ERPコラム

ERP導入の目的とメリット

「いったい、ERPの導入で何がどう変わるの?」と多くの方が思われてるかもしれません。
「導入の目的」と「導入のメリット」を知ることで、ERPの導入後の具体的なイメージを持って頂けます。

目的は、企業資源統合による経営の合理化

従来から用いられている基幹業務パッケージは、会計処理や人事、生産、販売といった個別の管理に特化されたものがほとんどです。

個々の業務においては優れた機能を備えていますが、業務間での連携という点で見れば難点がいろいろありました。連携部分がシステム化されていないため、情報のやり取りやデータの加工に人の手を介在させる必要があり、労力がいるばかりか、データの二重登録により入力ミスが起きやすいなどの問題が生じていたのです。

何より個別の基幹業務パッケージのみでは、それぞれのシステム上にデータが分散されているため、必要な情報を取り出すのに時間がかかってしまいます。これではリアルタイムな経営分析がしにくく、企業として戦略を立てて意志決定を行う際の遅れにもつながりかねません。スピーディな経営が求められている昨今、多くの点でデメリットが生じてしまっているのです。

そこで、ERPが大きな力を発揮します。ERP導入の強みは、財務、人材、商品、流通など、いわゆる企業内資源を一元的に管理できるということにあります。導入前と比較すれば、さまざまな点で経営の合理化を図ることが可能となり、それこそがERPを導入する一番の目的といえるでしょう。

業務をより高効率に。ERP導入によって得られるメリットとは?

では、そのようなERPを実際に導入すると、企業としてはどのような効果が得られるのでしょうか。合理化の中身にはどのようなことがあるのでしょうか。ERP導入のメリットについて整理してみましょう。

① 統合データベースにより企業のデータを一元管理できる

ERPの最大のメリットは、社内のデータを一元管理できること。帳票、会計処理、販売管理、人事管理などのスタッフ部門から営業などライン部門の本来業務で扱う書類など、社内で使用するデータはすべて一箇所に集めることが可能になります。これにより、たとえば販売管理で変更されたデータは即座に部門、全社の帳票に反映され自動更新されます。部署、部門間のデータ二重化による不整合などが起きなくなります。

また、法制度の変更や調達原価の増減などの変化があった際も、個別のシステムで修正するといった労力を省くことができます。一元的に管理することにより、データの入力ミスや要件の見落としなど、本来業務における人為的なミスも防ぐことが可能になります。

② 本来業務への集中により、生産性が向上する

製造業で販売部門が多岐にわたっているような企業では、部署ごとに別々に販売管理を行っているケースが往々にしてあるものです。たとえば、ひとつの部署が大量受注を受けたような場合、これまでの縦割り組織では、商材の在庫状況や他部署の受注状況に関して問い合わせをしたり、製造部門を含め資材の仕入や製造スケジュールなどを都度確認したり、すり合わせをしていく必要がありました。

しかしERPを導入すれば、情報の一元管理によって企業内の情報が一目で把握できるため、そうした調整作業の手間が軽減されます。同時に、情報共有により部門をまたいで適切な生産工数、計画や納期の決定が行えるようになり、過剰な仕入、工数の読み違い、在庫のダブつきなどの無駄や間違いを防ぐことができます。

社内の多様な部署、部門で起きるデータの入力・管理を、一元化したテンプレートやフォームで行うことが可能になるので、データ入力にかかる手間や時間は大幅に削減されます。ということは、本来業務に割く時間が増えることを意味しています。ERPの導入は、業務効率の向上、生産性の向上にもつながっていきます。

③ リアルタイムなデータにより的確な経営判断が可能になる

経営資源が統合されることにより、管理業務が軽減され、これまで部門間で確認していた情報がいつでもどこでも引き出せるようになります。これは経営判断を下すに当たって、大変な利点といえるでしょう。

現在開発されているERP製品の多くは、売上や利益、生産にかかる工数とコスト、債権など財務における情報分析、仕入や在庫状況、人事情報など、現在の経営状況をリアルタイムに把握することができるようになっています。したがって、経営側として必要なときに必要な打ち手を検討し対応でき、組織のリソースを有効に活用するための策を投じることを客観的なデータをもとに行うことが可能になります。

それとともに、社員の側にも部署、部門の数字が全社のデータに反映されるため、社員個人が経営状況を参照しながら、自身の業務を先取りして考えることが可能になるというメリットも生まれます。

④ 経営がスピードアップする

IT化とグローバル化の深化により、現代のビジネスはかつてないほどのスピードで進行するようになりました。企業経営においても、そうした世の中のスピードに遅れることなく、迅速な決断が求められています。

もちろん、企業の舵取りにおける意思決定をするのは人間の仕事ですが、ERPの導入により経営を可視化し、リアルタイムに経営状況を把握できるということは、そうした経営陣による意思決定に際して大きな支援となることでしょう。

また、各部門での業務の省力化は、クライアントのオーダー等に対しても迅速な対応が可能となり、企業業務全体のスピードアップに寄与します。

⑤ セキュリティの一括管理ができる

企業内で扱う情報は多岐にわたり、その重要度や機密度はさまざまです。社内システムを統合することにより、セキュリティ管理も一元化することが可能になります。

個人情報、クレジットカード番号などの情報、取引履歴などは、漏洩してしまうと企業の信頼を根底から覆すことになりかねません。それらのデータを狙い、企業のERPを狙った攻撃を仕掛けてくるハッカーも存在しています。

そのような攻撃に対応するため、機密性の高い情報を暗号化する機能を備えたERPが出現しています。全社一括で高度な情報管理をするため、アクセスや変更などの権限を的確に制限することにより、内部からの漏洩も防ぐことが可能となります。

⑥ 情報システム部門の負担が軽減する

企業全体の基幹システムを統合し、一括管理するERP。ERPのシステムメンテナンスや更新なども全社一括で自動化できます。そのため、対応に時間を取られがちなヘルプデスク業務や告知業務などが大幅に削減されます。

また、企業の部門部署の新設、統廃合などの際にも、それぞれの要件に合わせたメンテナンスが容易となり、スピーディな対応が可能になります。システム部門で必要だったリソースを本来業務に振り分けられるようになり、企業全体の生産性向上も望めます。

⑦ 内部統制の徹底により企業の意識が変革される

J-SOX法の施行により、企業の透明性が求められています。営業部門、販売部門などにおける日々の見積、請求管理はますます重要になってきました。そこで、内部統制のためにERPを導入する企業が増加しています。

ERPの導入は、全社共通のワークフローに則った業務の遂行に数々のメリットをもたらします。まず、受注から調達、生産、販売までのデータの入力処理、利益とコストの管理、人員や工数といったリソースの調整・管理が一元管理されることから、無理な納期での受注や社員による不正などが防止できるようになります。

また、日々の業務による会計がリアルタイムに把握できることでフローが明確になり、経営者にも社員にも意識変革が起きてくるでしょう。単なる結果の分析だけでなく、先を予測する精度も上がってきます。これらを企業運営の意思決定に役立てていけば、合理的な経営も可能となってきます。

短期での導入と運用開始を実現

従来、こうした統合システムは企業活動やその環境に合わせて開発に膨大な作業と時間を必要としていました。しかし、現在のERPは多くの企業に導入され、そこで培われたノウハウが蓄積されています。開発にかかわる時間を削減し、短期での導入と運用開始が実現できるというのも、現在のERPの大きな利点といえるでしょう。

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