GRANDIT AWARD 2021
Solution of the Year 受賞インタビュー
GRANDIT+スマートデバイスで作業現場のDXを推進。直感的なUIによる入力支援が現場担当者に高く評価され「Solution of the Year」を受賞
プロジェクトマネージャー
橋村 佳昇 氏
ソリューション本部 GRANDITソリューションサービス部
コンサルティンググループ プロジェクトリーダー
安田 翔太 氏
2021年度のSolution of the Yearは、ベニックソリューション社が「スマート Entry for GRANDIT」で受賞しました。製造業などの作業現場において、スマートデバイスで直接GRANDITへの入力が行える「スマート Entry for GRANDIT」とは一体どのような製品なのか、その特長やユーザー様に評価されている点などについて、開発プロジェクトに携わってきたお二人にお話を伺いました。
インタビュアー:GRANDIT株式会社 マーケティング室 室長 高橋 昇
Solution of the Yearの受賞、おめでとうございます。まずは率直な感想をお聞かせください。
この製品は2018年から開発に着手、2020年4月に初回リリースを迎え、その後、GRANDITの新バージョンに追随して機能拡張を行っています。私は、初回リリースまでのプロジェクトマネージャーとして参画しました。このような賞を受賞できて、大変光栄です。
私は、2018年の開発プロジェクトスタート時から、プロジェクトリーダーとして参画しており、現在に至るまで導入と保守を担当しています。開発や導入はがむしゃらにやってきましたので、苦労が報われて大変ありがたく思っています。これを機に認知度が上がり、更に売れると嬉しいですね。
「スマート Entry for GRANDIT」の概要と開発の背景、適合する業種/業態など簡単にご紹介ください。
この製品は、スマートデバイスを使って、GRANDITの照会や登録ができるソリューションです。昨今、製造業のDXや工場の見える化が推進される中、作業者がリアルタイムでデータ入力したいという声が多くなっています。弊社では、そのようなニーズに応えるために、ソリューションの開発を行いました。
この製品は、スマートデバイスを利用して照会や登録ができるので、直感的な操作が可能です。また、QRコードやバーコードから対象を読み込んで処理する方法と、スマートデバイス上で対象を検索、一覧表示してから処理する方法の2つの入力方法を用意して、利用者の運用に合わせて選択することができます。
対象業務としては、GRANDIT標準にある入荷、出荷、在庫移動、棚卸業務などをカバーしています。また、システムインテグレータ社の生産管理モジュールの在庫払出、作業報告業務にも対応しています。
作業現場にいながら、作業と同時に入力できること、入力業務を効率化できて、かつ正確な実績入力が可能なため、データ精度の向上を図れる点がポイントです。
ラインアップとしては、GRANDIT標準版、GRANDIT標準版+システムインテグレータ社の生産管理という2種類を用意しており、各ユーザーのニーズに応じて、なるべく安価に導入できるようなラインアップとなっています。
実際に導入していただいている企業様は、生産管理、出庫、入庫、棚卸の業務がある製造業のお客様が多いのですが、GRANDITで在庫を扱えるような業種には幅広く対応しており、流通や倉庫業務などでも利用いただけます。
対応デバイスは、現状ZEBRA社のTCシリーズというAndroid端末のみですが、今年10月頃にキーエンス社のAndroid端末でも提供を始める予定です。なお、初回のみスマートデバイスにアプリのインストールが必要ですが、プログラムアップデータは自動配信できる仕組みを採用しています。
開発時に特にこだわったポイントやエピソードがあればお聞かせください。
特にこだわった点は2点あります。
一つは、データ整合性の確保です。スマートデバイスから仕入や作業実績という在庫を動かす伝票を登録するので、不整合データが発生しない仕組みの検討やテストには時間をかけました。
もう一つは、操作性、ユーザビリティーです。直感的な操作が可能なスマートデバイスを入力端末として採用した上で、何度もファーストユーザー様にプロトタイプを試してもらい、操作性の向上を図りました。直感的でわかりやすいインターフェースになったと自負しています。
導入いただいたお客様に、特にご評価頂いた点をお聞かせください。
まずスマートデバイスを使用した汎用性の部分を評価いただいています。作業現場では、一般的にハンディターミナルと呼ばれる専用端末で入力作業を行うケースが多いのですが、スマートデバイスを採用することで、入力以外に進捗状況の把握もできる情報端末として使用することが可能です。そういった点が、現場の作業者や管理者にとって大きなメリットとなっています。
また、ユーザーごとの機能面の要望に対しては、汎用登録機能で対応しています。これは、サーバー側にあるデータベースモジュールの登録だけで、新機能を追加できる仕組みです。これにより、マスタ設定とデータベースモジュールの開発だけで、簡単に各ユーザー様の業務に適した新機能を作成できます。汎用登録機能を用いて機能が簡単に追加でき、改善要望がスピーディーに反映される点も評価されています。
一方で、課題となっているのは、レスポンスです。GRANDIT標準機能相当のレスポンスは実現できているのですが、一般的なスマートフォンアプリに慣れ親しんでいる層にとっては、ストレスを感じるという声もいただいています。今はGRANDITの入力仕様(一覧表示→伝票表示→情報入力)に合わせていますが、今後は、アプリへの入力を作業現場に合わせた形にすることで改善することを検討しています。
もう一つ、このソリューションは、現在対応端末であるZEBRA社のTCシリーズが、半導体不足で納品まで3カ月待ちという状況です。今年の10月頃に国産のキーエンス社の端末がラインアップ予定なので、納品期間についても今後は改善される予定です。
一般の人にとっては、スマートデバイスというと、どうしてもiPhoneというインプットがあると思います。そのため、「iPhoneで使えないの?」という声をよくいただくのですが、弊社としては工場への最適化という意味でも、堅牢性の高いAndroid端末で提供している点をご理解いただければと思います。
「スマート Entry for GRANDIT」の今後のエンハンス計画、GRANDITアドオン/テンプレートなどの開発計画があれば教えていただけますか。
「スマート Entry for GRANDIT」については、現状ユーザー様からいただいているレスポンス改善や入力に対する要望に応えて、標準機能を拡張していく予定です。
その他のアドオンテンプレート等に関しては、弊社ではプロジェクト別の個別原価管理に対応した個別原価管理アドオンモジュールがあり、日々バージョンアップを行っています。特に今年度に関しては、法改正対応として原価回収基準への対応や、導入しているお客様からの声を受けて、機能強化を実施しています。
GRANDIT事業への今後の方向性や取り組みについてお聞かせください。
弊社は、グループ導入のノウハウや、製造業の知見などが強みだと考えています。これに加え、「スマート Entry for GRANDIT」や個別原価管理のアドオンモジュールを組み合わせて、今後もお客様にとって付加価値のあるソリューションを提供していきたいと考えています。
なお、現在は「スマート Entry for GRANDIT」の引き合いが多く、ある企業グループでは、親会社・子会社の製造現場に向けて、100台単位での導入が検討されています。
今後も、「スマート Entry for GRANDIT」などのデバイスと紐づけたソリューションに力を入れていきたいと考えています。
最後に、多くのコンソーシアム企業の中で、特に「お客様にアピールしたい点」をお聞かせください。
弊社は川崎重工グループであることもあり、適切な個別原価管理を可能とする個別原価管理アドオンモジュールを用いたソリューションや、製造現場向けの「スマート Entry for GRANDIT」で、入出荷や棚卸、および汎用入力機能を使って、さまざまなシチュエーションに対応できます。ご要望があれば、是非お声掛けください。
特にシステムインテグレータ社の生産管理モジュールと親和性の高い製品なので、システムインテグレータ社とコンソーシアム内でタッグを組むことで、より強みを発揮できると考えています。
プロフィール紹介
川崎重工業株式会社全額出資によるIT関連事業の子会社として設立。川崎重工業グループでのシステム導入・運用の経験で培われ、磨かれたソリューション/ノウハウ/付加価値をベースにして、GRANDIT の導入から運用まで、トータルでサービスを提供している。
※記載している会社名・商品名は各社の商標または登録商標です。