株式会社ゼロ様
目指したのは、将来の経営を支えるERP
グループ導入を成功に導いた秘訣とは?
老朽化によってレスポンスが著しく低下していた会計システムに、不安を抱いていた株式会社ゼロ様。自社を取り巻く将来的な環境の変化にも対応でき、経営計画の達成にも貢献するシステムとして、GRANDIT導入を決めました。
さらに、その数年後にはグループ会社への導入も実現。異なる会計システムを使い、科目や締日などがバラバラだったグループ会社への導入プロジェクトには、どのような困難があり、どのように乗り越えられたのでしょうか。
本社へのシステム導入を推進した情報システム部の森下次長と、グループ会社への導入を担当した経理部の工藤課長にお話を伺いました。
企業情報
企業名 | 株式会社ゼロ |
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事業内容 | 年間300万台以上の新車や中古車を扱う車両輸送事業を核として、整備やオークションなどの自動車関連事業、車両以外の一般貨物輸送事業、車両運行管理や人材派遣を行うヒューマンリソース事業などを展開。車両輸送事業では、日本国内を5つの地域ブロックに分け、各ブロックを担当する5つのグループ会社を統括している。 |
資本金 | 3,390百万円(2018年6月末現在) |
連結従業員数 | 2,514名(2018年6月末現在) |
高いグループ導入実績と導入効果に期待し、GRANDITを選定
― GRANDIT導入に至る背景について教えてください。
株式会社ゼロ
情報システム部 次長
森下 治 氏
森下次長:
会計システムのリプレースを検討し始めた当時、弊社は3つの課題を抱えていました。
1つ目は、既存システムの使用継続が限界に来ていたことです。そのシステムは、2005年7月に導入したもので、2012年時点で7年経過しており、処理速度が著しく遅くなっていました。また、2014年3月に保守期限が迫っており、その前に何らかの決断をする必要がありました。
2つ目の課題は、経営環境の変化への対応です。当時、弊社は事業領域を大幅に拡大しており、業種の増加や管理項目の変化、法改正などに対応できるシステムが必要となっていました。
3つ目の課題は、中期経営計画への貢献です。弊社が掲げる中期経営計画を達成するためには、経営判断に不可欠な数字を正確かつ迅速に提供してくれる会計システムでなければなりませんでした。具体的には、月次連結業績の報告を従来の15営業日から8営業日後に短縮したい、決算発表も期末後45日から短縮したいという希望がありました。
これら3つの課題解決を目指して、2012年から新しい会計システム導入の検討を始めたのです。
― 数あるERPの中からGRANDITを選ばれた要因は何でしょうか。
森下次長:
有名な海外製ERPの中には、日本向けまたは個社向けのカスタマイズに高額な費用がかかるものがあると聞いていました。そのため、検討にあたっては純国産という縛りを設けました。その上で機能面などを比較検討した結果、最終的に既存システムの最新バージョンとGRANDITの2つが残りました。
2つについては、機能面も予算面も大きな違いはなかったのですが、最終的には、グループ利用を前提とした柔軟性が決め手となりました。中期経営計画の達成には、事業セグメントに依存しないグループ利用を前提とした会計標準システムの導入が不可欠です。そのため、今後M&Aなどを通じて増えるであろうグループ会社の会計標準化に強みを発揮することを期待して、GRANDITを選びました。
また、GRANDITはコンソーシアム方式を採用しており、弊社の要望を満たしてくれる導入ベンダーを選べる点も魅力でした。
― 導入時、どのようなご苦労がありましたか。
森下次長:弊社の場合、上流から流れてくるデータ量が多く、それを下流で受け止めるシステムには相応の負荷がかかります。以前使っていたシステムの場合、膨大なデータが日々蓄積されていき、日を追うごとに動作が遅くなっていました。
レスポンスの改善については、導入ベンダーに要件としてきちんと伝え切れていないところがあり、改修はかなり大変だったと思います。
会計システムがバラバラのグループ5社をGRANDITで一本化
― 本社で導入された後、グループ会社へも導入されたそうですね。
株式会社ゼロ
経理部 課長
工藤 剛 氏
森下次長:
そもそもの構想として、グループ利用を前提としたGRANDIT導入でした。
それまでは、本社から日本全国に向けて新車・中古車の輸送を行っていましたが、よりお客さまニーズに的確にお応えするため、国内を5つの地域ブロックに分け、ブロックごとに輸送やマネジメントを行うことにしたのです。
工藤課長:
まずは、ゼロ本社にGRANDITを導入し、地域ブロックごとの会社設立が全国に整う段階で、各ブロックを担当するグループ会社5社へGRANDITを導入しました。
― グループ会社へ導入する際の課題は何だったのでしょうか。
工藤課長:
今回導入したグループ会社5社は、使用している会計システムが全て違っていたことに加えて月次決算締め日や各種運用についてもバラバラでした。
グループ会社にもゼロと同じ会計システムGRANDITを導入することでグループとしての勘定科目や業務フローの統一化を図り、ゼロの輸送収支を連携して業務量削減に伴う連結決算早期化を実現して経営に貢献できるシステム構築を目指しました。
― グループ導入される際には、どのようなご苦労がありましたか。
工藤課長:
はじめに4社、2ヶ月後に残り1社への導入を進めていったのですが、同時に導入となると、マスタ設定やデータ移行、残高確認に加えて各種開発機能検証なども全部同時期にやらなければならず、苦労したのを今でも覚えています。
導入プロセスにおいては、マイルストーンを設定することでプロジェクトにおける各工程の期限を明確にし、WBSにて管理しながら進めていきましたが全てが予定通りにいったわけではありませんでした。
当初は先行本番稼動(開発なしでリリース)からスタートし、その後開発案件を全て同時リリース予定でしたが工程に遅れが生じました。その際も進捗状況を随時プロジェクトメンバーで共有していましたので同時開発ではなく1次開発、2次開発と分けてスケジューリングし直すなど意思決定を迅速に進めながら、本番リリースに向けて再構築して一つ一つ確実に遂行していくことで期限内に5社本番リリースすることが出来ました。
また、実務運用においては今までの会計システムから新しい会計システムに変わるということで、システム操作説明会を開催し、教育の場を設けました。運用開始してから実務担当者に話を聞くとやはり慣れ親しんだやり方がいいとの声が多くあがりましたがGRANDITの導入によって得られるメリットや、グループ導入することの意義などを根気強く説明しながら、ゼロ本社と同じシステムを使い、勘定科目も統一して、経営分析に有効活用するという軸はブレないようにしました。
実際に使ってもらってみると、これまで手入力やエクセルでマクロを組んで何とか集計していた帳票が、自動でできる点を非常に喜んでもらえました。そうやって便利さを実感してもらうことで、素直にGRANDITを受け入れてもらうことができました。
また、ゼロ本社とグループ会社で統一したCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を活用し、それまで各社で行っていた支払いを本社で一括代行することにしました。これにより、グループ各社の煩雑な経理業務が軽減されたというのも、大きなメリットとして、受け入れられた要因です。
― 導入後は、どのような効果が得られましたか?
工藤課長:
まず、業務が標準化され、ゼロ本社からグループ会社の遠隔サポートが可能になり、将来的に考えている会計業務シェアード化の基盤を作ることが出来ました。
また、業務量削減にも大きく貢献しています。膨大な手入力が自動化された上、CMSによって各社の支払に関する経理業務が軽減されました。更に、工数削減による決算の早期化も実現できました。
分析が容易になった点も大きいですね。以前はデータを手作業で加工していましたが、導入後はBIを活用して、部署別の損益なども簡単に出力できるようになりました。
また、グループ会社の数字をリアルタイムで把握できるため、経営に影響を及ぼす何らかの兆候が見つかれば、すぐに手を打つことができます。
内部統制の面でも効果的です。情報をゼロ本社で一元管理できるため、リアルタイムでの牽制、不正の防止効果が見込め、コンプライアンス強化に役立ちます。
森下次長:
本社視点で言えば、管理や分析がしやすくなったこと、グループ会社視点で言えば、業務量削減が大きな効果でしょうか。
また、当初課題として掲げていた、変化への対応という点でも、柔軟に対応できていると思います。例えば、元号が平成から令和に変わったときもスムーズでしたね。
SEの対応力にも助けられ、スムーズな導入を実現
― 改めて、GRANDIT導入プロジェクトを振り返ってみて、いかがでしたか。
森下次長:
ゼロ本社でモデル導入して、その後グループ会社へ展開したからこそうまくいった、とは言えると思います。まず本社のGRANDITで、上流から流れてくるデータをうまく処理できるようにしっかりと整備していなければ、これほどスムーズにグループ会社への導入はできなかったでしょう。
また、導入ベンダーのベニックソリューション社には、GRANDITに対する技術力や、グループ共通基盤導入の実績、そして私たちの要望に耳を傾け、的確に対応してくれるサポート力に期待しました。実際にお付き合いしてみて、私たちの期待に十分応えてくれたと思っています。
システムを立ち上げた当初は何かとトラブルも発生しましたが、そのトラブルに真摯に向き合い、誠実に対応していただきました。おかげさまで、担当SEの方とは良好な関係を築けています。
工藤課長:
システム立ち上げから関わっているSEの方がいたのが心強かったです。ゼロの特性を理解されていたので要件定義の際などに弊社側から出される要望に、できないことはできない、できないけれどもこのやり方はどうですかと提案までしっかりと言ってくれる。芯がブレずに動じない点は頼りになりました。
また、プロジェクトの内容変更や要件の追加、スケジュール変更などイレギュラーなことがあっても、きちんと最善の策を話し合って進めてくれました。
本番リリース後も導入した5社の運用状況を把握するため、九州、関東、中部、西日本、東日本と日本各地の拠点へ出向き、各社の経理担当者にヒアリングを行う際も同行し、ユーザーから出される要望に即対応、または課題確認して運用改善、今後のシステム改善へ検討要件抽出など、ユーザー目線にて対応していただきました。
― 今後の計画や展望などは、どのようにお考えですか。
工藤課長:
まずは外部システムとの連携強化をしていきたいと思っています。具体的には人事給与システムや経費精算システムになります。現在手作業の部分を連携により自動化することで「入力業務」よりも「分析業務」へ付加価値の高い業務へシフトしていく。財務数値の作成から経営管理に関わる非財務数値のモニタリングへシフトチェンジしていくことで経営貢献できるようGRANDITをフルに活用して分析業務に特化出来る仕組み作りを構築していきたいと思っています。
森下次長:
中長期的には、グループ会社で輸送会社があと2社あるので、費用対効果をみて、同じようにGRANDITを導入するかどうかを検討したいと思っています。
今は、BIやRPAによる自動化が話題で、働き方改革も叫ばれています。単純作業は機械に任せて、業務の効率化を実現していきたいですね。
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