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EDI 2024年問題

EDI 2024年問題とは、NTTがこれまで提供していたISDN回線サービス(INSネットのディジタル通信モード)の提供が2024年に終了することで、固定電話網を使用した従来のEDIが使用できなくなる問題のことを言います。

INSネットのディジタル通信モードは、主にデータ伝送に特化した通信モードのことで、EDI(電子商取引)やPOS(販売情報管理システム)など、多くの場面で使用されてきました。

これまでのEDIでは以下の通信プロトコルを使用しており、いずれもNTTのISDN回線などを用いた伝送手順でした。

●JCA手順
日本チェーンストア協会が制定したデータ交換手順であり、流通業界を中心に広く普及しています。

●全銀手順(ベーシック手順)
全国銀行協会(全銀協)が制定した通信プロトコルで、銀行間をはじめ銀行と企業間、企業同士においてデータの交換に使用されています。

●全銀TCP/IP手順(拡張Z手順)
全銀手順をTCP/IP用に拡張した通信プロトコルで、回線は公衆回線やISDN回線を使用しています。

高速で安価なインターネット回線が普及してきたことを背景に、ISDNの一般的な利用者は減ってきています。長年使用され続けて回線や設備は老朽化しており、通信インフラとして維持管理することが難しくなってきたことから、NTTはこのISDN回線のサービス提供(ディジタル通信モード)を終了することを発表しました。

今後は、2024年から固定電話網はIP網へ順次移行が開始されます。そのため、ISDN回線を用いた通信プロトコルでEDIなどの企業間のデータ取引を行っている場合は、対策が必要です。

NTTが平成28年に公表したデータによれば、2015年時点でサービス提供が終了するISDN回線は256万回線にも上ります。

対策をしない場合、企業間で請求書データが届かなかったり、受発注データの反映が遅延したりするなど、企業活動において広範囲に影響がでることが想定されています。

NTTではISDNの提供終了までに移行が間に合わないユーザーに対して、影響を小さくするために「切り替え後のINSネット上のデータ通信」(補完策)を2027年頃まで提供することを発表しています。

しかし、補完策で提供される通信は従来のデータ通信と同品質ではなく、処理遅延が発生する可能性があることに注意が必要です。
実業務においては、データの処理量によっては運用に耐えられない処理速度に落ちてしまうことが考えられることから、NTTが提供している検証環境を用いて確認しておくのが望ましいでしょう。

なお、NTTの発表した補完策は2027年までと限定的な対応策となることから、既存のEDI環境からWeb-EDIなどへ移行することも早めに検討しておく必要があります。

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