セミナーレポート

GRANDIT DAY Summer/GRANDIT DAY in Osaka
セミナーレポート

2019年7月26日(金)、ステーションコンファレンス東京にて「GRANDIT DAY Summer」が、8月7日(水)には日本マイクロソフト 関西支店 セミナールームにて「GRANDIT DAY in Osaka」が開催されました。両セミナーでは、オンプレミス型に加え、クラウドERP として「サブスクリプション型」のライセンス提供を開始した「GRANDIT Ver.3シリーズ」や、様々な業務処理の自動化で働き方改革を支援する「RPAソリューション」、そして GRANDITコンソーシアムパートナーが持つ最新テクノロジーを活用したソリューションで企業の競争力を高めるための最新事例が紹介されました。以下は、東京と大阪の2会場において行われたセミナーのダイジェストレポートです。

会場スナップ
会場スナップ
GRANDIT DAY Summer/GRANDIT DAY in Osaka セミナーレポート目次
 

「GRANDIT DAY」は、GRANDIT株式会社マーケティング室長 高橋昇による講演でスタートしました。

このセッションでは、ビジネスの可能性を広げ、企業価値を最大化するためのIT戦略と、それを支えるためにERPはどう変わるべきかを取り上げ、ITやERPの最新動向とともに紹介しました。

GRANDITマーケティング室 室長 高橋昇 氏

【高橋】「GRANDITをリリースしてから15年。この15年でデジタル化は進み、技術的にはさまざまなことが変わりました。2001年にGoogleの日本法人が設立、2004年にFacebook、2005年にYouTubeが登場、2007年にはiPhoneが誕生しています。新たなデジタル機器やサービスの登場で、人々の行動パターンも大きく変わりました」。

また、ビジネス領域においても、デジタル化が大きな影響を与えているとして、Uberのビジネスモデルを例に挙げました。

【高橋】「日本のタクシー業界でも配車サービスアプリなど、一見Uberと似たようなサービスを提供していますが、リソースの使い方が全く違います。既存のタクシー事業者は、車両やドライバーといったリソースを既存業務の改善や効率化のために使っています。しかし、Uberは車両やドライバーを自社で持たず、ITを活用したマッチングをベースにオンデマンドで調達することにより、リソースを最小化しています」。

Uberのビジネスモデルの下では、ドライバーも短い労働時間で高い収入を得ることができます。「働き方」が、大きく変わる可能性があるのです。

【高橋】「一方で、デジタル化や働き方改革がうまくいかないという経営者が少なくありません。ある調査によると、最優先の経営課題としては、新規ビジネスの創出や、営業力の強化、ビジネスモデル変革が上位ですが、ITによって解決したい経営課題としては、業務プロセスの改善・再構築、リアルタイム経営などが上位になっており、アンバランスです。これまで企業が行ってきたIT投資は『コンピューターライゼーション』で、主に業務の効率化を目的としていました。これは、SoR(System of Record)のカバー領域ですが、これからは『デジタルイノベーション』、デジタル化による新たなビジネス創出や、従来業務の変革を伴うSoE(System of Engagement)の領域をカバーする必要があるのではないかと考えています」。

これまでERPベンダーは、主に企業の業務効率化を支援してきました。しかし、これからはビジネスや業務の変革を支援することを期待されています。

【高橋】「デジタル化に向けて、ERPに求められるものは主に3つあります。1.システムの俊敏性と拡張性、2.生産性の向上、3.新たなインフラストラクチャーへの対応です。急速に変化する市場に適応するためには、トライ&エラーを繰り返す必要があります。そのためには、既存の基幹業務システムに蓄積された膨大なデータは、APIを通じて新しいシステムに提供し、更に拡大して取引先やグループと連携するといったことがポイントになります。GRANDITは、統合データベースでデータが一元管理され、会計系、販売系、人事・給与系などの基幹となる業務を統合し、効率化、情報の一元化を図っていますが、それら以外にSFAなどのフロント領域やクラウドサービスともうまく連携できるAPIを整備して、一つに繋がったシステムとして使っていただけるようにしたいと思っています」。

新たなインフラストラクチャーへの対応という点では、GRANDITは2019年2月から、クラウドを利用したサブスクリプション型のライセンス提供サービスをスタートさせています。

セミナー風景

【高橋】「従来、GRANDITはオンプレミス型のライセンス形態で提供していました。しかし、クラウドが適しているか、オンプレミスが適しているかは、企業のインフラ戦略によって異なります。そこで、企業の多様なニーズに応えるため、サブスクリプション型でのライセンス提供を始めました。また、パートナーによっては、SaaSモデルでのサービス提供も行っています。クラウドのメリットとしては、すぐにサーバーを調達できる点が挙げられますが、実はクラウドでもインテグレーションが重要です。その点、私たちのコンソーシアムには基幹システムのクラウドをきちんとインテグレーションできるクラウドインテグレーターもいます。クラウド上でGRANDITを安心して使っていただけるようなサービスも併せてご提供しているのです」。

現在、国内の労働人口減少に伴う「人手不足対策」と「生産性向上」に向けた取り組みは、全ての企業において喫緊の課題と言えます。取り組みの一つとして、システム化が挙げられますが、従来型のシステム開発では、費用対効果の高い一部の業務のシステム化は進むものの、間接業務のシステム化は先送りされているケースが散見されます。

【高橋】「従来のシステム開発では、なかなかリーチできなかった範囲も、RPAをうまく使えばリーチできます。私たちは、GRANDIT Ver.3.0のリリースと同時に、RPAソリューションの提供を始めました。世の中には数多くのRPAがありますが、私たちの考えるRPA選定のポイントは3つです。まず、高い安定性。基幹業務を支えるRPAが途中で止まってしまうようだと安心してお使いいただけません。次に、広い適用業務。決まったことを大量に、繰り返し行うような業務以外に、人間が考えながら行う業務にも対応できること。そして、高度な運用性。ロボットの数が増えてもきちんと管理できることが重要です」。

では、GRANDIT社が提供するRPAソリューション「RPA Solution for GRANDIT」において、これらのポイントをどのように実現しているのでしょうか。

【高橋】「安定性という点では、操作対象をオブジェクト名で認識しています。一般的には操作対象を座標指定したり、画像で認識したりして自動化を行いますが、これだとロボットが停止してしまうリスクがあり、不安定さが残ります。一方、オブジェクト認識は、構造上変更されることのないHTMLプログラムソースコード等のオブジェクトを認識できるため、画面上の位置やフォントなどの表示に変化があっても対応することができます。また、適用業務領域の広さの点では、RPAに最初から最後まで任せられる「全自動タイプ」、RPAを業務アシストとして人間とロボットが共働する「半自動(アシスト)タイプ」といった2タイプのRPAを使い分けることで対応しています。全自動タイプのRPAが大量一括処理を行い、半自動(アシスト)タイプのRPAが、利用者の判断を取り込みながら自動化作業をアシストすることで、一連の業務を一貫して自動化することができます」。

優れた総合力と拡張性もGRANDITの特長の一つです。GRANDITは基幹業務を網羅した10のモジュールで、業務機能の完全密結合と完全連携を実現しています。

【高橋】「10のモジュールは、単体でも利用できますが、組み合わせて使うことで、総合的なERPとして使っていただくことができます。更に、GRANDITと密連携するテンプレートやアライアンス製品を選択することにより、幅広い業務に対応可能です。また、グループ統合のデータマートをリリースしており、GRANDIT内のデータをグループ全体でまとめ、グループ管理もGRANDITの中で行えます。更に、モダンブラウザへの対応など、ビジネス環境の変化にいち早く対応しています」。

では、「成長」という名のERP GRANDITは、今後どのように進化していくのでしょうか。

【高橋】「お客様のビジネス環境の変化、そして技術の変化、それらへの迅速な対応はもちろんのこと、法改正などへの地道な対応も併せて行うことで、継続的に進化していきます。今後は、APIの拡充や周辺のシステムとの連携・融合、更にはAIの活用なども視野に入っています。ユーザー企業様にも、是非GRANDITを上手に活用いただき、ともに成長していきたいと考えています」。

GRANDIT株式会社 マーケティング室 室長
高橋 昇
主な経歴

GRANDIT株式会社 マーケティング室 室長
1985年 総合商社系情報システム会社(現インフォコム株式会社)へ入社。商社向けシステム開発部門に所属し、繊維・化学品・食品関係などのシステム開発やC/S・WEBシステム、ミドルウェアなどのアーキテクチャー選定・導入を担当。
2003年10月 インフォベック株式会社(現GRANDIT株式会社)にて、次世代ERPコンソーシアムによるERP「GRANDIT」の開発に立ち上げ当初より参画。パートナー営業・製品開発の責任者としてERPシステムの提案活動・導入支援に従事。
2018年よりマーケティング室 室長として、営業・製品開発をあわせたマーケティング施策の企画立案とプロモーション全般の責任者を担当。

本セッションは、GRANDITが稼働するプラットフォームとしてのクラウドの位置付け、および周辺システムのDXをいかに推進すべきかをテーマに行われました。

日本マイクロソフト株式会社 パートナー技術総括本部 ハイブリッドクラウド担当 高添 修 氏

昔に比べて企業がある役割を担って立ち上がり、その役割を終えるまでのサイクルが、驚くほど早くなっています。この激しい変化の中で生き抜くためには、企業が自らの役割を絶やさぬよう、さまざまなチャレンジをすることが重要です。そのために、デジタルトランスメーション(DX)が必要となります。

【高添】「会社全体でDXを推進できるかと言うと、なかなかうまくいかないようです。よくあるパターンとして、DXを語る事業部門と、現実を語るIT部門の対立構造が挙げられます。企業のIT投資の多くが、現実を語るITチームに割かれていますが、彼らにとっては何も起きないことが当たり前。しかし、変化は必要です。現実を語るIT部門は、DXを語る事業部門に影響を与えられるようにしなければなりませんし、DXを語る事業部門も、事業をしっかり守るだけの新しい成果を追求しなければならない。そうやって会社全体で前を向いたときに、会社は変わります」。

では、DXの推進に向けて、一体何をどうすべきなのでしょうか。

【高添】「クラウドを活用することです。クラウドによって、さまざまなことができるようになります。マイクロソフトでは、Azureというクラウドサービスを提供しています。いくつか事例を挙げましょう。まず、コマツ様の事例です。『スマートコンストラクション』と呼ばれるIoTの仕組みにAzureのさまざまなテクノロジーが使われています。製造販売した機器が発信する情報を収集、分析して利用者に知りたい情報がいつでも見られるようにすることで、現場の『見える化』をサポートしています。例えば、故障の予兆を察知して、壊れる前に修理するというようなことが可能になります。また、セブン銀行様では、Azureのテクノロジーを活用して、コンビニATMの代わりになる環境を実現していますし、ローソン様では、チャットボットや日本マイクロソフトの女子高生AI『りんな』と連携し、お客様に全く新しい接客体験を提供しています」。企業と顧客との接点において、クラウドとその周辺テクノロジーが重要な役割を担うようになっているのは間違いないようです。

【高添】「『コグニティブサービス』という、いわゆるAI系のサービスがあります。画像、音声の分析、翻訳、情報を収集してその情報に紐づく情報を検索するなどといったことができます。これによって裁判が変わるとも言われています。裁判官や弁護士の経験値はコンピューターの情報量に勝てません。ある裁判があったとして、それに最も近い凡例をコンピューターが導き出すということが可能です。このようなサービスが、安価にしかもSLA(サービス品質保証)付きで利用できる時代に入っています」。

従来、基幹システムは主にオンプレミスで提供されていました。一方で、現在さまざまなシステムがクラウド上で動き、サービス提供されています。そのため、「オンプレミス vs. クラウド」という構図で捉えられがちですが、そういった考え方は既に古くなっています。

【高添】「エッジ(コンピューティング)は、クラウドでできそうなことの一部をオンプレミスまたはスマホ上で行います。さまざまな要件は、クラウド+エッジでかなり解決できます。例えば、顔認証でセキュリティチェックをしたいときに、クラウドに情報を上げて認証して、という過程を経ると時間がかかってしまいます。そういったときに、エッジが有効です。AIの教育には大量のリソースが必要になるので、教育はクラウドで行い、手元の処理はエッジで行うというような方法で活用されています」。

DXの底上げを考えたときに、最も有効なのが「価値/コスト」の考え方だと、高添氏は語ります。会社にどれだけ価値を提供できるか、今提供している価値をどれだけ上げられるかと考え、価値を上げられないのなら、コストを下げるべきだと言います。

日本マイクロソフト株式会社 パートナー技術総括本部 ハイブリッドクラウド担当 高添 修 氏

【高添】「ITでサービスを提供する側に立ったとき、これまではいろいろな機能を組み上げて提供していました。しかし、それだとシステムが巨大化してしまいます。クラウドだと、そのサービスに必要なものは何だろうと考え、サービスへの貢献度の低い機能は不要だと判断します。とてもシンプルです。一方で、ユーザー目線に立てば、新しい価値を提供し続けなければなりません。最終的には、どういう価値を提供できるか、それにはどれだけコストがかかるか『価値/コスト』の考え方が重要になります」。

現在は、さまざまなインフラが整っており、どのインフラを選択するかも重要な要素になっています。

【高添】「今注目を集めているのが、HCI(ハイパーコンバージドインフラ)、そしてプライベートクラウドです。HCIは、従来の仮想化基盤と同様の価値を低コストで提供できます。プライベートクラウドは、手元にありながらパブリックなクラウドと同じような仕組みを提供できます。パブリックなクラウドは、利用者の意思に関係なく基盤や運用が変わるため、一度動かしたら数年間は安定して動かしたいというような用途には最適とは言えません。そのような場合に、プライベートクラウドが選択されます」。

高添氏は、インフラの選択肢を、①クラウド、②プライベートクラウド、③HCIとして、更に詳しく解説を進めていきます。

【高添】「業務システムを動かす環境として①のクラウド、つまりAzure化をどう見るかですが、状況次第で圧倒的にコストを削減できる可能性があります。例えば、マイクロソフトは既にネットワークを豊富に有しているので、このネットワークをサービスとして安価に提供することができます。『Azure Virtual Wan』というサービスによって、企業内ネットワーク接続にかかる回線費用をAzureのバックボーンで代用します。

次に②のプライベートクラウドです。Azureを基盤としてGRANDITを動かしたいが、どうしてもオンプレミスに置かなければならない場合、『Azure Stack』というサービスで、オンプレインフラのデジタル化が実現します。Azureと同じ環境をAzure Stackで構築することで、一貫性を徹底的に担保し、Azureと同じスクリプト、コマンド、テンプレート、ツールなどが利用でき、認証基盤も共通化できます。仮想マシンをマイクロソフトが従量課金制で提供するモデルも用意されており、払っている間だけ使えて、不要になれば課金が止まるというモデルがオンプレミスでも可能です。

③のHCIですが、マイクロソフトの『Windows Server HCI』は、他社のHCIと比べて安くて速いのが特長です。Windows Server利用企業が最初に検討すべき選択肢と言えます」。

GRANDITをベースにしたDXの推進、底上げをするためには、どうすればよいでしょうか。例えば、新たなパーツはクラウドをうまく活用することです。業務システムサプライチェーンの一部をブロックチェーンに変えていこうというような場合には、クラウドが重要な役割を担います。

また、仮想化基盤の置き換えは、「価値/コスト」の考え方で、徹底的なコスト削減を目指します。クラウド+エッジをうまく活用すれば、コストを削減し、業務側に予算を振り分けることができます。

【高添】「これからは、GRANDITをどのAzureで動かすのか、Azure、Azure Stack、Azure Stack HCI solutions、のどれを選ぶのかという視点でプロジェクトを進めていただければと思います。是非、マイクロソフトと一緒にDXの推進と底上げを成功させていきましょう」。

日本マイクロソフト株式会社 パートナー技術総括本部 ハイブリッドクラウド担当
高添 修 氏
主な経歴

日本マイクロソフト株式会社所属。
インフラ系技術担当エバンジェリストとして約12年活動した後、現在はパートナーとのビジネス協業を支援する技術部隊に所属。ハイブリッドクラウド技術の専門家としてイベントやセミナーでの講演、記事執筆、コミュニティ支援などを通じたマイクロソフトの最新技術の啓発活動を行っている。

本セッションでは、情報通信サービス業の労働生産性をいかに向上させるかをテーマに解説しました。

インフォコム株式会社

情報通信サービス業には、サーバーの保守運用や、通信回線の取次、機器のレンタルサービスなど、定期請求が発生する仕事があります。こういった仕事には、毎月同じ内容の伝票を作成したり、契約更新日が近づくと更新を案内したりといった煩雑な業務が伴います。このような業務の生産性向上に、GRANDITとインフォコム社が提供する「継続契約管理テンプレート」が役立ちます。取引先との契約内容をシステムの中に契約台帳として保持し、保守の受注から売上の計上、請求、製品保守や役務等の発注から仕入れ、被請求などを自動化する事で、伝票入力業務の削減に加え、抜け漏れミスの抑制にも繋がります。

情報通信・サービス業が抱えるもう1つの課題は、プロジェクト管理の難しさです。プロジェクトマネージャーは実行予算と実績を比較し、適切な対応を取りながら計画通りプロジェクトを進めなければなりません。しかし、実績は月末に締めないと追えないことが多く、プロジェクトマネージャーが必要な情報を集めるには大きな負荷となります。そこで、GRANDITに機能追加して利用する「プロジェクト原価管理テンプレート」が役立ちます。Excelで実行予算を作成しGRANDITに取り込む事で、GRANDITの標準機能から計上される経費や仕入などの実績と、リアルタイムで予実比較が可能になります。また工事進行基準会計に対応し、原価比例法に基づく進捗売上仕訳を、自動で会計へ計上する機能も備えます。

インフォコムテンプレートを活用することで、GANDITのパッケージメリットを活かしながら、情報通信サービス業のお悩みを解決できる事を訴えました。

情報通信・サービス業向け「継続契約管理テンプレート」

インフォコム株式会社

情報通信・サービス業向け「プロジェクト原価管理テンプレート」

インフォコム株式会社

本セッションでは、電子帳簿保存法(以下 電帳法)への対応について、令和元年の税制改定を含め、効率的に電帳法の申請を進めるための方法をテーマとして取り上げました。

日鉄日立システムエンジニアリング

電帳法の申請メリットとして、税務調査リスクの軽減、業務効率化、コスト削減、情報漏えい対策、環境対策、BCP対策などがあります。
電帳法の申請区分の内、帳簿・書類の申請は、GRANDITが導入されていれば日鉄日立システムエンジニアリング社が提供する「Paples」との連携で比較的スムーズに行うことができますが、スキャナ保存の申請には、システムだけでは対処できない事務処理の流れが関ってきます。

帳簿・書類の申請について、電帳法では「会計の伝票データ(仕訳明細)」を対象としています。そのため、会計システム上の集計データではなく、伝票データを参照する必要があります。「Paples」は会計システムのDBをコピーした会計サブDBという位置づけになります。

スキャナ保存の申請について、受領した領収書・請求書に対して、一定の期間内で証憑のスキャニングや画像データと原紙に対して二人以上での確認(相互牽制)、タイムスタンプ、定期検査の実施が求められます。

日鉄日立システムエンジニアリング社が提供する「電子帳簿保存法申請支援パック」は、電子帳簿保存法の帳簿・書類・スキャナ保存の申請を実現するため、GRANDIT専用インターフェイスを含めたソリューションとして提供。申請作業を支援する申請サポートサービスもオプションとして提供しています。この「電子帳簿保存法申請支援パック」を利用することで、機能拡張負荷を軽減できるほか、制度対応ノウハウなどの提供を受けることができ、スムーズな電子帳簿保存法対応が可能となります。

  • 電子帳簿保存法の帳簿・書類・スキャナ申請を実現するため、GRANDIT専用インターフェイスを含め、パックソリューションとしてご提供
  • 以下の帳票が対象
    帳簿 仕訳帳、総勘定元帳、売上帳、売掛金台帳、仕入帳、買掛金台帳、現金出納帳、預金出納帳、補助元帳(預金出納帳)、受取手形台帳、支払手形台帳、債権期日決済台帳、債務期日決済台帳
    書類 見積書、注文請書、納品書、請求書、注文書、検収書、棚卸表、残高試算表
    スキャナ 送付書、納品書、請求書、領収証(領収書)
    日鉄日立システムエンジニアリング
  • 電帳法申請サポートサービスは、オプションサービスとして提供可能

本セッションでは、多種多様な業務形態の川崎重工グループ各社に向けクラウドサービスとして提供している基幹システムを例にあげ、グループ共通基盤構築におけるTCO削減のポイントについて解説しました。

ベニックソリューション株式会社

ベニックソリューションの親会社である川崎重工業様は、業種や規模の異なる約100の関連会社を有しており、その内50ある国内関連会社の約半数で基幹システムにGRANDITを採用しています。GRANDITは、統合データベースを採用していること、内部統制強化機能を持つこと、グループ管理機能が充実していること、クラウドIT基盤として柔軟に対応できることなど、グループ導入に適した特長のあるERPです。

川崎重工グループでは中小規模の企業が多く、独自でシステム化すること、内部統制などITインフラ環境の複雑化への対応することが困難であった上、親会社からの予算的な支援もない状況がありました。

そこで、導入にあたっては、次の4つのポリシーを設定し、徹底したコスト削減・高品質サービスの実現を図りました。

  1. アプリケーションの標準機能は改変しない
  2. グループ/カンパニー共通の商習慣を、共通アドオン機能で提供
  3. マスターテンプレートを準備し、コード体系の統一化促進
  4. グループ全体として、保守・運用費用などTOCが削減できること

これら4つのポリシーは、各社個別の対応内容を極力減らす狙いがあります。

4つのポリシーにそってクラウド環境上にGRANDITを導入し、グループ共通基盤を構築したことにより、法改正、機能モジュール追加、合併・分社など、環境変化への柔軟な対応が可能となりました。また、IT基盤・運用の統一が図れ、初期投資抑制や、セキュリティの強化、オールインワン保守の実現などの効果がありました。現在では、14年もの長期にわたり、業務変更・法改正等の環境変化や顧客ニーズに応えつつ、インフラやITトレンドにも追随、毎年何らかの改善対応を実施しながら、プライベートクラウドによる安定運用を維持しております。

川崎重工グループにおいて、グループ各社でバラバラだったシステムをGRANDITで統合したことにより、初期投資およびランニングコストは個別導入を想定した場合に比べ85%のコスト削減に成功した事例を紹介しました。

GRANDITによるグループ共通基盤の全体像

GRANDITによりグループ共通基盤として集約・統合、クラウドサービスとして提供

ベニックソリューション株式会社

本セッションでは、多種多様な業務形態の川崎重工グループ各社に向けて導入・提供している、基幹システムのクラウドサービスを例に上げ、ERP導入で検討すべきことについて説明しました。

ベニックソリューション株式会社

川崎重工グループは製造・工事・サービス提供など業務形態は違いますが、案件単位の個別製番により管理を行う企業が多く、GRANDITを導入しているグループ企業は、原価管理業務について個別原価管理アドオンモジュールを利用しています。

案件ごとに発生する費用を仕掛へ振替え、案件の売上計上時に仕掛から売上原価へ振替える業務形態では、個別原価管理が必要です。しかし、一般的なERP製品や販売管理パッケージには、対応できる製品は多くありません。

GRANDITの個別原価管理アドオンモジュールは、GRANDITが標準で持つ「プロジェクト」という全てのモジュールに共通して使えるマスタを使って、予実の管理や工数の計上、収支の把握、進行基準売上を計上するための仕組みなどを実現しています。

企業の業績管理において、個別原価管理アドオンモジュールが有用なのは次のようなケースです。まず、材料費や外注費、経費などの案件に直接かかった費用を案件へ計上し、労務費は固定費として扱って部門損益を管理しているケース。次に、最初のケースに加えて、労務費も工数×単価(レート)として案件へ計上するケース。最後に、2番目のケースに加えて設備などにもレートを設定して、稼働によって案件へ費用を計上するケースです。

個別原価管理を実施している企業が求めるシステムとして、案件別の予算立案や見込修正、実績管理機能、仕掛や売上原価への振替機能は必須です。工数管理や工事進行基準での管理が必要な場合は、工数の登録機能や工事進行基準での管理機能も必要になってきます。また、設備などでもチャージレートを設定している場合は、設備など任意に登録した区分でレート設定できる機能も必要であると解説しました。

個別原価管理が必要な業務形態

案件ごとに発生する費用を仕掛へ振替、案件の売上計上時に仕掛から売上原価へ振替する業務形態では個別原価管理が業務上必要です

ベニックソリューション株式会社

全体概略図

ベニックソリューション株式会社

個別原価管理を実施している企業が求めるべき要件

個別原価管理を実施している企業は、以下のような要件がシステム上必要と考えられます

損益管理
  • ◎プロジェクト別に予算立案・見込修正・実績管理が可能なこと
  • ◎実績は原価要素別に集計できて、予算/実績対比など管理ができること
  • ◎プロジェクトの進行に応じて、仕掛への振替や売上原価を計上できること
実績計上
  • ○工数・時間の実績が入力でき、労務費などの自動仕訳が可能なこと
  • ○部門別・個人別・工程別など、企業が求める単位で工数単価が設定できること
  • △工数単価に加えて、設備など任意に登録した区分でレートが設定できること
進行基準
  • ○工事進行基準により、期別に売上・利益・原価・進捗率の把握が可能なこと
  • ○進捗率に応じた進行基準売上を計上できること
  • ○損益が見込まれる場合は、損失引当金の計上ができること

◎:必須要件 ○:工数管理や工事進行基準での管理が必要な場合 △:設備などでもチャージレートを設定している場合

本セッションでは、デジタル時代のモノづくりにおいて空白部分である「スマートファクトリー」を実現するためのポイントについて取り上げました。

パナソニック インフォメーションシステムズ株式会社

現状の製造業におけるシステム課題として、企業全体の支援を行う情報システム部門(IT)と、現場支援を行う生産技術部門(OT)とのギャップが挙げられます。両者は管理するデータの粒度や、管理する情報の視点が異なるため、これをいかに埋めていくかが重要です。そのためには、物理空間と仮想空間の連携が不可欠。物理空間でモノづくりをする中で生まれるデータを仮想空間に蓄積して、分析・活用することで、迅速な企業判断や開発の短縮、生産性の改善といった効果が期待できます。

基幹システムであるGRANDITは、システム全体の中で最も上位の階層に位置しますが、そこに生きた現場の情報が加わることによって様々な改善や判断が可能になります。OTからERPへ情報を上げるために、スマートファクトリーでは、OTエリアで「データベース」「エッジ」「デバイス」の3階層を構成します。製造現場のデータは非常に粒度が細かいため、一旦データを情報に変えて必要なところに渡す、または溜めて分析するという仕組みにしています。

モノづくりにおいては、予実を管理してはじめて抜本的な改善効果が得られます。そのためには、いかに速く現場のデータを基幹システムが見えるようにしてあげるかが肝です。これからは、数字とともに、画像や動画、音声なども活用した仕組みづくりが求められていると締めくくりました。

スマートファクトリーソリューション(デジタルツイン)

パナソニック インフォメーションシステムズ株式会社

スマートファクトリーソリューション(生産情報、製造情報)

  • OTエリアで、「データベース」・「エッジ」・「デバイス」の3階層構成
  • 新しいデジタル技術(IoTやRPA)を活用
  • よりリアルなに情報可視化や活用し、DX(デジタルトランスフォーメション)実現
パナソニック インフォメーションシステムズ株式会社

本セッションでは、今後更に需要が見込まれるWeb-EDIについて、そのメリット/デメリットの考察と、インターコム社が提供するRPAを活用した製品について紹介しました。

株式会社インターコム

2024年1月に固定電話網からIP網への切り替えが開始されますが、それに伴い「ISDN(INSネット ディジタル通信モード)」のサービス提供が終了し、ISDN回線でEDIを利用していた企業は、インターネット回線への移行を余儀なくされます。

インターネット回線を利用したEDIの一つであるWeb-EDIは、このような背景もあり年々拡大しています。Web-EDIには、導入や運用が簡単、低コストなどのメリットがありますが、取引相手が複数社になった場合には、多画面現象が発生し、入力ミスやモチベーション低下、業務の煩雑化など、生産性低下につながるデメリットもあります。

そこで、生産性を向上する方法として、RPAの導入が考えられます。RPAの導入効果としては、定型業務の自動化、24時間365日稼働、人為的ミスの防止などが挙げられます。

インターコム社が提供する通信・変換・ジョブ管理を1パッケージで実現する「Biware EDI Station 2」には、「Auto Webオプション」という自動化オプション(RPA)があり、導入によって従来型の通信手順によるEDI取引に加え、Web-EDI操作の自動化が可能になります。

更に、同社の「まいと~く Center Hybrid」と連携させれば、EDI・Web-EDIによる受注業務に加え仕入先向けのFAX発注業務も一元管理することが可能となります。そして、受注システムと発注システムが統一されることで、GRANDITとの連携が容易に行えるようになると推奨し、プレゼンテーションを締めくくりました。

本セッションでは、RPAの導入でよくある失敗例を挙げながら、失敗を回避し、RPA導入を成功に導く方法について解説しました。

ナイスジャパン株式会社 エンタープライズグループ ソリューションコンサルタント 小林 勇人 氏

RPAには、処理能力の向上、コスト削減、作業負荷軽減、人為ミス撲滅、従業員エンゲージメントの向上などのメリットがありますが、自動化を目的にするのではなく、効率化のためのソリューションとしてRPAがあることを意識しなければいけません。

実際にRPAの導入に失敗した企業の例を見てみると、次のような傾向がありました。

  • 作りやすいことにフォーカスしてツールを選定したら業務適応範囲が狭かった
  • 定型業務のRPA化はできたが、次の展開が見えない(作っておしまい)
  • 担当者が異動してしまい、ロボットのメンテナンスができない
  • 今どんなロボットが動いているのか把握できない
  • 業務をRPA化したが、費用対効果が見えない

このような失敗例から、RPA導入に際しては、ツール選択ではなく、体制づくりもより重要であることが判ります。

NICE社では、ロボット開発体制として、CoE(Center of Excellence)という業務の集中管理型を提案しています。
集中管理型には、以下5つの特長があります。

  1. ロボットに最適な業務フローで作成する
  2. ロボットの集中管理と最適化を図る
  3. 費用対効果の把握が可能
  4. 部門間を越えた導入適用範囲の拡張
  5. 専任者が作成・管理する

このようなロボット開発体制でRPAの導入を成功に導き、その成功事例を社内で共有することで、CoEを更に拡充していき、さらなる効率化を推進することができると説明しました。

ナイスジャパン株式会社 エンタープライズグループ ソリューションコンサルタント
小林 勇人 氏
主な経歴

1986年に日立ソフトウェアエンジニアリング(現、日立ソリューションズ)に入社。
2000年にRockwell International Japanに転職、この頃よりコンタクトセンターを中心としたソリューションの販売に従事。ナイスジャパンには3年前より在籍しRPAを中心に音声分析やWFM等様々なソリューションのセールスエンジニアを担当し現在に至る。

本セッションでは、急激に日本企業へ浸透してきたRPAについて、導入効果を最大化する活用方法をテーマに取り上げました。

RPAは、2018年には大手だけでなく中堅ユーザーへも浸透し、ITツールとして広く認知・検討・利用されて「一周まわった」感があります。しかし、実際に使ってみてはじめてわかることも多く、「ロボットづくりは結構大変」「自動化できる業務は意外と少ない」など、戸惑いや期待外れの声も。その要因は、RPAに対する過度な期待にあるようです。

RPAの導入は、範囲を広げ過ぎず、作らなくて済むものは作らない、使いまわせるものは使いまわすといったスタンスが大事です。一つ試してみてうまくいかなければ、他を試す、または見送るという姿勢で臨むのが良いでしょう。

業務選択について、対象業務が見つからない場合は、業務プロセス範囲の絞り込みや、業界事例の情報収集を行います。導入検討中なら、導入見送りの判断も必要です。また、「この業務をRPAで」と従業員自ら発信できるような雰囲気づくりも欠かせません。

すぐに止まる、動作が遅いなどの問題は、そのツール特性によるところが大きいため、処理によって複数のツールを使い分けるなど、ツール選択にあたっても柔軟な対応が求められます。

RPAを有効活用するには、維持・管理の仕組みも重要です。自社にマッチする体制を検討することが一番ですが、場合によっては社外の協力を仰ぐ、兼任を許容するなどの対応も必要となります。「専任担当者型」「部門担当者配置型」「専門組織型」など、組織の規模や導入後の浸透具合によって、適した維持・管理体制も変わってくると訴えました。

効果が出にくかった要因

  • RPAの得意な範囲を超えている
  • ロボット開発の大変さを認識していなかった
  • ロボットの面倒を見ることを甘くみていた
業務担当者

業務担当者

この業務を自動化してほしい!
(開発はわかりませんが)

ベンダ担当者

ベンダ担当者

自動化はできそうですが開発するのが大変ですよ。
(開発はだれがやるのかな?)

システム担当者

システム担当者

自動化できるんだったらいいんじゃない。
(開発はだれがやるのかな?)

本セッションでは、請求書・支払通知書の電子化について、①電子化率を高める効果的な施策、②電子化の具体的な進め方、③成功事例の紹介の3つを取り上げました。

GRANDIT株式会社

まず、①電子化率を高める効果的な施策について、アンケート結果から、請求書・支払通知書の電子化には、「取引先との調整」という課題があることがわかりました。さらに、取引先への案内は継続的に繰り返し行うこと、「早く届く」「明細データが送れる」「無くさない」「すぐに探せる」など電子化のメリットを取引先に伝えることが効果的で、取引先への案内手段は、郵送、メール、電話で大きな差が出にくいこともわかりました。

次に、取引先が受け入れてくれる電子化の具体的な進め方として、GRANDITの「eco Deliver Express」との連携を紹介。このサービスには、郵送代行と電子化を組み合わせ、徐々に電子化を促す仕組みがあります。まず、電子化に二の足を踏む取引先に対して、郵送代行を使って請求書を郵送しますが、その際に電子化への切替案内を同封します。その案内を見て、電子化のメリットに気づいた取引先が電子化していくという流れです。

GRANDITの汎用データから、請求・支払データを出力する仕組みや、取引先を電子化申込サイトへ誘導する仕組みなども整え、電子化率を高めるために効果的な施策が打てます。

最後に、人材サービスを提供する企業への導入事例を取り上げ、請求書送付の電子化率80%という効果や、案内文での取引先メリットの訴求、営業メンバーからの協力などの成功ポイントについて来場者と共有し、「eco Deliver Express」がお客様の業務改善・業務効率化に貢献できることをアピールしました。

お問い合わせ・資料請求

資料請求・お問い合わせはWEBで承っております。どうぞお気軽にご相談ください。

WEBからのお問い合わせ
お問い合わせ
資料ダウンロード・資料請求
資料請求