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転換期を迎えているEDI -迫るEDI 2024年問題とは-

第三回 Web-EDIのメリット・デメリットから読み解く、EDIの重要性とは?

1.Web-EDIの功罪

第一回でも少しだけご紹介したが、1990年代に入り、インターネットやPCの普及が進むにつれて、企業間取引の世界ではWeb-EDIによる取引が急速に普及/拡大してきた。今回はそんなWeb-EDIについてご紹介する。

Web-EDIとは、インターネットとWebサーバーを利用して、取引先との間で受発注データなどをやり取りする企業間取引の手法の一つである。1990年代当時、業界標準EDIの策定や業界VANの誕生など、EDIの先進的な業界では通信手順によるEDI環境の整備が進んだものの、十分に普及しているわけではなかった。その意味で、急速に普及していくWeb-EDIの登場は、画期的な企業間取引の新手法であった。

Web-EDIが急速に普及した要因として、受注企業がシステムを導入する際の作業負荷やコスト負担がそれまでのEDIシステムと比べて圧倒的に少ないことが挙げられる。インターネット環境とインターネットに接続できるPCさえあれば、PCに標準搭載されたWebブラウザーを通じて手軽に取引を開始できる。このため、それまでシステムの導入負担が足枷となり普及が進まなかった中小企業にも、新しい取引手段としてWeb-EDIは広がっていった。

EDIが大幅に普及したという側面だけを見れば、Web-EDIの登場はEDI業界にとって大きな進歩であったと言えるが、その一方で“標準EDI”という業界ルールが再び抜け落ちてしまったことによる弊害も同時に発生していった。標準化されていないWeb-EDIの世界では、取引画面やデータの内容など、Web-EDIシステムを構築する発注企業側の独自仕様が乱立し、受注企業側では、取引企業ごとに異なる取引画面を毎回切り替えて利用しなければならない「多画面化」と呼ばれる問題に向き合うこととなった。取引画面の表示項目やレイアウト、画面遷移などは取引先ごとに全く異なるため、複数の取引先と日々取引を行う受注担当部門では、日々の業務効率が低下したり取引業務が属人化したりといくつかのデメリットが生じた。

■Web-EDIのメリット/デメリット (通信手順によるEDIとの比較)

Web-EDIのメリット/デメリット (通信手順によるEDIとの比較)

そもそも人手による操作を必要とするWeb-EDIは、“企業間で電子データを自動処理によって交換する”というEDI化の根幹ともいうべき要素が、受注企業側において完全に抜け落ちてしまっている。さらに発注企業側では、取引先に対してWeb-EDIの取引に伴うシステム利用料の負担を継続して請求するケースが一般的である。受注企業側にとって、導入時のコスト負担が極めて少ない点がWeb-EDI導入のメリットになっているものの、運用コストまで含めて考えると、必ずしもコストメリットの高い取引手段とは言えないかもしれない。

このように功罪相半ばするWeb-EDIだが、「EDI-2024年問題」を見据えた有効な解決策として選択されるケースは少なくない。業界によっては、Web-EDIによる取引環境しか用意していない発注企業も多数存在する。一方で受注企業は、お客様である発注企業側が指定した環境の中で取引に応じる受身の立場にあるため、Web-EDIを採用せざるを得ない。このような関係性の中、Web-EDIは従来型EDIからの移行先として今後も更に普及が進んでいくことだろう。

弊社インターコムでは、もともとWeb-EDI製品への対応には消極的であった。しかしながらWeb-EDIの潜在的な需要を見据える中、2019年に入りようやく対応製品のリリースを行った(Biware EDI Station Professional Web-EDI オプション)。取引量が限られており、システム費用や業務負荷、あるいは業務特性といった総合的な観点からWeb-EDIによる取引が発注企業/受注企業の双方にとって最適な手段となるケースは確実に存在する。Web-EDI一本槍ではなく、弊社が長年強みのあるEDIとFAXを組み合わすことにより、取引の状況に応じて適材適所にWeb-EDIを普及させるべく、微力ながら鋭意努力していきたい。

2.ERP×Web-EDI×共通RPA

ところで近年、Web-EDI取引に変革をもたらしている機能がある。それはRPA(Robotic Process Automation)を活用したWebブラウザー操作の自動化である。発注企業ごとに異なる取引画面上の定型作業に対し、ソフトウェアロボットに操作を任せることで受注取引の自動化を実現するものだ。Web-EDI受注業務において従来課題となっていた人手による定型作業から解放され、大幅な業務効率化につなげることができる。

RPAの全般的な概要/特長についてはGRANDIT社が紹介するコンテンツに委ねるとして、ここでは、Web-EDI(Webブラウザー)操作の自動化に絞って話を進める。Web-EDI操作の自動化によるメリットとしては、“出荷回答などにおける入力ミスの回避”、“ロボット操作による取引時間の短縮”などいろいろな要素が挙げられる。

■Web-EDI操作の自動化による主なメリット

Web-EDI操作の自動化による主なメリット

もちろんWeb-EDIによる取引量は受注企業によってまちまちとなる。そのためRPAで取引を自動化することは、費用対効果の観点から必ずしも最適解とはならないだろう。ただWeb-EDIの高い普及状況を考慮すると、“Web-EDI操作の自動化”という選択肢が増えたことは、受注企業にとって大きな意義があるに違いない。

さて弊社インターコムでは、RPAを活用したWeb-EDI操作の自動化機能として「Biware EDI Station Auto Web オプション」を提供している。本機能はGRANDIT社のRPAソリューションを活用することで実現しているが、最後にこのコンセプトについてご紹介させていただきたい。

EDIに限らず基幹系の作業は様々な場面でRPAによる業務効率化が期待されている。RPAは、あらかじめ定義されたシナリオに沿ってソフトウェアロボットが操作を行う仕組みのため、導入企業にとっては、各作業について共通の開発基盤のもとにロボット操作のシナリオを定義できる形が合理的となる。

またWeb-EDIを利用した受発注業務の分野では、単にWeb-EDIの操作を自動化して受注データを取り込めれば良いというわけではなく、さらに自動処理によって自社の基幹システムに合わせたデータの変換を行い、基幹システムにデータを受け渡すところまでを考慮する必要がある。一連の受注処理において自動化するべき範囲がWeb-EDIの操作に限定されないため、EDIベンダーのように専門知識を持った企業が自動化ソリューションを提供する必要性は高い。このように、基幹にまつわる各業務はそれぞれ専門性を伴うため、それぞれの領域の自動化は専業ベンダーによるソリューションの提供が合理的となる。

「Biware EDI Station Auto Web オプション」にGRANDIT社のRPAソリューションを活用したことの背景には、このような“導入企業側の合理性”と“提供企業側の合理性”という双方の合理性の追求がある。RPA開発基盤が「GRANDIT」と同様であるからこそ、専業ベンダーによる各分野の支援体制を確保しつつ、ERPからEDIまで、共通のRPA基盤により自動化/効率化を実現することが可能となっている。

GRANDIT社では、EDIに限らず、企業のデジタルビジネス基盤として「GRANDIT」と様々な基幹作業を共通のRPAでつなげる世界をご提案されている。様々な合理性が追及された基幹系作業におけるRPAの活用スタイルであり、弊社もその一翼としてソリューションの普及に努めていきたい。

■共通RPAにより、企業のデジタルビジネス基盤を構築

共通RPAにより、企業のデジタルビジネス基盤を構築

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