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ビジネスコラム

現実解としての戦略

第一回 知恵としての戦略の定義

経営戦略や企業戦略など、経営に際して、よく戦略という言葉を耳にします。しかし、実際に経営戦略とは必要なものなのでしょうか。

本コラムは、連載の中で上記のような戦略に関する疑問に対しての、答えを記していきたいと考えています。これが唯一の答えとは思っていませんが、20年以上コンサルティング業務に従事し、今も現役として経営者の方々とお話させていただいている筆者としては、一つの見解と呼べるものは、お話できると考えているからです。

ただし、それは学術的で理論的な内容というより、実務的で経験値によって導かれた内容ではあると思います。ただ、そのような内容の方が、本稿を読んでいただいている、ビジネス関係者である皆様には参考になりやすいと考えています。

さて、それでは、冒頭の問いに戻る前に、そもそも経営戦略の定義とはなんでしょうか。

実は、あまりこれといった定義はありません。経営用語として一般的に用いられますが、特になにかはっきりした基準があるわけでもないのです。

しかし、個人的な経験から考えた場合、一つの定義は与えることができると考えています。それは、経営陣が、経営資源を配分する際の考え方、あるいは方針、というものです。これくらい簡潔に考える方が実務的には有効なのです。ちなみに、私は経営資源の配分を終えた後、与えられた資源で効果を最大化するための施策を、戦術という風に呼んでいます。

さて、実務的、と記したのは、上記のように定義した場合、経営戦略は、現実の経営に必要であると考えているからです。これが冒頭の問いに対する回答となるのですが、企業が成功を収めるためには、経営戦略は不可欠であると考えています。

なぜなら、経営とは、活動の元手でもある資源を運用して、それを最大化する行為であると考えるからです。そして、資源を最大化させるためには、活動している事業の利益性や安全性、成長性などを考慮して、どの事業、あるいはどの活動に、どれだけの資源を配分するべきかを決定することが極めて重要であり、これこそが経営の本質に他ならないからです。

このように考えると、資源配分の方針である経営戦略とは、経営に確実に必要なものであり、一種の経験知であるとも考えています。根拠や理由を含めて方針として明示しておくことで、意思決定に一貫性を持たせたり、配分の効果を検証したり、複数の関係者間で意識の共有化を可能としたりできるからです。これは一種の情報活用であり、大きな組織を効率的、かつ統合的に運用するには不可欠といえるでしょう。

そして、この定義は、いくつかの、別の問いかけをしてきます。

いくつかの問いかけの中で、よく聞くものの一つは、資源の配分を決める際の情報はどのように集めるのか、ということです。そしてもう一つあげれば、配分するだけで、活動の成果が出てくるのか、という問いが思い浮かびます。

これらは、連載の中で、別にお答えしようと思いますが、その前に、最近よく耳にする問いかけの方から、お話することにしましょう。

それは、そもそも経営資源とは何を指すのか、という問いかけです。少し前までは、このように語られる資源とは、お金のことを指す場合が多かったと思います。しかし、お金の配分だけで、つまり予算配分の考慮だけで経営資源を適切に配分し、活用したとは言えなくなってきているのです。

このお話は次回、詳しく語ることにしましょう。

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