画を練って、予算を確保し、ユーザー、ベンダーが共に志を高くプロジェクトを推進していく必要があるでしょう。

導入後は社員も経営陣も意識改革を

ERPパッケージの導入プロジェクトがスタートしたら、やみくもにプロジェクト期間を伸ばしたり縮めたりすることはせずに、当初のスケジュールに当初のスコープで導入し、期間中に発生した追加分は二次導入に回すなど見極めていくことが必要になります。

プロジェクトが失敗するケースとは?

世の中には、このスケジュールとスコープの関係を見誤り、ほとんど導入もなされないまま、プロジェクトが失敗するケースもあります。

そのような失敗を避けるためには、タスクごとの切り分けと、スケジュール・進捗管理と、問題が起こったらすぐに報告し合える体制づくり等も必要です。

まずは稼働させることが大事

まずは、最低限の機能のみでもシステムを稼働させること、そして、コスト感と納期が適したものであること、さらには、当初の目的が達成されていることも大切です。これはERPに限らず、パッケージ導入にまつわるすべてのシステム構築にいえることです。

ERPパッケージの導入は、全体最適を実現するための全社的なプロジェクトになります。そのため、導入には数多くの従業員が関わることになり、それらを取りまとめるのがプロジェクトリーダーの役割になるのです。

稼動してから、何をすればいいのか?

ERPパッケージは、稼働してから、さらなる業務プロセスの改善が必要です。
パッケージ開発元に要望を伝えて、機能をアップデートしてもらう、不具合を報告するなど、密な連携を取っていく必要があります。
ユーザーの声を聞いて、より使いやすく、ビジネスが迅速に行えるよう改善していくことが大切です。

また、ERPパッケージは、全体最適化を実現する手段のため、たとえば現場部門である製造、営業、そして間接部門である人事、経理、総務など、各部署で、「ここの使い勝手を改善してほしい」といったような声が上がってくるかもしれません。

しかしその場合、ERPパッケージとは全社的なものであり、ERPの思想に現場が合わせていく必要があることも伝えていかなければなりません。

業務改善に合わせたカスタマイズは大前提

そこは予算の関係もあります。予算に余裕があれば、個別のカスタマイズを開発することも選択肢に入ります。
しかし、予算は無限にあるわけではなく、限られているのが現状です。
一方で、ERPパッケージの運用をしっかり行っていくには、実際にシステムを操作するユーザーと話し合って、不安を解消していく必要があります。

アウトソース部分と自社運用部分の切り分け

ERPパッケージの開発フェーズにおけるプロジェクトが完了し、社内へのイントロダクションも終わると、次は運用フェーズです。

運用は自社内で? それとも外部で?

ERPの運用は、自社内で行うだけでなく、ベンダーに依頼するという選択肢もあります。
外部委託することによって、自社の専門人員として確保することになり、専門スタッフによって運用を分析してもらえるため日々のカイゼンも可能となります。そしてセキュリティー面が向上し、自社のリソースを有効活用することもできます。

自社と外部、それぞれのメリットとは?

一方、素早い対応が必要で、企業経営のクリティカルな部分に関しては、自社運用も選択肢となります。つまり、上手に切り分けていくことが重要です。前述の外部運用のメリットは、裏を返すとデメリットとなり、それはすなわち自社運用のメリットにつながります。
運用をアウトソースすべきか自社運用するかは、慎重に検討していく必要があるのではないでしょうか。

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