導入・サポート

ERPの要件定義|進め方と注意点

本稿の概要

  • ERPの再構築・導入手順の全体像とスケジュール目安
  • ERP導入の要件定義プロセスの進め方・注意点
  • 要件定義プロセスにおけるGRANDITのサポート事例

GRANDITでERPの再構築や導入手順の全体像とスケジュールや、要件定義プロセスの進め方や注意点に関してご紹介していきます。

また、実際にGRANDITでERPを再構築、導入する際に、どのようなサポートを提供しているか具体的な事例を基に紹介していきます。

ERPシステムの再構築や導入の要件定義に関して困っている点や疑問点がある企業担当者様は、本稿をぜひご参考ください。

現行システム再構築の全体像

ERPを再構築・導入する際は、主に以下の4つの工程を経て構築していく場合が多いです。

全体のスケジュール・導入期間の目安を以下にまとめました。

  • 中堅・中小企業の場合・・・6〜12カ月
  • 大手・準大手企業の場合・・・12〜24カ月
工程・プロセス 内容 期間目安
(中堅企業の場合)
企画
  • システム再構築の方向性の決定
2週間〜1カ月程度
要件定義
  • 再構築の目的や必要な業務の細かい洗い出し
  • 洗い出した業務の要件を数値化する
1〜3カ月程度
実装
  • ERP再構築に必要なシステム構築を行う
  • 一部の環境または全体でテストを行う
2〜4カ月程度
運用
  • 再構築システムを全体で適用
  • サービス提供開始後に目標の数値を達成できているか確認を行う
2週間〜1カ月程度

本稿では、上記工程の中の「要件定義」プロセスに関して詳しく見ていきます。

ERPの要件定義プロセスの進め方

ERP構築の「要件定義」プロセスは、大きく分けると主に以下の4つの工程で進めるケースが多いです。

  1. Fit&Gap分析
  2. 新しい業務プロセスの構築
  3. ソフトウェア・ハードウェアの準備
  4. 数値目標を明確に設定する

「企画」のプロセスと似ているところもありますが、より詳細や現場への落とし込み方法を決定していく工程になります。

具体的には、企画段階で決定した再構築の目的や方向性に対して、問題点や導入効果を詳細に洗い出していくプロセスです。再構築の費用対効果を確認し、本当に導入が必要なシステムを詰めていくことが目的となります。

以下では、それぞれのプロセスの進め方と注意点に関して見ていきましょう。

1.Fit&Gap分析

まずは「Fit&Gap分析」を行うことから始めていきます。

Fit&Gap分析とは、再構築前の機能と再構築予定のシステムパッケージの機能を比較し、変更が必要がない箇所(Fitしている箇所)と変更の必要がある箇所(Gapがある箇所)を洗い出すことを指します。

Fit&Gap分析を行うことで、採用予定の新システムが既存のシステムとかけ離れたものでないか確認ができます。この時点で、あまりにかけ離れている(つまりFitしていない)場合は、再構築のコストが増大してしまう可能性が高くなります。

また、この段階で詳細まで確認していないと、後の工程で変更不要な箇所まで変更を検討することになり、仕様変更対応で無駄なコストと手間が発生してしまいます。

このように、Fit&Gap分析は効率良くかつ無駄なコストをかけずに、再構築を進めていくために重要な工程であると言えます。

進め方

Fit&Gap分析の具体的な進め方は、以下の通りです。

  1. 企業担当者様側で現状のシステムの機能を洗い出す
  2. ベンダー側が現状システムと新システムと比較して差異を確認していく
  3. 差異を確認し、双方でさまざまな観点からカスタマイズやアドオンが必要か検討する

確認の作業にはなりますが、丁寧に詳細を洗い出していくことが重要になります。

注意点

Fit&Gap分析を行う際の注意点として、以下のようなことが挙げられます。

  • 企業担当者様側で現状のシステムの機能は、できる限り詳細に洗い出す
  • 企業担当者様側で現状のシステムの機能以外に、周辺システムもあればシステム構成を漏れなく洗い出す
  • 分析を行う際は、現場の業務ユーザーも巻き込んで行い、現行業務の把握および業務に応じたシステムの必要有無を整理する
  • 必要になるコストは定期的に確認しておく

詳細な洗い出しを疎かにしてしまうと、記入漏れで必要な新システムが漏れてしまう場合があります。基本的にシステムは連動している場合が多いため、後からの追加は大きな修正を招きやすくなります。

周辺システムへのインターフェースなどがある場合には、丁寧に洗い出しておかないと後から追加設定や追加改修が必要となってしまうケースもあります。

また、早めに現場の業務ユーザーの意見も反映していかないと、後の工程になって不備が出てくるなど修正の手間や追加のコストが発生してしまうことも想定されます。例えば、一見同じ機能であっても、現場ベースでは操作感が異なることで別物に感じてしまう可能性があるでしょう。

加えて、現状システムで用意されている機能が現場ですべて使われているとは限らず、今後利用しない機能は整理しておかないと、無駄な機能開発を行ってしまい、開発コストがかかってしまいます。

総コストをこまめに出さず、最後にまとめて出してしまった場合は、予算オーバーで機能削減が必要になったり、プロジェクト自体が中止になったりしてしまうケースも見受けられます。

上記のようにならないように、Fit&Gap分析を行う際は以下を意識することがポイントです。

  • 手間をかけても漏れなく丁寧に既存のシステムの機能を洗い出す
  • 洗い出しの作業に慣れていない、不安がある場合はベンダーや外部のコンサルタントにも協力してもらう

2.新しい業務プロセスの構築

次に、Fit&Gap分析で既存システムに合わなかった要件に関して、どのように対応するかの新規プロセスを構築していきます。

Gapを埋めるためにはさまざまな方法があり、個々の状況に応じて方向性を決めることが必要です。コストや工数、予算を鑑みて、適切な解決策を決定していきます。

進め方

新しい業務プロセスの構築方法には、主に以下3つの方法があります。

以下表で、それぞれの概要とメリット、デメリットをまとめました。

方法 概要 メリット / デメリット
アドオンの開発を行う
  • 必要な機能を開発し、追加する
  • 既存業務の変更なしで、現状の課題を解説できる
  • 開発費用や保守費用など適用のためのコストがかかる
製品に合わせて業務の変更を行う
  • 現場における業務形態の変更を行い、新システムに合わせる
  • システム再構築の手間やコストが発生しない
  • 現場の再教育や業務ルール変更などの負担が発生する
人的対応を行う
  • 対応できない業務に携わる人員やマニュアルオペレーションを追加する
  • システムと現場双方の変更が不要になる
  • 人的リソースを割いたり、業務に対するオペレーション負荷が増えたりする

Gapが生じた業務の重要度や、現在の社内のリソース状況、予算などに応じて適した方法を取ることが必要になります。

注意点

新しい業務プロセスの構築の注意点として、以下が挙げられます。

  • 新規業務プロセスを構築した際は、業務規定に関する書類も変更する
  • 内部統制に関する規程も変更する
  • 現行の業務プロセスと比較して、漏れがないことを確認する

上記の対応が不十分な場合、会計や情報のセキュリティに関して、変更が入ることで大きな問題になる場合があります。また会計に関して、同じ数値でも意味合いや基準が異なってくる可能性があるため、細心の注意を払う必要があります。

このようなことから、現行システムでできていたことが、新システムではできなくなってしまう可能性が出てきます。

現場ベースで内部混乱が起きないようにするためにも、業務規定や内部統制の規定を明確に整備しておくことが重要です。

3.ソフトウェア・ハードウェアの準備

新しい業務プロセスの構築した内容に関して、必要になるソフトウェア・ハードウェアの準備を行います。

新システムを構築する際に既存の環境が利用できない場合もあり、ソフトウェア・ハードウェアの調達が必要になることもあります。

進め方

ソフトウェア・ハードウェアの準備の具体的な進め方は、以下のようになります。

  1. データベースとして必要になる項目やトランザクション量、スペックを見積もる
  2. 1の見積もりを基に、必要なデータの容量も算定する
  3. 1と2を基に適したソフトウェア・ハードウェアの調達を行う

注意点

ソフトウェア・ハードウェアの準備の注意点として、以下が挙げられます。

  • 新しいソフトウェア・ハードウェアの導入に関する計画書も作成しておく
  • 新規ソフトウェア・ハードウェアの導入に必要なコストや期間を確認しておく

これらが不十分な場合は、現場ベースでの移行や受け入れが進まず、新システムのリリースが遅れてしまうことがあります。また、管理者や現場の作業者の教育が進まず、テスト時に混乱が生じてしまうケースも想定されます。

ソフトウェア・ハードウェアを実際に調達する前に、現場ベースの詳しい確認と認識の共有を行うことが重要です。

4.数値目標を明確に設定する

ソフトウェア・ハードウェアの準備が完了し、実際に実装を行っていく段階で、改めて数値目標を明確に設定する必要があります。

企画プロセスの段階で解決したいと設定した目標や目的が達成しているか後から計測し、導入の成功を確認することにつながります。

進め方

数値目標を明確に設定する際の具体的な進め方は、以下の通りです。

  1. ERPシステムの再構築によって達成したい目標を数値化する
  2. 設定した数値をどの段階で確認し、どの程度の数値あれば目的を達成したとするか基準を決めておく

目標数値と成果地点の数値を明確に決定しておくことがポイントです。

注意点

数値目標を明確に設定する際の注意点として、以下が挙げられます。

  • 業務ごとに明確な数値を決定しておく
  • 重要な課題に関係する通知は厳密に設定する

全体的な数値でざっくりと決めてしまうと、実際に新システムを導入した後に、効果的な導入になったかの判断がしにくくなります。

また、詳細な数値がないと問題点が解決できなかった場合に、改善するべき箇所を明確にできない場合が多いです。

新システムをリリースすること自体が目的とならないように、詳細をしっかり設定することが大切になります。

要件定義プロセスにおけるサポート事例

ここからは、要件定義プロセスにおけるGRANDITでの実際のサポート事例を紹介します。

要件定義プロセスを実施前、または実施中の企業担当者様の希望としては、システム再構築を担当するSEが顧客業務の知見を持っていることです。知見があることで、現場の課題を反映した改善や分析を行うことができます。

また、企業担当者様でERPパッケージの機能理解が進まず、Fit&Gapが円滑に進まないという声も多いです。具体的には、どの機能が既存のどのシステムに該当するのか理解しにくいというものでした。

上記のような悩みを解決するために、GRANDITでは以下のようなサポートを提供しました。

  • 顧客業務に精通したSEがヒアリングを実施する
  • 企業担当者様にERPパッケージを理解頂く為の説明を行う
  • 現行業務フローを、新規のERPパッケージに合わせる事ができるかのご支援

顧客業務に精通したSEが間に入ることで、現場とシステム再構築のSEの理解の架け橋を行います。また、担当から新パッケージに関する説明を行うことで、現状のシステムとの違いを理解できて、Fit&Gapがスムーズに進められるようになります。

さらに、現行業務フローを新規のERPパッケージに合わせる事ができるか判断できることで、必要最低限のコストと手間で再構築を行うことも可能です。

このサポートの結果、機能要件のほか、現行システムからのデータ移行、新システムの運用方法を見据えて検討できるようになり、要件定義を効果的かつ、円滑に進められるようになりました。

上記のようなお悩みをお持ちの企業担当者様は、ぜひ一度ご相談ください。

FAQ

お問い合わせ後の流れ

問い合わせ頂きました後の大まかな流れは、大まかに以下となります。

  1. 状況のヒアリング
  2. 検討内容の明確化
  3. 支援内容の確認
  4. 製品に関する説明

また、上記以外にも有償で以下の対応も可能です。

  • 簡易Fit&Gap分析
  • RFI、RFPの作成によるご提案
  • コンソーシアムによる業務分析

基本的には「ERPの導入手順の全体像」で紹介した流れで再構築が進みます。

お悩みをお持ちの企業担当者様は、ぜひ一度ご相談ください。

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