セミナーレポート

GRANDITユーザー会 2021
開催レポート

2021年、GRANDIT は製品リリースから17年が経過し、導入企業数は1,200社を超え、多くの業種業態のお客様にご利用いただいています。
今年10月には新サービス「GRANDIT miraimil」をリリースし、中小企業のお客様の成長を支援するクラウドERPとして、更なる進化を実現しています。
例年、ユーザー様へ日頃の感謝を込めて開催している「GRANDITユーザー会」ですが、今年は11月29日に、昨年に引き続き感染症対策の観点から、オンラインでの開催となりました。

1. ご挨拶

GRANDITユーザー会 2021 開催レポート発行に向けてのご挨拶:
GRANDIT株式会社 代表取締役社長
  石倉 努

今年もGRANDITユーザー会2021に多くのお客様にご参加頂き誠にありがとうございました。
毎年、無事にこのような会を開催できるも、日頃からGRANDITをご愛顧頂いているお客様のご支援の賜物と感謝しております。

COVID-19(新型コロナウイルス)による影響は、オミクロン株の急速拡大もあり、まだ先行きが不透明な状況にありますが、今後の景気は緩やかな回復が見込まれています。そして、このような厳しい状況にあってもソフトウェア投資は底堅く、ERPへの期待が高まっていることを実感しています。

当社のトピックについて触れておきます。
2021年におけるGRANDITのトピックの一つ目として、GRNDIT Ver.3.1のオプションである「GRANDIT for Salesforce」をリリースしました。これは、GRANDITとSalesforceをWeb-APIで連携し、営業活動から取引情報を統合管理し、業務効率化を実現するものです。
また二つ目には、10月にGRANDITクラウドサービス「GRANDIT miraimil(グランディット ミライミル)」の提供を開始しました。「GRANDIT miraimil」は、慢性的なIT人材不足と日本経済の活力の源である中小企業を取り巻く社会環境が激変している中、中小企業が直面する様々な課題を解決するお手伝いをしたいとの思いから、企画・開発されたものです。

今年のユーザー会では、「GRANDIT」や「GRANDIT miraimil」の最新動向に加えて、特別講演やお客様の最新導入事例についてご紹介させて頂きましたが、当日ご参加頂けなかったお客様のご要望にお応えする形で「GRANDITユーザー会 2021 開催レポート」としてまとめさせて頂きました。本レポートを皆様の今後のビジネス成長にお役立ていただければ幸いです。

2. 【特別講演】「収益認識に関する会計基準」のポイント・対応状況について

講師:
税理士法人Right Hand Associates 公認会計士・税理士
植地 亮太 氏

プロフィール:
大手監査法人において12年にわたり、公認会計士として、主に会計監査業務及び会計支援業務、内部統制監査業務及び内部統制支援業務、IFRS支援業務に従事するほか、IPO支援業務、任意監査業務、不正対応業務、財務デューデリジェンス業務等を多数手掛ける。上場準備会社を東証1部上場会社まで支援した実績あり。
上場企業はもちろんのこと中小企業の会計支援、管理体制支援及びスタートアップ企業のIPO支援、M&Aを得意とする。

「収益認識に関する会計基準」は、ここ数年で最も大きな会計処理の変化です。
本講演では、「収益認識に関する会計基準」の最低ここだけは理解しておきたいポイントと、実際に既に四半期財務指標で開示された収益情報の分析をご紹介するものです。
大局的に当会計基準の理解と、実務に影響する論点の理解を深めていただくことが目的となります。

影響度調査により、収益認識会計基準の影響額を各社ごとに網羅的にサマリー イメージ

植地氏は、まず自身が所属する税理士法人の紹介と自己紹介を行った後、「収益認識に関する会計基準」の各立場の対応について語りました。親会社、子会社など立場によって対応が異なり、特に子会社の方で全体感を正確に理解している人は稀であり、全体感を理解することで、収益認識に限らず様々な論点の対応が可能になると言います。

図を示して、「影響度調査により、収益認識会計基準の影響額を各社ごとに網羅的にサマリー」した例を解説しました。

この図の灰色の会社がP社のグループ会社、オレンジ色がP社の連結部分です。
P社グループにおいて、P社連結、親会社P社単体、子会社A社単体の、四角で囲まれた会社が対象となる収益認識適用会社です。
収益認識基準においては、論点が多岐にわたるため、ここでは論点A~Eとして記載しています。

植地氏は、この前提を踏まえて、各社どの論点への対応が必要なのか解説を進めていきます。

「ポイントとなるのは、連結上の重要性は、全ての会社で検討する必要がある点です。一方、単体重要性は、収益認識基準適用会社でのみ検討する必要があります」(植地氏)

ここで、連結上の重要性は売上高の1%としていますが、親会社P社において、論点Dは連結上の重要性460(連結売上46,000の1%)に及ばないものの、親会社P社単体の売上3,000の1%である300を超えているため、対応する必要があるのです。

また、子会社A社は収益認識基準適用会社であり、論点Cは、連結上の重要性460に及ばないものの、子会社A社単体の売上の1%である100を超えているため、対応が必要です。子会社B社は、収益認識基準非適用会社であるため、連結上の重要性のみで対応の可否を判断しますが、論点Aは1,000で、460(連結売上46,000の1%)を超えているので、対応が必要となるのです。

「子会社は、会計監査の有無及び連結上の相対的規模等により、どの論点を対応するかが異なります。自社がどの立場にあるかを明確にして、基準への対応を検討しなければなりません」(植地氏)

次に、基準のポイントの解説です。
ここでは、あくまでポイントに絞った説明に留めますが、基本的な方針は、以下の通りです。

  • 収益認識に関する包括的な会計基準
  • IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」を出発点に、日本の会計慣行にも配慮されている。

「従来は企業会計原則における実現主義の原則に従っていましたが、かなり昔に制定された基準であり、かつ詳細な基準ではなかったため、各会社の解釈により様々な会計処理が行われています。その結果、企業間における財務情報の比較可能性を妨げていました」(植地氏)

本基準のポイントは、以下の通りです。

  • 対象法人:上場会社、会社法監査対象法人及びその連結子会社等
  • 適用範囲:顧客との契約から生じる収益
  • 会計処理:5ステップモデルによる収益認識、重要性に関する代替的な取り扱い

ここで、5ステップモデルの解説に進みます。
5ステップモデルで重要なのは、下記のステップごとに検討を行い、収益認識を行う点です。

  • STEP① 顧客との契約を識別する
  • STEP② 契約における履行義務を識別する
  • STEP③ 取引価格の算定
  • STEP④ 取引価格を履行義務に配分する
  • STEP⑤ 履行義務を充足又は充足するにつれて収益を認識する

ここまでは、損益計算書に計上する収益の数値をどう作るのかという話でした。
一方、当基準においては計上した収益の数値を補完する意味で、必要な注記情報の開示が要求されています。

「損益計算書に計上されている収益の数字を理解するための情報の開示が要求されており、以前と比較して投資家の収益の理解を助けるものになっています」(植地氏)

開示についての要件は以下の通りです。

  • ■重要な会計方針の注記
    • 主要事業における主な履行義務の内容
    • 当該履行義務を充足する通常の時点
  • ■収益認識に関する注記
    • 収益の分解表示
    • 収益を理解するための基礎となる情報
    • 当期および翌期以降の収益金額を理解するための情報

また、経過措置および適用時期については、以下の通りです。

  • ■経過措置:過去の累積的影響額を期首利益剰余金に加減し、期首残高から新たな会計方針を適用することも認められている。
  • ■適用時期:原則 2021年 4月以降に開始する事業年度の期首

次に、開示された情報を基に、実際の「収益認識に関する会計基準」の各社対応状況について見ていきます。

植地氏は、対応状況の分析対象会社の抽出条件と分析対象会社を示した後、分析結果に基づき実務に影響を与えた論点の解説を行いました。ここでは、注記に記載されている論点のTOP3を取り上げています。

一番目の論点は、「代理人取引」です。ポイントは、代理人の判定であり、支配の有無を判断するために考慮する指標の例として次の3点を挙げています。

  • 財又はサービスに対して主たる責任を有しているか
  • 財又はサービスに係る在庫リスクを有しているか
  • 財又はサービスに係る価格裁量権を有しているか

二番目の論点は、「履行義務の充足」です。ポイントは、一定の期間にわたり充足される履行義務の要件であり、次の点に注意が必要です。

  • 義務を履行するにつれて、顧客が便益を享受する
  • 義務を履行する事により資産が生じる又は資産の価値が増加し、顧客が当該資産を支配する
  • 次の要件をいずれも満たす事
    • ・義務を履行する事により、別の用途に転用する事ができない資産が生じる事
    • ・義務の履行を完了した部分について、対価を収受する強制力のある権利を有している事

三番目の論点は、「変動対価」です。ポイントは、下記の通りです。

  • 変動対価とは、顧客と約束した対価のうち変動する可能性のある部分である
  • 変動対価の例として、値引き、リベート、返金、インセンティブや、返品権付販売等が挙げられる
  • 適切に変動対価を見積もり、取引価格に反映させる必要がある

最後に、今回分析対象とした会社の中で、特に影響が大きかった会社の注記を抜粋して紹介しました。
この会社では、収益認識基準適用に伴う影響として、売上減少影響率がマイナス54.9%、売上原価減少影響率がマイナス72.5%、販管費減少影響率がマイナス5.5%でした。

「経済実態に変更がないのに、会計基準の適用に伴い、これだけの影響が出たことを認識いただければと思います」(植地氏)

従来の基準では、様々な会計処理が容認されていましたが、これからは会計処理が一定レベルで統一されます。つまり、企業間の比較可能性がより高まってきたと言えるでしょう。

植地氏は、「収益認識基準は導入が始まったばかりです。キャッチアップは間に合います。売上に影響する企業の根幹に関する部分。是非、積極的な理解に努め、皆様の企業運営に活かして頂ければと思います」と述べ、本講演を締めくくりました。

3. 【活用事例・ソリューション紹介】【GRANDITバージョンアップ事例】マルチクラウド環境による堅牢かつ高パフォーマンスな冗長構成とセキュアなiPhone承認の実現事例

講師:
SBテクノロジー株式会社 法人公共事業統括 法人第2本部 法人3部 副部長
西浦 輝明 氏

プロフィール:
DXに関するコンサルティング、企業の問題解決に携わる。現在は主に、企業のDX基礎能力獲得に注力している。

GRANDIT活用事例・ソリューションのご紹介として、GRANDITバージョンアップ事例について、SBテクノロジー株式会社の西浦氏から解説がありました。
SBテクノロジー(以下、SBT)では、働く環境の変化に合わせた柔軟なアクセス環境整備を行ったと言います。

西浦氏は、DX推進にあたっては、労働生産性を高める組織作りと従業員の多様性を活かす事が重要になる、と訴えます。
特に西浦氏が注力している「企業のDX基礎能力獲得」においては、技術負債の解消、レガシー企業文化の脱却、データ利活用による競争力向上、Digital Nativeな人財・組織への変革が重要になるとのことです。

SBTでは、GRANDIT 3.1へのバージョンアップにあたり、更なるDX基礎能力づくりを図りました。具体的には、①マルチブラウザ対応、②iPhone Edge対応、③マルチクラウド化です。
②はレガシー企業文化の脱却、③は技術負債の解消とリンクしています。

まず、iPhone Edge対応について詳しく見ていきました。
西浦氏は、調査結果を基に、ニューノーマルな働き方の課題として、コラボレーションと情報セキュリティ対策が大きなウェイトを占めていることに注目しました。
クラウドサービスの需要やコミュニケーションツールの利用が急拡大する中、ITセキュリティについても、新たな対策が必要だと訴えます。
コロナ禍において、外出先からの確認・承認業務の重要性が増す中、企業資産を不適切な外部要因から守るための対応策として、高度な対策が求められると言うのです。
SBTが考える対応策として、IDでは「Microsoft Azure AD MFA」の採用による多要素認証、デバイスでは「Microsoft Azure AD/Intune」の採用による適切な企業規定のポリシー準拠、通信では「Microsoft Azure AD App Proxy」の採用による暗号化かつ手軽な接続が挙げられます。

これまでSBTでは、外部から社内資産へアクセスするに当たり、

  • モバイルデバイス起動&ログイン
  • VPN接続
  • 仮想デスクトップ起動
  • OSログイン
  • ブラウザ立ち上げ
という手順が必要でした。煩雑な手順に加え、VPN接続や仮想デスクトップには、セキュリティやコストの面での問題もあったと言います。

今回採用したiPhone Edgeでの承認では、上記のように5段階必要だった手順が大幅に短縮され、承認依頼メールをクリックするだけで一気にGRANDIT画面へ移動できるようになり、内容を確認し、承認ボタンを押すだけになりました。
結果として、ログイン時間は10分から即時へ短縮され、メールからの直リンクは10件/日と仮定して、30分~60分の省力化につながったということです。

次にマルチクラウド化について詳しく見ていきました。
マルチクラウド化は、システムとヒトのパフォーマンスを向上し、技術負債を解消する対策です。

マルチクラウド構成 イメージ図

基幹システムのクラウド移行は順調に伸びており、拡張性、コスト、俊敏性といった面でメリットが多いのも事実ですが、懸念点として次の4つが挙げられると言います。

  • 可用性:継続した業務遂行の不安
  • 信頼性:クラウドベンダーへの不安
  • 性能・拡張性:パフォーマンスへの不安
  • 安全性:セキュリティの不安
これら、クラウド化への懸念点をいかにメリットに変えるかが重要であり、結論として、利便性と可用性とコストのバランスを考慮して設計し、下図のようなマルチクラウド構成を採用しました。

AWSとAzureのマルチクラウド化により、本番環境のデータは検証結果とスタンバイ環境へリアルタイム同期させた点、必要な時以外は電源オフとしコスト低減を図った点、すべての社内システムと同じIDとパスワードで利用可能とした点などが、特徴として挙げられます。

これにより、画面レスポンスの体感は2倍に向上、仕訳取込は8時間から3時間へ短縮され、債権・債務の締め処理についても35分から20分へ短縮するなど、生産性と業務効率化が向上したと言います。

西浦氏は最後に、働き方の変化によるDX加速とセキュリティに触れました。
今回の取り組みを経て、現場としての体感は次のように変わったと言います。

  • 待ち時間が短くなり、クリエイティブな仕事にも手が回る
  • ロケーションを問わず、国内外の色々な方と仕事が出来る
  • ライフイベント期間においても柔軟な働き方が出来る
これらのメリットを享受するためには、情報漏洩時のリスクを最小限にする、時間・場所・端末を問わないセキュリティであり、ユーザーや管理者への負荷が少ないことが重要であるとのことです。

西浦氏は、SBTが提供する「ゼロトラストセキュリティ スターターパック」では、スピーディーな環境構成、豊富な導入実績から導き出した推奨設定、導入後の継続サポートを得ることができることを強調した上で、PoCによる早期自社展開と企業ポリシーや業務への定着化と改善を支援できることを訴えました。

4. 【活用事例・ソリューション紹介】令和3年度電子帳簿保存法改正に向けた、GRANDIT-Paples[電子帳法]導入事例のご紹介

講師:
日鉄日立システムエンジニアリング株式会社 営業統括部 ソリューション営業部 シニアマネジャー
柿木 満 氏

プロフィール:
15年以上、基幹系システム(販売・生産・会計)と周辺ソリューションを活用した業務改善提案を経験。昨今においては新型コロナウイルスの影響により、テレワーク/リモートワークや電子帳簿保存法に関する多数の問合せ・提案を実施。課題を持たれている顧客の基幹システム状況を把握し、課題解決に向けたソリューション提案を担当。

GRANDIT活用事例・ソリューションのご紹介として、電子帳簿保存法改正に向けたGRANDIT-Paples[電子帳法]導入事例の紹介が、日鉄日立システムエンジニアリング株式会社の柿木氏、およびGRANDIT株式会社からありました。

まず、電子帳簿保存法と市場動向についてです。
電子帳簿保存法は、令和4年(2022年)1月より税制改正が行われます。主な変更点としては、帳簿と書類のデータ保存については、申請が不要となり別途「届出制」が新設されました。また、スキャナ保存については、申請が不要となっています。
スキャナ保存に関しては、タイムスタンプの付与期間要件が延長される、システムによってはタイムスタンプが不要になるなどの変更点もあります。また、これまでハードルの高かった適正事務処理要件も廃止になっています。
検索項目に関しては、スキャナ保存、電子取引ともに、取引年月日、取引先、取引金額の3項目のみが必須となりました。
また、大きなポイントとしては、電子取引データは電子媒体のみで保存義務が発生することとなりました。

ここで柿木氏は、法的要件認証制度(JIMA認証)について触れ、認証ソフトを利用することで申請の手順が簡素化されると紹介しました。日鉄日立システムエンジニアリングが提供する統合電子帳票ソリューション「Paples(パピレス)」は、帳簿とスキャナの認証ソフトとなっている他、新設された書類と電子取引では、Paplesと同社の電子契約クラウドサービス「DocYou(ドックユー)」の認証を予定していると案内しました。

次に柿木氏は、電子帳票システムに求められる主な要件について、Paplesの全体像を示しながら解説を行いました。

電子帳票システムに求められる主な要件 イメージ図

Paplesは社内や対外向け帳票(帳票)、オフィス文書や受領帳票スキャン文書(ドキュメント)、相互関連する業務データ(データ)を統合的に管理するハブ&スポーク型エンタープライズ統合帳票基盤であり、基幹システムや業務システムのデータを元に定型・非定型帳票や文書を電子化することで、ペーパーレスによるコスト削減や必要帳票・文書へのスピーディーな検索による業務効率化を実現すること、多彩な帳票出力運用機能やセキュリティ基盤・運用機能を提供すること、などを紹介しました。また、一部の管理をするといったスモールスタートが可能であり、全体管理まで段階的に拡張することができるという点についてもアピールしました。

次に、電子帳簿保存法への対応(電帳法I/Fのご紹介)へと移ります。
PaplesはGRANDIT専用インターフェエースを含めソリューションを提供しています。
導入メリットとしては、基幹システム側にデータを保持せずPaplesへ保管することで、データ量増大による基幹システムのレスポンス低下を回避できる点などが挙げられます。

帳簿・書類への対応としては、財務会計システムからPaplesへ帳簿・書類データを連携し、見読可能性と検索機能を担保しています。帳簿・書類データのレコードを条件指定して検索し、検索にヒットしたレコードを一覧表示することも可能となり、スキャナ保存への対応としては、連携されたスキャン文書と帳簿データを自動リンクして、相互関連性を担保しています。電子取引のデータ保管については、メールやFAXで相手先から受領(受信)したファイルを保存できるようになっている点などを紹介しました。

また、電子取引のデータ保管は、電子契約クラウドサービスのDocYouでも可能であると言います。
帳票電子配信サービスや電子契約サービスとの連携が可能であることにも触れ、注文書や請求書など、従来郵送していた帳票を取引先に電子公開することができる点、電子契約サービスを利用した場合、双方のペーパーレス化が可能となり、印紙が不要になる点についても紹介しました。

柿木氏は、最後に総合帳票基盤であるPaplesを利用することで、他社サービスの契約書も一元管理できることを訴え、自身のパートを締めくくりました。

ここで、解説はGRANDIT社による「eco Deliver Express」との連携へと移ります。
eco Deliver Expressは、①Web配信、②一時DL、③メール配信、④FAXサービス、⑤郵送代行という5つの配信方法をサポートしています。
例えば、Web配信は、送信先へリンクメールが送信され、リンクをクリックしてログイン(初回はID登録が必要)し、一覧からPDFをダウンロードするという方法で行われ、直観的な操作が可能となっています。

最後に、eco Deliver Expressの特徴として、送信先に負担を掛けずに帳票を受け取ってもらう機能を豊富に搭載している点、自動催促メールや検索機能、公開停止機能など、郵送ではできなかった便利な機能を搭載している点をアピールし、本講演を締めくくりました。

5. GRANDIT 今後の展望

GRANDIT株式会社

GRANDITの今後について紹介しました。

まず、ERP市場の最新動向についてです。コロナ禍の影響もあり、2020年は一時的に落ち込んだものの、2021年以降は底堅く成長していくというシンクタンクの予測を紹介しました。また、シンクタンクによると、ERPのクラウド化について2021年には全体の60%に達すると予測し、今後もクラウド化は進むと見ています。

ERPパッケージのライセンスシェアを見ると、GRANDITはERP市場全体で3位となっていますが、今後もシェア拡大に努めていきます。
なお、GRANDITの導入社数は、2021年10月末現在で、1,292社、モジュール本数は6,011本となっており、導入社数の推移をみると、過去5年間の実績で、年平均60社に導入いただいていることになります。

次に、2021年度のトピックスについてです。2021年3月に、「GRANDIT for Salesforce」をリリース。更に10月には「GRANDIT miraimil(グランディット ミライミル)」をリリースしました。

「GRANDIT for Salesforce」は、GRANDITとSalesforceをWeb-APIで連携します。案件管理~見積管理までの営業活動はSalesforceで管理し、受注以降の取引情報をGRANDITで一括管理するなど、営業活動から取引情報まで統合管理できるのが特徴です。

「GRANDIT miraimil」は、GRANDITのクラウドサービス版とも言えるサービスです。
サービス基盤として、高セキュアなMicrosoft Azureの環境を採用。各種サービスとの連携を行うことができ、クラウドサービスであるため、場所や時間を選ばない利用が可能です。
また、弊社内にサービスデスクを置き、お客様の代わりにシステムを運用します。更に、クラウドで帳票を電子化できる「eco Deliver Express」との連携によるペーパーレス化も実現しています。

「GRANDIT miraimil」のリリースによって、GRANDITは、お客様の利用形態に合わせ、「オンプレミス型」「サブスクリプション型」「クラウドサービス型」の3つの中から選択いただけることとなりました。

GRANDITは、GRANDIT自身の機能強化に加え、コンソーシアムパートナーのソリューションと連携し、お客様の課題をトータルサポートできるソリューションを順次拡充しています。

また、情報発信に関しては、ウェビナーによる情報発信に積極的に取り組んでいます。先般行われたGRANDIT DAYSも、ウェビナー形式で行い、計3日間、のべ約2,800名の申し込みがありました。

改めてGRANDITの進化を振り返ってみると、GRANDITはお客様の声、コンソーシアムの叡智、外部環境の変化とともに進化し続けてきたことが分かります。今後の主な開発・強化テーマとしては、業務デジタル化、生産性向上、DX支援などがキーワードとして挙げられます。

DX支援にフォーカスして、ERPができることを整理すると、次の通り、3ステップあると考えられます。

  • ①デジタイゼーション(特定業務のデジタル化):特定業務に特化したITサービスを活用
    • GRANDIT連携ソリューションの拡充
    • RPAソリューションの強化
  • ②デジタライゼーション(全社業務のデジタル化):ERPを中核にした経営基盤の構築
    • 対応業務範囲(モジュール)の拡充
    • ノーコード・ローコード開発による生産性向上
    • 周辺サービスと繋がるAPI連携の拡充
    • データマート分析機能の強化
  • ③DX(ビジネス全体の変革)

こういったことを確実に実行することが、お客様のDX支援に繋がると考え、製品ロードマップにも組み込みながら、着実に機能強化・サービス強化をしてまいります。
進化を続けるGRANDITを今後ともご期待ください。

※本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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