年末調整Q&A

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年末調整の時期になりました。
今年は基礎控除の見直し等の税制改正があり、改正内容に関しては25年7月の記事で紹介しています。今回は、国税庁のHPで解説されている、ベーシックな年末調整のQAに関して、まとめてみたいと思います。

①年の中途で退職した人の年末調整の有無

年の中途で退職した人については、一定の場合を除き、年末調整の対象とはなりません。
年の中途で退職した人のうち年末調整の対象となるのは、以下になります。

  • 死亡により退職した人
  • 著しい心身障害のために退職した人で、その退職の時期から本年中に再就職が不可能と認められ、かつ、退職後本年中に給与の支払を受けないこととなっている人
  • 12月に支給期の到来する給与の支払を受けた後に退職した人
  • パートタイマーとして働いている人などが退職した場合で、本年中に支払を受ける給与の総額が123万円以下である人(退職後本年中に他の勤務先等から給与の支払を受けると見込まれる人を除く)

②年末調整の対象となる給与

年末調整は、本年中に支払の確定した給与(給与の支払を受ける人からみれば収入の確定した給与)の総額について行います。

収入の確定する日は、以下になります。

  • 契約又は慣習により支給日が定められている給与についてはその支給日
  • 支給日が定められていない給与についてはその支給を受けた日をいいます。

例えば、給与規程で毎月1日~末日までの勤務実績を基に翌月10日に給与を支給することになっている場合、給与規程により支給日が定められていますので、翌年1月10日に支給する給与は、同日が収入の確定する日となり、本年の年末調整の対象とはなりません。

③別居している親族を控除対象扶養親族としてもよいのか

別居している親族であっても所得者本人の扶養控除の対象とすることは可能です。
その場合、別居している親族に対して常に生活費、療養費等の送金が行われているなど、所得者本人と生計を一にしている必要があります。

(注)国外居住親族について扶養控除の適用を受けようとする居住者は、次表のとおり、その国外居住親族の年齢等の区分に応じて、該当する全ての確認書類を給与等の支払者に提出又は提示する必要があります。

<扶養控除に係る確認書類>

非居住者である親族の年齢等の区分 扶養控除申告書の提出時に必要な書類 年末調整時に必要な書類
16歳以上30歳未満又は70歳以上 親族関係書類 送金関係書類
30歳以上70歳未満 ①留学により国内に住所及び居所を有しなくなった者 親族関係書類 及び
留学ビザ等書類
送金関係書類
②障碍者 親族関係書類 送金関係書類
③あなたからその年において生活費又は教育費に充てるための支払を38万円以上受けている者 親族関係書類 38万円送金書類
(上記①~③以外の者) 扶養控除の対象外

④扶養親族の判定における、遺族年金の取扱い

扶養親族や控除対象配偶者などに該当するかどうかを判定する場合の合計所得金額には、所得税法やその他の法令の規定によって非課税とされる所得は含まれません。
したがって、非課税所得である遺族年金を含めずに扶養親族の判定を行います。

⑤給料収入金額が明らかで無い場合の、所得金額調整控除申告書の提出有無

「所得金額調整控除申告書」は、所得金額調整控除の適用を受けようとする旨等を記載するものであるため、給与の収入金額が850万円を超えるかどうかが明らかではない場合であっても、所得金額調整控除の適用を受けようとするときは、「所得金額調整控除申告書」に必要事項を記載し、給与の支払者に提出してください。
なお、その年の年末調整の対象となる給与の収入金額が850万円を超えなかった場合は、「所得金額調整控除申告書」の提出をしたとしても、年末調整において所得金額調整控除が適用されることはありません。

⑥夫婦での扶養控除及び所得金額調整控除の適用の有無

(扶養控除の適用)
同じ世帯に所得者が2人以上いる場合、これらの人の扶養親族に該当する人については、これらの人のうちいずれか1人の者の扶養親族にのみ該当するものとみなされます。いわゆる共働きの世帯の場合、1人の扶養親族に係る扶養控除の適用については、夫婦のいずれかで受けることとなります。
(所得金額調整控除の適用)
他方、所得金額調整控除の適用については、扶養控除と異なり、いずれか1人の扶養親族にのみ該当するものとみなされません。これらの人はいずれも扶養親族を有することとなります。そのため、いわゆる共働きの世帯で、扶養親族に該当する年齢23歳未満の子がいる場合、夫婦の双方で所得金額調整控除の適用を受けることができます。

⑦生命保険料控除の対象となる契約

控除の対象となる生命保険料は、給与の支払を受けている人自身が締結した生命保険契約等の保険料又は掛金だけに限られません。
給与の支払を受ける人以外の人が締結したものの保険料又は掛金であっても、給与の支払を受ける人が、その生命保険料を支払ったことが明らかであれば、控除の対象とすることができます。

⑧税額が無い場合の所得税徴収高計算書(納付書)の提出有無について

年末調整による超過額が多かった影響で、1月に納付する税額がなくても、所得税徴収高計算書(納付書)は、所要事項を記入して1月10日(納期の特例の承認を受けている場合は1月20日)までに税務署に提出が必要です。
なお、納付税額がない所得税徴収高計算書(納付書)は金融機関で取り扱いませんので、所轄の税務署にe‐Tax により送信又は郵便若しくは信書便により送付又は提出します。

<参考>
令和7年分 年末調整Q&A
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/nencho2025/qa.htm

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