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コンソーシアム型基幹系システムが豊通シスコムにもたらした経営革新とは

野田 豊氏 鈴木 健文氏

経営の変革に基幹システムが対応できないという大きな課題

 経営の根幹を成す基幹系システム。しかし、老朽化が進んでいるにもかかわらず、日常業務に追われて、なかなか手を付けられずにいる企業も多いのではないだろうか。今、ビジネス環境は激変しており、企業経営も時代に合わせた変革が求められている。そんな中、経営に直結する基幹システムも革新していかなければならないと考える経営者は多いのではないだろうか。

 トヨタグループの大手総合商社である豊田通商および豊田通商グループのIT全般を支えている、豊通シスコムも基幹システムに課題を抱えていた。10年以上前に導入した基幹システムは、会計システムと販売系システムが別々に管理されているなど運用効率が悪かった。また、メンテナンス部隊の体制が変わり、迅速な保守運用が難しくなったことも大きな痛手だった。

 こうした課題解決のために導入したのが、国産型の統合基幹システム「GRANDIT(グランディット)」だ。同社が抱えていた課題が「GRANDIT」の導入によって、どのように解消され、どのような成果をもたらしたのか、次ページより紹介しよう。

2つに分かれていた基幹システムを「GRANDIT」に統合

 豊通シスコムが、「GRANDIT」導入前に使っていた基幹システムは、親会社の豊田通商がスクラッチで開発した会計システム「BEST」と、自社で開発した販売系システム「P-CAN」というものだった。導入は2010年11月頃で、既に10年以上の年月が経過し、老朽化も進んでいた。

 「会計システムと販売系システムが別々に運用されていたことによる課題は、大きく3つありました。1つ目は、システム間のデータ連携のためのバッチ処理が、多く必要だったことです。夜間や月締めごとなどに実施していましたが、リアルタイム性に欠けることが大きな問題でした。2つ目がそれぞれ、まったく別物として開発されていたため、ユーザーインターフェースに統一性がなく非常に使いづらかった点です。そして3つ目が、法改正への対応や自社の組織変更があるたびに、運用コストが膨れ上がるという業務運用的な課題がありました」と、同社 コーポレート本部 経営推進部 部長の鈴木健文氏は語る。

豊通シスコム コーポレート本部 経営推進部 部長 兼 財務経理グループ グループリーダー 兼 経営企画グループ グループリーダー 鈴木 健文氏

豊通シスコム コーポレート本部 経営推進部
部長 兼 財務経理グループ グループリーダー 兼 経営企画グループ グループリーダー
鈴木 健文氏

 また経営陣からは、原価計算の手法を変更したいという要望も上がった。システム会社である豊通シスコムでは、SEの稼働コストを管理している。これまでは実際にかかったコストをSEの稼働工数を基にしてSE単価の計算をする「実際原価管理方式」という方法を取り入れていた。しかし、これでは毎月のSE単価が稼働率の影響を受け月ごとに変動してしまい、経営上、案件ごとの原価が見えづらいというデメリットがあった。そのため、事前に設定したSEの標準単価を基に案件ごとに原価を管理する「標準原価管理方式」への変更が求められたのだ。

 「『標準原価管理方式』に移行するためには、販売系システム『P-CAN』に手を加える必要がありましたが、その運用部隊が、分社化して別会社になってしまいました。自社開発のシステムに、そこまで大掛かりな改修を必要とするリソースを割けないという話になり、いよいよ基幹システムを刷新するしかなくなったのです」(鈴木氏)

会計システムと販売系システムを別々に運用していたことで、データのリアルタイム性や操作性に欠けるなど多くの課題があった豊通シスコムは、「GRANDIT」の導入で2つのシステムを統合し課題解決を図った
会計システムと販売系システムを別々に運用していたことで、データのリアルタイム性や操作性に欠けるなど多くの課題があった豊通シスコムは、
「GRANDIT」の導入で2つのシステムを統合し課題解決を図った

限られたリソースで導入を推進。機能要件はミニマムマスト

 こうして、新しい基幹システムの導入の検討が始まった。4製品まで絞り込んだ中で、最終的に「GRANDIT」の導入を決断した理由について同社 アプリケーション技術本部 コーポレートシステム部 部長席の野田豊氏は以下のように説明する。

 「『GRANDIT』は純日本製で、メーカー視点ではなくコンソーシアムビジネスモデルを基にした製品であるという点が大きな決め手でした。コンソーシアム型であれば、今後の成長にも期待できます。また、導入ベンダーのベニックソリューションさんが一番迅速に提案していただき、RFP(Request for Proposal:提案依頼書)で出した要求の適合率も非常に高かったことが評価につながりました」

野田 豊氏氏

豊通シスコム アプリケーション技術本部 コーポレートシステム部 部長席
野田 豊氏氏

 限られた期間内に少数精鋭で導入を成功させるというミッションが与えられた導入プロジェクトは野田氏先導の下、進められた。

 「機能要件はミニマムマストにし、『GRANDIT』のアドオン、カスタマイズは極小化しました。その理由としては、進行するにつれて上がってくるユーザーからの要望が膨れ上がってしまうためです。ユーザーから上がってきた要望は経営推進部や管理職がピックアップし、事前にヒアリングした意見なども取り入れて、丁寧な説明をしていくなどユーザーの間でコミュニケーションを重ねて調整してもらいました」(野田氏)

 今回の基幹システムの刷新では、原価計算方式の変更や2つのシステムの統合など、運用面で大きな改革が伴う。そこで、早い段階から管理職や現場の担当者にもプロジェクトに参画してもらったり、システムを試験的に使用してもらう環境を設けたりと、情報を迅速に展開することで周知を図ったという。

 「導入ベンダーであるベニックソリューション社とも一緒になって、今回のプロジェクトの目的や開発方針を定めた『プロジェクト憲章』を作成しました。基幹システムの刷新という大きなプロジェクトでしたが、『プロジェクト憲章』のおかげで導入プロジェクトメンバーが同じゴールを見据えることができました。経営層にも刷新の目的や開発方針を明確にしてから合意を得て進められたのが良かったと思います」(野田氏)

 しかし大きなプロジェクトには困難は付きもの。プロジェクト始動と同時に、コロナ禍になってしまい、ベニックソリューションとの対面の打ち合わせができなかったのが苦労した点だと野田氏は語る。

 「リモート会議でのコミュニケーションロスを減らすためにどうするか、最初は手探りの部分もありました。ただ、会議の頻度を増やしたり、Zoomの操作に慣れていったりしたこともあり、数カ月でそうした不安は払拭されました。導入ベンダーであるベニックソリューションさんの豊富な経験に基づくアドバイスのおかげで、予定通りカットオーバーにこぎ着くことができたと思っています」

ワンチームが成功の鍵。「GRANDIT」でデータドリブン経営を目指す

 こうして2021年4月、新しい基幹システム「GRANDIT」の運用が開始された。段階的な導入ではなく、全社員に向けて、一気に切り替えたという。経営の根幹となる販売データ、原価管理データ、債権債務データ、会計データなどがすべて「GRANDIT」に統合された。今回の導入の成果を野田氏はどのように評価しているのだろうか。

 「2つのシステムのデータ連携が不要となり、リアルタイム性が格段に上がりました。財務経理では、月締めの作業が半日から1日程度、短縮できたと聞いています。月末月初の忙しい時期に、1日分の時間を短縮できたというのは大きな効果だと思います。また、UIが統一され、操作性や視認性が向上した点も評判がいいですね」

 また、アドオンで開発した与信限度額の強化や下請法の対応なども実現。データの取り扱いが旧システムより整備され、情報漏洩やコンプライアンスリスクの軽減にもつながっている。さらには、基幹システムが統一化されたことによって、実際の業務も効率化し、社員の働きやすさの向上にも寄与しているという。

 「経営陣、財務経理やシステムのメンバー、そして、導入ベンダーが三位一体となって同じゴールを目指し、ワンチームとなって進めたからこそ、成功に導けたと思っています」と野田氏は今回のプロジェクトを振り返る。

 今後、さらに「GRANDIT」を活用していくに当たり、どのような展望を持っているのだろうか。鈴木氏は、次のように語る。

 「我々は、豊田通商グループのITを支える企業として『最初に頼られる存在』になりたいと考えています。グループ全体としては、基幹系システムの大規模投資は一段落したので、より細やかなニーズをくみ取り、顧客自身が気づいていない潜在的な課題をITの側面で支えることで、存在感を発揮していきたいと思っています」

 そこで鍵を握るのはやはりデータだろう。「GRANDIT」に蓄積されたデータは、豊通シスコムにとって宝の山になるはずだ。

 「今後『GRANDIT』に期待したいのは、BI的なデータの活用です。データドリブンによる経営を、より進めていきたいと考えています。これからもベニックソリューションさんには、そういった視点でのアドバイスや提案をいただけるとうれしいです」と鈴木氏は語った。

企業情報

企業名 株式会社 豊通シスコム様
事業内容 豊田通商グループ(単体/連結子会社)を中心とした企業向けのシステム構築・運用・コンサルティングをはじめとした各種サービスの提供
資本金 3億1000万円
従業員数 373人(2023年4月1日現在)

Webベースの完全統合型ERPパッケージ「GRANDIT」

2004年の提供開始以来、製造、サービス、商社/卸業界を中心に国内1200社以上(2022年1月現在)の導入実績を持つ純国産の統合型ERPパッケージ。最大の特長は、国内のユーザー系SI企業を中核メンバーとしたコンソーシアムで共同開発を行っている点にある。参画する複数企業のノウハウを結集することで、常に先進的かつ偏りのない、日本企業にとって真に使いやすい基幹系業務基盤を提供する。また、2021年10月より中小企業向けクラウドERP「GRANDIT miraimil(グランディット ミライミル)」の提供を開始した。

記載されている会社名・製品名・ロゴ等は、各社の登録商標または商標です。

本記載の情報は取材時(2023年3月現在)のものであり、閲覧される時点では変更されている可能性があることをご了承ください。

日経BPの許可により「日経クロステックActive」2023年5月26日~8月18日まで掲載の記事体広告から抜粋したものです。禁無断転載 ©日経BP

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