ERPコラム

成功事例も紹介!SaaSで実現する業務効率化と選定の勘所

0.はじめに

SaaSとは、「Software as a Service」の略で、日本語では「サービスとしてのソフトウェア」と訳されます。インターネットを通じて、ソフトウェアをサービスとして利用できる仕組みのことで、「初期費用が抑えられる」、「いつでもどこでも利用できる」、「ユーザーは常に最新の機能を利用できる」、「保守・管理の手間が省ける」といったメリットがあり、既に多くのサービスが提供されています。 本ページでは、これからの企業のIT戦略にお役立ていただけるSaaS導入についてご紹介します。

1.SaaSとは?

先程もご紹介した通り、SaaSとは、「Software as a Service」の略で、日本語では「サービスとしてのソフトウェア」と訳されます。インターネットを通じて、ソフトウェアをサービスとして利用できる仕組みのことで、「クラウドサービス」、「クラウドアプリケーション」、「ASP」、「オンラインサービス」などもほぼ同じ意味の言葉になります。

(SaaSと同義の呼称)

名称 内容
クラウドサービス SaaSもクラウドサービスの一種であり、SaaSを含む広義の言葉。
クラウドアプリケーション クラウド上で提供されるアプリケーションという意味
ASP Application Service Providerの略で、SaaSの旧称。現在ではSaaSの方が一般的。
オンラインサービス インターネットを通じて提供されるサービスという意味。

SaaS同様に「XXX as a Service」という言葉があります。「as a Service」は、IT業界でよく使われる言葉で、ある機能やリソースをサービスとして提供することを意味します。つまり、ソフトウェアやハードウェアなどのIT資産を、インターネット経由で利用できる状態にしたもので、以下のようなものがあり、今後も増えていくでしょう。

名称 サービスの内容
SaaS(Software as a Service) 「サービスとしてのソフトウェア」
インターネット経由で利用でき、ソフトウェアはクラウド上に存在し、サービス提供される。ユーザーはソフトウェアのインストールやアップデートなどの手間が不要で利用することができる。
料金は、月額や年額などの利用料金制で利用する期間などに応じて料金を支払うサブスクリプション型が一般的。
業務効率化ツール、コミュニケーションツール、CRM、ERPなど、さまざまな種類のソフトウェアが提供されている。
PaaS (Platform as a Service) プラットフォームとしてのサービス。SaaSよりも基盤となるプラットフォーム部分に重きを置いており、その上で開発者が独自のアプリケーションを開発するための環境を提供する。
IaaS (Infrastructure as a Service) インフラとしてのサービス。コンピューティングリソース(仮想サーバーなど)をサービスとして提供し、ユーザーが自由に利用できる環境を提供する。
MaaS(Mobility as a Service) 「サービスとしての移動」という意味。様々な移動(交通)手段を一つのアプリに集約し、目的地までのルート検索や座席予約、決済などを一括で行えるようにするサービス。
XaaS (Anything as a Service) サービスとしての「何か(X)」という意味です。as a Service(SaaS、PaaS、IaaSなど)を包括する言葉。

現在では既に多くのアプリケーションが「SaaS」の形で提供されています。
SaaSは、このようにクラウド上に構築されたソフトウェアをインターネットを通じて利用するサービスで、従来のシステム構築とことなり、利用者(企業、個人)は、Webブラウザからそれぞれのサービスにアクセスし、アカウントを作成することでその機能を利用開始できるので、短期間かつ低コストで利用できるソフトウェアの形として注目されています。

SaaSで提供されているサービスの種類 主なサービス名称
CRM Salesforce、Microsoft Dynamics 365、eセールスマネージャーRemix Cloud
グループウェア Google Workspace、Microsoft 365、kintone
ERP、会計ソフト GRANDIT miraimil、Microsoft Dynamics 365、freee、MFクラウド
プロジェクト管理ツール Backlog、jooto、Brabio!、Commu
オンラインストレージ Google Drive、Dropbox、BOX

2.SaaSと従来のソフトウェアの違い

以下にSaaSと従来のソフトウェアの主な違いをまとめました。
SaaSでは、従来ユーザー企業が行ってきた多くの作業をサービス提供者が一括して行うことにより、利便性の向上やコスト削減を実現。「初期費用が抑えられる」、「いつでもどこでも利用できる」、「いつでも最新の機能が利用できる」、「保守・管理の手間が省ける」といったメリットがあります。

比較項目 従来のソフトウェア SaaS
購入方法 ソフトウェアパッケージを購入 サービス提供者とサブスクリプション契約
インストール方法 パソコンやサーバーにインストールする 不要
ソフトウェアの保守、更新 ユーザー自身またはIT会社に委託して行う サービス提供者が自動で行う
費用 初期費用+保守費用 月額利用費用(保守含む)
利用場所 インストールされたパソコンやサーバーが利用できる範囲のみ インターネット環境があればどこでも

3.SaaS導入を検討する際のポイントとは?

上記の通り、SaaSでは既に様々なサービスが提供されていますがどのように導入検討を勧めたら良いでしょうか?
以下に導入検討の際に必要な検討ポイントを整理しました

1)自社課題の明確化

SaaSの導入によって何を解決したいのか、自社の課題を整理します。
システム導入経験が少ない、課題整理ができる人員がいないなど、自社で課題整理が難しい場合は、プロジェクトの失敗リスクを抑えるためにITコンサルタントの支援を受けることも検討してください。

2) サービスの比較

前述の通りSaaS市場には既に多くのサービスが提供されています。複数のSaaSを比較し必要な機能が備わっているかを確認することが必要です。
比較検討にあたっては、外部の「製品比較サイト」などを利用することも有効です。市場で提供されている製品の紹介や利用者のレビュー、独自のランキング評価や資料の一括請求などを行うこともできます。
また、多くのサービスは無料のお試しができるようになっているので、候補のサービスをいくつか絞り込んだうえで、実際に試してみるのも有効な手段です。

(主なIT製品比較サイト)
ITトレンド(https://it-trend.jp/
キーマンズネット(https://kn.itmedia.co.jp/
ITreview(https://www.itreview.jp/

3) セキュリティ

近年では、情報漏洩対策などセキュリティがしっかりしているサービスを選定することがとても重要です。サービス事業者が、国際標準規格「ISO27001」のような国際的な規格に適合しているか? 利用しているデータセンターの安全性が高いか?などを確認する必要があります。
特にMicrosoft Azureやamazon web services といったクラウドサービスのセキュリティレベルは、非常に高い水準を誇っており、各社は、大規模なクラウドプラットフォームを運営する経験と、長年にわたるセキュリティ投資を通じて、堅牢なセキュリティ体制を築き上げています。

4) 費用対効果

多くのSaaSでは、初期費用とランニングコストが発生するため、初期費用+ランニングコストも含めた費用対効果を比較する必要があります。

初期費用:サービスを稼働するために必要な初期設定を行うための費用。
各種パラメータ設定や旧システムからの移行などが含まれます。
ランニングコスト:サービスを運用するために必要な費用。維持運用、最新版への
アップデートや問合せサポートなども含まれます。

5) サポート

サービス提供者のサポート体制が充実しているかも確認する必要があります。
特に問合せサポートについては、インシデント制を採用しているサービス事業者があります。インシデント制とは、サポートセンターへの問い合わせを質問の時間や回数で捉えるのではなく、1つの問題とその解決までを1単位としたサポート形式で、複雑なシステムで一問一答での問題解決できない場合に有効です。また、インシデント制の場合、別途有償対応にしている場合が多いので注意が必要です。

4.SaaS導入事例

宮城ヤンマー株式会社様は、販売や在庫管理を中心とした従来システムと原価管理システムとの連携やDX推進の必要性という課題を持つ企業の一つ。こうした課題を解決するため、クラウド型ERPシステム「GRANDIT miraimil」を導入しました。
導入事例では、同社が「GRANDIT miraimil」を選んだ決め手や導入に至るまでの経緯、導入による効果などをご紹介しています。

(宮城ヤンマー株式会社様)
https://www.miraimil.jp/case_study/miyagiyanmar.php

5.まとめ

SaaSは、初期費用を抑えながら、最新のソフトウェアをいつでもどこでも利用できる便利なサービスです。ただし、自社の課題やニーズに適合したSaaSを選ぶことが重要です。導入前に、メリットとデメリットをしっかりと比較検討し、自社に最適なSaaSを選びましょう。
SaaSを導入することで、業務効率化やコスト削減を実現し、企業の成長に貢献することが期待できます。

※記事の内容は、制作時点に一般公開されている情報に基づいています。また、記載されている会社名・製品名・システム名などは、各社の商標、または登録商標です。

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第7回 ERPにおける統制とは?
ITと業務による両立
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プロジェクト推進方法 その1
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