ERPコラム

ローコード開発で実現する、ビジネス変革

0.なぜ今、ローコード開発が注目されているのか?

皆さんは「ローコード開発」という言葉を聞いたことがありますか?近年、IT業界で頻繁に耳にするこの言葉は、従来のプログラミングの知識がなくても、視覚的な操作でアプリケーション開発を行える手法を指します。
では、なぜ今、ローコード開発がこれほど注目されているのでしょうか?
ここでは、その背景や解決できる課題、ツール選定といった内容をご紹介します。

1.ローコード開発が注目されている背景

デジタルトランスフォーメーション(DX)が叫ばれる中、企業はますますデジタル化を進めることが求められています。しかし、労働人口減少といった社会的課題はIT業界にも押し寄せており、IT人材の不足や開発コストの高騰が、その実現を阻む大きな障壁となっていました。加えて、近年のスマホアプリなどの利用により、ユーザーのニーズは高度化、多様化しています。ローコード開発は、こうした課題を解決し、短期間で多様なアプリケーションを開発することに役立ちます。

2.ローコード開発で解決できる課題とは?

ローコード開発は、企業が抱える様々な課題を解決する可能性を秘めています。具体的には、「開発コストの削減」や「開発期間短縮やバックログの減少」、「DX化やビジネスイノベーションの加速」などがあげられます。

1)開発コストの削減

前述のとおり、IT人材の不足やエネルギー価格などの高騰により、開発コスト自体も高騰しつつあります。システム開発コストの多くがシステム構築やプログラミング知識を持つ専門人材で占められているので、知識を持つ人材を雇用しなくてもシステム開発が可能なローコード開発では、開発コストの大幅な削減が期待できます。

2) 開発期間の短縮やバックログの削減

ローコード開発で使用するツールは、視覚的な操作で開発を進めることができるため、従来の開発手法に比べて大幅に期間が短縮できます。
また、プログラミングの知識がなくても開発に参加できるため、IT人材の不足を補うことができ、従来抱えていたバックログの削減も期待できます。

3) DX化やビジネスイノベーションの加速

ビジネス現場の担当者が自らアイデアを具現化したシステムを構築できるため、イノベーションを促進することができます。ビジネスの変化に迅速に対応できるため、システムの柔軟性を高めることができ、DX推進にもつながります。

3.ローコード開発ツールとは?

ローコード開発ツールは、近年非常に注目を集めており、数多くの製品が登場しています。代表的なツールとしては、Microsoft Power Apps 、kintoneなどがあります。これらのツールは、ドラッグアンドドロップなどの直感的な操作で、データベースとの連携や複雑なロジックの実装も可能にします。

(主なローコード開発ツールとその特徴)

名称 特徴
Microsoft Power Apps Power Apps は、ビジネス ニーズに合ったカスタム アプリを短時間で開発できる開発環境で、アプリ、サービス、コネクタ、およびデータ プラットフォームを提供しています。Power Apps はマイクロソフト社の製品やサービスとの親和性が高く、アプリケーションの基盤となるデータ プラットフォーム (Microsoft Dataverse) や多くのオンラインおよびデータ ソース (SharePoint、 Microsoft 365、Dynamics 365、SQL Serverなど) に保存されているデータにアクセスすることで、本格的なビジネス アプリケーションをすばやく構築することができます。
kintone キントーンはサイボウズのノーコードツールでプログラミングの知識がなくてもノーコードで、業務のシステム化や効率化を実現するアプリがつくれるクラウドサービスです。
表計算ソフトよりも快適に、専門システムより柔軟に、自社でシステム開発をするよりスピーディー&低コストに、思いついた業務改善をすぐに実行できるのが特長です。
Claris FileMaker Claris FileMaker なら、組織のさまざまな問題を解決するための独自のアプリケーションをローコードで作成できます。
変化に即応し、競争力を高めてビジネスで成功するためのカスタム App を素早く効率的に、さまざまなシステムやサービスと統合し、自社ビジネスを支える包括的な業務システムを作成できます。
Magic xpa Application Platform Magic xpaは、Web、モバイル、およびデスクトップのビジネスアプリケーションを簡単かつ迅速に作成できるローコード開発ツールです。
生産管理・販売管理・会計・人事システムなどMagic xpaで開発されたSoR/SoEの業務システムは国内45,000社以上の多様な業種の企業に導入されています。
環境変化にすばやく対応し、早い市場投入と低いメンテナンスコストを実現します。

4.ローコード開発の注意点

ローコード開発は、多くのメリットをもたらしますが、注意すべき点もいくつかあります。
ここでは、主な注意点をまとめます。

1)複雑なシステムには向いていない

個人のDIYに限界があるように、高度なシステム要件や大量のデータ処理、複雑なロジックが必要なシステムの構築には、従来のプログラミング言語やシステムインテグレーターなどの専門家によるシステム開発の方が適している場合があります。

2) ベンダーロックインのリスク

特定のツールに依存してしまうと、ベンダーロックインのリスクが高まります。一方で、オープンソースなどを採用した場合には、ツールのバージョン管理などの追加作業の発生やセキュリティリスクが高まるため、両方のメリット/デメリットを考慮して選定する必要があります。

3) セキュリティ

セキュリティ対策が不十分な場合、情報漏洩などのリスクが高まります。最近のハッキング技術は高度化しているので、特にインターネットに公開するサービスを構築する場合には注意が必要です。

5.ローコード開発を成功させるために

ローコード開発を成功させるためには、以下の点に注意する必要があります。

1)明確な目標設定

何を達成したいのか、具体的な目標を設定することが重要です。

2)適切なツール選定

自社のニーズに合ったツールを選ぶことが重要です。

3)ガバナンスの確立

開発プロセスやセキュリティ対策に関するルールを明確にする必要があります。

4)人材育成

社内で定着させるためには、ローコード開発ツールの使い方を習得するための研修を実施する必要があります。

6.まとめ

ローコード開発は、中小企業にとって、デジタルトランスフォーメーションを加速させる強力なツールとなり得ます。しかし、メリットだけでなく、注意点も理解した上で、慎重に導入を進めることが重要です。
この記事が、ローコード開発についての理解を深め、皆様のビジネスに活かすきっかけになれば幸いです。

※記事の内容は、制作時点に一般公開されている情報に基づいています。また、記載されている会社名・製品名・システム名などは、各社の商標、または登録商標です。

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